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第一章:三条長尾家継承編
第1話:転生
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享禄三年(1530)12月28日:越後春日山城:俺視点
「おんぎゃあ、おんぎゃあ、おんぎゃあ」
末期癌でホスピス病棟に入っているはずなのに、耳が痛いくらいの赤ん坊の泣き声に目が覚めてしまった。
寿命が短くなっても良いから、痛みのないようにと主治医にお願いしている。
強い痛み止めを点滴に入れてもらっているので、何時もうつらうつらしているはずなのに、どうしてこんなにはっきりと声が聞こえるのだ?
どうして大きな声が頭にまで響くのだろう?
まるで自分が泣き叫んでいるように聞こえるのだろう?
また何か運が悪いのが影響しているのだろうか?
『石橋を叩いて壊してしまう』と馬鹿にされるくらい憶病な性格だった。
だから五十八歳から人間ドックを受けるようにした。
祖母が亡くなったのは六十歳だった。
主治医が胃癌切除後の転移を見落とした。
父が亡くなったのも六十歳だった。
かかりつけの医者が、肺結核の瘢痕にできた肺癌を見落とした。
葡萄畑で倒れた時には、脳にピンポン玉大の転移が三つもあった。
だから六十歳になる二年も前から、一年に一度人間ドックを受けていた。
なのに、進展型小細胞肺癌になるとは思ってもいなかった。
一年の間隔で、手の施しようのない癌になるとは思ってもいなかった。
俺の助言で肺癌を早期発見できた親戚の兄貴は、進行の遅い大細胞癌だった。
癌の場所も一番小さな肺葉、右上葉だったので、切除した後も呼吸に苦しむ事はなく、八年経った今もピンピンしている。
なのに、何で俺だけ!
切除もできない肺門部に癌ができるんだ!
化学療法で延命しようと思っても、進展型肺癌の三年生存率は、苦しい化学療法を受けたとしてもたった10%なのだ。
助からないのなら苦しむだけ損だ!
だから俺は化学療法はやらずに、できるだけ苦しまない死に方を選んだ。
残された短い時間で、できる限りの事をした。
この世界に俺が生きた証を残したかった!
癌になる前から書いていた小説は、全部本にする心算だった。
日本図書コード管理センターに登録して、日本図書コードを100冊分買い取り、毎年会費を払って更新していた。
長編短編合わせて400作くらい書いていたから、途中で力尽きる事も考えて、どうしても残したい戦国仮想戦記から電子書籍にしていった。
医者から最短で三カ月、長くても五カ月しか生きられないと言われたから。
ファンタジー戦記、冒険ファンタジー、悪役令嬢物は後回しだった。
最初は家で、最後はホスピス病棟での書籍化作業だった。
日本図書コードさえとってあれば、国立国会図書館で永久保存してもらえる。
結婚できず、子供もいなかったが、本が生きた証になる。
そう思って必死で書籍化作業を頑張った。
日本図書コードが100冊分しかなかったし、改めて図書コードを購入する手間も時間も惜しかったから、中編と短編をまとめて100冊に収まるようにした。
国立国会図書館は、平成二十五年から電子書籍も献本対象にしてくれているので、紙書籍と違ってどれだけ大作になっても一冊にまとめて献本できる。
天文二年(1933)6月1日:越後春日山城:俺視点
上杉謙信の弟に転生していた!
前世では、戦国仮想戦記を書くために色々な資料を読み漁った。
多くの人が、自分なりの上杉家と長尾家の家系図を作っていた。
何が正しいのか、当時は分からなかった。
だから創作に都合の良い家系図を選んでいたのだが……
そのなかに、上杉謙信は四男で、長尾内記という弟がいると言うモノがあった。
……上杉謙信には本当に弟がいた。
まさか自分がその弟に転生するとは思ってもいなかった。
問題は、兄達と違って弟が死んだ原因も日にちも書かれていなかった事だ。
戒名だけは書かれていたが、覚えていない。
幼名ではなく、内記という通称が残されていたから、ある程度の年齢までは生きていたはずだが……
せっかく望んでいた時代に生まれ変われたのだ、病気や怪我で早死にしたくない。
まして兄を追い落として家督を手に入れた、上杉謙信に殺されるのは絶対に嫌だ!
俺は上杉謙信が兄の子供、猿千代を殺したと疑っていた。
謙信が直接やらせていなかったとしても、家臣達がやったと思っていた。
だから、謙信を常に警戒する!
