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17話ナウシカ視点
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普段私の事に関しては慎重な王太子が、一緒に狩りに行こうと言いだしたので、正直嫌な予感はしていたのです。
ですが、こんな機会は今後巡ってこないかもしれない。
虎穴に入らずんば虎児を得ずとも言います。
私が直接行かなければ、狩る時の条件を伝えるのが難しいのです。
いえ、私自身が狩りながら学ばなければ、一番美味しい狩り方を見つけられないのです。
雌雄どちらを狩った方が美味しのか?
季節はいつ狩った方が美味しいのか?
追い込んで狩っても美味しいのか?
それとも一撃で狩らなければ不味くなるのか?
そんな事を狩る獣や魔獣にあわせて、ひとつひとつ確認していきたいのです。
王太子は近衛騎士団や近衛徒士団、時には正規騎士団や正規徒士団を率いて狩りに参加してくれました。
ですが条件がありました。
シンクレア伯爵家で未開地や魔境の警備と隣国との国境警備を命じられたのです。
それはとても大きな経済的な負担でした。
ですが同時に大きな利益を生む可能性もありました。
他の家では不可能ですが、我が家では可能なのです。
それは珍しい食材の確保です。
大陸中で評判となっている、シンクレア伯爵家直営料理屋の食材とするのです。
そういう表向きの理由を作って、王太子を説得したからこそ、私が家臣団を直卒して狩りに行くのを王太子が許したともいえます。
私の無理な注文が、王国軍とシンクレア伯爵家軍を徹底的に鍛えました。
それは単純な強さだけではありません。
確実に勝てる相手であろうと、目的のためには見逃す事。
早く確実に狩る手段ではなく、時間をかけて多くの手順を踏んでから狩る。
そういう事のできる軍に育て上げたのです。
そんな王国軍とシンクレア伯爵家軍だからこそ、隣国の侵攻など鎧袖一触で粉砕する事ができました。
多くの戦利品と人質を手に入れました。
お陰で莫大な身代金を手に入れる事ができました。
「ナウシカ、今度シンクレア伯爵家は侯爵家に陞爵されることになった。
王都で披露宴がある。
一緒に王都に戻ろう」
私と共の辺境で戦い、毎日私の手料理を食べてくれている王太子が、唐突に王都に戻る話します。
何とも言えない感情がわきあがります。
思い浮かんだ予想に対する感情です。
私は喜んでいるのでしょうか?
それとも嫌がっているのでしょうか?
「それと、まあ、なんだ。
私との結婚式も披露宴も予定されているのだが……
私と結婚してくれないだろうか……」
予想通りです。
あまりに予想通り過ぎて、逆に直ぐに返事ができません。
私にはうれしいさも嫌悪感もありません。
ですが私の料理を一番美味しく食べてくれるのは王太子です。
私にとってはそれが一番ですね。
「はい、結婚させていただきます。
ただし、これからも食材の確保のために狩りに行かせてくれるならです」
ですが、こんな機会は今後巡ってこないかもしれない。
虎穴に入らずんば虎児を得ずとも言います。
私が直接行かなければ、狩る時の条件を伝えるのが難しいのです。
いえ、私自身が狩りながら学ばなければ、一番美味しい狩り方を見つけられないのです。
雌雄どちらを狩った方が美味しのか?
季節はいつ狩った方が美味しいのか?
追い込んで狩っても美味しいのか?
それとも一撃で狩らなければ不味くなるのか?
そんな事を狩る獣や魔獣にあわせて、ひとつひとつ確認していきたいのです。
王太子は近衛騎士団や近衛徒士団、時には正規騎士団や正規徒士団を率いて狩りに参加してくれました。
ですが条件がありました。
シンクレア伯爵家で未開地や魔境の警備と隣国との国境警備を命じられたのです。
それはとても大きな経済的な負担でした。
ですが同時に大きな利益を生む可能性もありました。
他の家では不可能ですが、我が家では可能なのです。
それは珍しい食材の確保です。
大陸中で評判となっている、シンクレア伯爵家直営料理屋の食材とするのです。
そういう表向きの理由を作って、王太子を説得したからこそ、私が家臣団を直卒して狩りに行くのを王太子が許したともいえます。
私の無理な注文が、王国軍とシンクレア伯爵家軍を徹底的に鍛えました。
それは単純な強さだけではありません。
確実に勝てる相手であろうと、目的のためには見逃す事。
早く確実に狩る手段ではなく、時間をかけて多くの手順を踏んでから狩る。
そういう事のできる軍に育て上げたのです。
そんな王国軍とシンクレア伯爵家軍だからこそ、隣国の侵攻など鎧袖一触で粉砕する事ができました。
多くの戦利品と人質を手に入れました。
お陰で莫大な身代金を手に入れる事ができました。
「ナウシカ、今度シンクレア伯爵家は侯爵家に陞爵されることになった。
王都で披露宴がある。
一緒に王都に戻ろう」
私と共の辺境で戦い、毎日私の手料理を食べてくれている王太子が、唐突に王都に戻る話します。
何とも言えない感情がわきあがります。
思い浮かんだ予想に対する感情です。
私は喜んでいるのでしょうか?
それとも嫌がっているのでしょうか?
「それと、まあ、なんだ。
私との結婚式も披露宴も予定されているのだが……
私と結婚してくれないだろうか……」
予想通りです。
あまりに予想通り過ぎて、逆に直ぐに返事ができません。
私にはうれしいさも嫌悪感もありません。
ですが私の料理を一番美味しく食べてくれるのは王太子です。
私にとってはそれが一番ですね。
「はい、結婚させていただきます。
ただし、これからも食材の