謙信を担ぎ上げた古志長尾家を警戒する!
連中を叩き潰せるだけの力を手に入れる!
病気に対する予防法は、俺の覚えている範囲で全部対策する。
前世のようにはいかないが、多少は死病を予防できるだろう。
ただ、古志長尾家の力はかなり強かったはずだから、独力で抑えるのが無理だと判断したら、意地をはらずに父の長尾為景を利用する。
ただ、抑えるのは上杉謙信と古志長尾家だけではすまない。
次兄鶴千代の後ろ盾もかなり危険だ。
父好みの美女を養女にして送り込んできたのは、隙あらば守護代職を手に入れようと画策する、上田長尾家の房長だ。
三兄の竜千代にも油断ならない後ろ盾がいる。
越後守護上杉家の重臣を懐柔しようとした父は、比較的自分に友好的な千坂景長の養女を側室に迎えていた。
今は表立って長尾為景に逆らう気配のない千坂景長だが、為景が死んだら竜千代を跡継ぎにしようとするかもしれない。
まずは春日山城から出て安全な場所を確保する事だ。
伝わっている歴史が正しいとは限らないが、長尾内記が次兄三兄と一緒に殺されていた可能性もあるから、一日も早く春日山城から逃げる必要がある。
問題は、父親の長尾為景が絵にかいたような下剋上男だと言う事だ。
直接の主君である越後守護と、主家の本家である関東管領を殺しているのだ。
主君を二人も殺している、主殺し野郎なのだ!
何度も剣を交えている敵の養女を、平気で側室に迎えられる図太い人間だ。
自分の側室も子供も、平気で殺すだけの図太さを持っている。
そう、邪魔だと思ったら俺も殺されてしまうだろう。
殺されない為には、役に立つと思われ続けなければならない!
「父上、帝の綸旨をいただきましょう、そうすれば越後を手に入れられます」
長尾為景の急所は、この三年の間に見極められたはずだ。
為景は長尾家を守護にしたいのだ。
朝倉家のように、主君を追い払っても非難されないように上手く立ち回って、越後守護の座を手に入れたいのだ。
その為には、越後守護上杉家に従う国衆は全て攻め滅ぼす必要がある。
同時に、後ろ盾になる権威、帝と将軍を味方につけないといけない。
「おまえ、誰に知恵をつけられた?!」
「後ろ盾も黒幕もいません、私が考えました」
「馬鹿な事を言うな、僅か四歳で俺と同じ事を考えつくはずがない!」
四歳、ああ、そうか、俺は満年齢で計算しているが、長尾為景は数え歳で年齢を考えるのだな。
「私は父上の血を受け継いだ子供です!」
「……俺の血を受け継いだ子供か……ならば思いつけるのか……」
「父上も既に思いついておられるでしょうが、帝から下賜された私敵討伐の綸旨は、ここぞと言う時に、権威に頭を下げる者に使わなくてはなりません。
越後上杉家よりも、帝や将軍に認めてもらいたいと思う者、或いは宗家や兄を押しのけて当主になりたい者に使わなくてはなりません」
「くっくっくっくっ、僅か四歳でそこまで思いつけるのか!
よかろう、分かった、定景を廃嫡してお前を世継ぎにしてやる」
「父上、それは悪手でございます。
武家ならば、何時自分が死んでも家が傾かないようにしなければなりません。
私が元服して、家中の支持が得られる歳までは、兄上が世継ぎでなければ三条長尾家が内紛で滅んでしまいます」
「くっくっくっくっ、良く引っかからなかったな。
本当に黒幕も後ろ盾もいないようだ。
だったらもう一つ答えよ、清廉潔白な帝からどうやって綸旨を手に入れる?
将軍の座や管領の座を手に入れるために争っている馬鹿な連中とは違うのだぞ?」
「畏れ多い事でございますが、先帝が亡くなられて七年も経つのに、未だに即位の儀式ができないでおられます。
どれほど清廉潔白な帝でも、即位に必要な費用を献上してくれた者には、多少の利を与えてくれるのではありませんか?」
「ふむ、お前の言う事にも一理ある」
「それに、今の帝だけで済む話ではありません。
武士が二つに分かれて将軍と管領の座を争う限り、次の帝が即位の儀式ができないだけでなく、葬儀もできず再び御遺体を腐らす事になります。
帝も朝廷も、幕府以外の後ろ盾を求めるのではありませんか?」
「うむ、そうだな、お前の言う通りだ。
帝や朝廷は、京から離れた国を持つ、新たな後ろ盾を欲するだろう。
だが、播磨守らと何年も争う儂にも余裕はないぞ?」
「私を直轄地の代官にして頂けるのなら、収穫を二倍にして見せます。
その利益を元手にして、大金を稼いで見せます」
「収穫を二倍にするだと?!」
「私には父上から受け継いだ才能の他に、神仏の加護があります。
その能力の一端をお見せいたします」
「面白い、本当に神仏の加護があると言うのなら見せてみよ!」
★★★★★★以下は創作上の資料ですので好きな方だけ読んでください。
『創作上の長尾為景妻子』
『長尾為景』
生没年:1486~1542年1月10日
父:越後守護代・長尾能景
母:信濃高梨政高の娘(法往院)
幼名:六郎
通称:弾正左衛門尉
1506~1536:越後春日山城主
1506~1536:越後守護代
1521~1536:越中新川郡の分郡守護代
官位:従五位下・信濃守
正室:上条上杉弾正少弼正藤の娘
長男:1509年12月16日~1553:晴景(道一丸)
長女:1524年1月20日~1609:仙桃院(越後坂戸城主 長尾政景妻)桃子
次女:1526年2月3日~(法名:光室妙智、上条頼房室)光子
ハ女:1529年8月8日~(道八姫、法名:松厳明貞、小黒氏室)松子
五男:1530年12月28日~長尾内記(万千代)(法名:実岑一貞)
側室:古志長尾家・越後栖吉城主・長尾房景の娘
四女:1527年3月9日~夭折
四男:1530年2月18日~1578:上杉輝虎(虎千代・上杉謙信)
七女:1528年10月4日~夭折
側室:上田長尾家・越後坂戸城主・長尾房長の養女
六女:1528年9月22日~(加地春綱正室)杉子
次男:1529年11月28日~1545:景康(鶴千代)
側室:越後守護上杉家五古臣・南蒲原郡鉢盛城主・千坂景長の養女
三女:1526年2月7日~夭折
五女:1528年5月5日~(道五姫、法名:玉嶺妙金)玉子
三男:1529年12月3日~1545:景房(竜千代)
「おんぎゃあ、おんぎゃあ、おんぎゃあ」
末期癌でホスピス病棟に入っているはずなのに、耳が痛いくらいの赤ん坊の泣き声に目が覚めてしまった。
寿命が短くなっても良いから、痛みのないようにと主治医にお願いしている。
強い痛み止めを点滴に入れてもらっているので、何時もうつらうつらしているはずなのに、どうしてこんなにはっきりと声が聞こえるのだ?
どうして大きな声が頭にまで響くのだろう?
まるで自分が泣き叫んでいるように聞こえるのだろう?
また何か運が悪いのが影響しているのだろうか?
『石橋を叩いて壊してしまう』と馬鹿にされるくらい憶病な性格だった。
だから五十八歳から人間ドックを受けるようにした。
祖母が亡くなったのは六十歳だった。
主治医が胃癌切除後の転移を見落とした。
父が亡くなったのも六十歳だった。
かかりつけの医者が、肺結核の瘢痕にできた肺癌を見落とした。
葡萄畑で倒れた時には、脳にピンポン玉大の転移が三つもあった。
だから六十歳になる二年も前から、一年に一度人間ドックを受けていた。
なのに、進展型小細胞肺癌になるとは思ってもいなかった。
一年の間隔で、手の施しようのない癌になるとは思ってもいなかった。
俺の助言で肺癌を早期発見できた親戚の兄貴は、進行の遅い大細胞癌だった。
癌の場所も一番小さな肺葉、右上葉だったので、切除した後も呼吸に苦しむ事はなく、八年経った今もピンピンしている。
なのに、何で俺だけ!
切除もできない肺門部に癌ができるんだ!
化学療法で延命しようと思っても、進展型肺癌の三年生存率は、苦しい化学療法を受けたとしてもたった10%なのだ。
助からないのなら苦しむだけ損だ!
だから俺は化学療法はやらずに、できるだけ苦しまない死に方を選んだ。
残された短い時間で、できる限りの事をした。
この世界に俺が生きた証を残したかった!
癌になる前から書いていた小説は、全部本にする心算だった。
日本図書コード管理センターに登録して、日本図書コードを100冊分買い取り、毎年会費を払って更新していた。
長編短編合わせて400作くらい書いていたから、途中で力尽きる事も考えて、どうしても残したい戦国仮想戦記から電子書籍にしていった。
医者から最短で三カ月、長くても五カ月しか生きられないと言われたから。
ファンタジー戦記、冒険ファンタジー、悪役令嬢物は後回しだった。
最初は家で、最後はホスピス病棟での書籍化作業だった。
日本図書コードさえとってあれば、国立国会図書館で永久保存してもらえる。
結婚できず、子供もいなかったが、本が生きた証になる。
そう思って必死で書籍化作業を頑張った。
日本図書コードが100冊分しかなかったし、改めて図書コードを購入する手間も時間も惜しかったから、中編と短編をまとめて100冊に収まるようにした。
国立国会図書館は、平成二十五年から電子書籍も献本対象にしてくれているので、紙書籍と違ってどれだけ大作になっても一冊にまとめて献本できる。
天文二年(1933)6月1日:越後春日山城:俺視点
上杉謙信の弟に転生していた!
前世では、戦国仮想戦記を書くために色々な資料を読み漁った。
多くの人が、自分なりの上杉家と長尾家の家系図を作っていた。
何が正しいのか、当時は分からなかった。
だから創作に都合の良い家系図を選んでいたのだが……
そのなかに、上杉謙信は四男で、長尾内記という弟がいると言うモノがあった。
……上杉謙信には本当に弟がいた。
まさか自分がその弟に転生するとは思ってもいなかった。
問題は、兄達と違って弟が死んだ原因も日にちも書かれていなかった事だ。
戒名だけは書かれていたが、覚えていない。
幼名ではなく、内記という通称が残されていたから、ある程度の年齢までは生きていたはずだが……
せっかく望んでいた時代に生まれ変われたのだ、病気や怪我で早死にしたくない。
まして兄を追い落として家督を手に入れた、上杉謙信に殺されるのは絶対に嫌だ!
俺は上杉謙信が兄の子供、猿千代を殺したと疑っていた。
謙信が直接やらせていなかったとしても、家臣達がやったと思っていた。
だから、謙信を常に警戒する!
謙信を担ぎ上げた古志長尾家を警戒する!
連中を叩き潰せるだけの力を手に入れる!
病気に対する予防法は、俺の覚えている範囲で全部対策する。
前世のようにはいかないが、多少は死病を予防できるだろう。
ただ、古志長尾家の力はかなり強かったはずだから、独力で抑えるのが無理だと判断したら、意地をはらずに父の長尾為景を利用する。
ただ、抑えるのは上杉謙信と古志長尾家だけではすまない。
次兄鶴千代の後ろ盾もかなり危険だ。
父好みの美女を養女にして送り込んできたのは、隙あらば守護代職を手に入れようと画策する、上田長尾家の房長だ。
三兄の竜千代にも油断ならない後ろ盾がいる。
越後守護上杉家の重臣を懐柔しようとした父は、比較的自分に友好的な千坂景長の養女を側室に迎えていた。
今は表立って長尾為景に逆らう気配のない千坂景長だが、為景が死んだら竜千代を跡継ぎにしようとするかもしれない。
まずは春日山城から出て安全な場所を確保する事だ。
伝わっている歴史が正しいとは限らないが、長尾内記が次兄三兄と一緒に殺されていた可能性もあるから、一日も早く春日山城から逃げる必要がある。
問題は、父親の長尾為景が絵にかいたような下剋上男だと言う事だ。
直接の主君である越後守護と、主家の本家である関東管領を殺しているのだ。
主君を二人も殺している、主殺し野郎なのだ!
何度も剣を交えている敵の養女を、平気で側室に迎えられる図太い人間だ。
自分の側室も子供も、平気で殺すだけの図太さを持っている。
そう、邪魔だと思ったら俺も殺されてしまうだろう。
殺されない為には、役に立つと思われ続けなければならない!
「父上、帝の綸旨をいただきましょう、そうすれば越後を手に入れられます」
長尾為景の急所は、この三年の間に見極められたはずだ。
為景は長尾家を守護にしたいのだ。
朝倉家のように、主君を追い払っても非難されないように上手く立ち回って、越後守護の座を手に入れたいのだ。
その為には、越後守護上杉家に従う国衆は全て攻め滅ぼす必要がある。
同時に、後ろ盾になる権威、帝と将軍を味方につけないといけない。
「おまえ、誰に知恵をつけられた?!」
「後ろ盾も黒幕もいません、私が考えました」
「馬鹿な事を言うな、僅か四歳で俺と同じ事を考えつくはずがない!」
四歳、ああ、そうか、俺は満年齢で計算しているが、長尾為景は数え歳で年齢を考えるのだな。
「私は父上の血を受け継いだ子供です!」
「……俺の血を受け継いだ子供か……ならば思いつけるのか……」
「父上も既に思いついておられるでしょうが、帝から下賜された私敵討伐の綸旨は、ここぞと言う時に、権威に頭を下げる者に使わなくてはなりません。
越後上杉家よりも、帝や将軍に認めてもらいたいと思う者、或いは宗家や兄を押しのけて当主になりたい者に使わなくてはなりません」
「くっくっくっくっ、僅か四歳でそこまで思いつけるのか!
よかろう、分かった、定景を廃嫡してお前を世継ぎにしてやる」
「父上、それは悪手でございます。
武家ならば、何時自分が死んでも家が傾かないようにしなければなりません。
私が元服して、家中の支持が得られる歳までは、兄上が世継ぎでなければ三条長尾家が内紛で滅んでしまいます」
「くっくっくっくっ、良く引っかからなかったな。
本当に黒幕も後ろ盾もいないようだ。
だったらもう一つ答えよ、清廉潔白な帝からどうやって綸旨を手に入れる?
将軍の座や管領の座を手に入れるために争っている馬鹿な連中とは違うのだぞ?」
「畏れ多い事でございますが、先帝が亡くなられて七年も経つのに、未だに即位の儀式ができないでおられます。
どれほど清廉潔白な帝でも、即位に必要な費用を献上してくれた者には、多少の利を与えてくれるのではありませんか?」
「ふむ、お前の言う事にも一理ある」
「それに、今の帝だけで済む話ではありません。
武士が二つに分かれて将軍と管領の座を争う限り、次の帝が即位の儀式ができないだけでなく、葬儀もできず再び御遺体を腐らす事になります。
帝も朝廷も、幕府以外の後ろ盾を求めるのではありませんか?」
「うむ、そうだな、お前の言う通りだ。
帝や朝廷は、京から離れた国を持つ、新たな後ろ盾を欲するだろう。
だが、播磨守らと何年も争う儂にも余裕はないぞ?」
「私を直轄地の代官にして頂けるのなら、収穫を二倍にして見せます。
その利益を元手にして、大金を稼いで見せます」
「収穫を二倍にするだと?!」
「私には父上から受け継いだ才能の他に、神仏の加護があります。
その能力の一端をお見せいたします」
「面白い、本当に神仏の加護があると言うのなら見せてみよ!」
★★★★★★以下は創作上の資料ですので好きな方だけ読んでください。
『創作上の長尾為景妻子』
『長尾為景』
生没年:1486~1542年1月10日
父:越後守護代・長尾能景
母:信濃高梨政高の娘(法往院)
幼名:六郎
通称:弾正左衛門尉
1506~1536:越後春日山城主
1506~1536:越後守護代
1521~1536:越中新川郡の分郡守護代
官位:従五位下・信濃守
正室:上条上杉弾正少弼正藤の娘
長男:1509年12月16日~1553:晴景(道一丸)
長女:1524年1月20日~1609:仙桃院(越後坂戸城主 長尾政景妻)桃子
次女:1526年2月3日~(法名:光室妙智、上条頼房室)光子
ハ女:1529年8月8日~(道八姫、法名:松厳明貞、小黒氏室)松子
五男:1530年12月28日~長尾内記(万千代)(法名:実岑一貞)
側室:古志長尾家・越後栖吉城主・長尾房景の娘
四女:1527年3月9日~夭折
四男:1530年2月18日~1578:上杉輝虎(虎千代・上杉謙信)
七女:1528年10月4日~夭折
側室:上田長尾家・越後坂戸城主・長尾房長の養女
六女:1528年9月22日~(加地春綱正室)杉子
次男:1529年11月28日~1545:景康(鶴千代)
側室:越後守護上杉家五古臣・南蒲原郡鉢盛城主・千坂景長の養女
三女:1526年2月7日~夭折
五女:1528年5月5日~(道五姫、法名:玉嶺妙金)玉子
三男:1529年12月3日~1545:景房(竜千代)
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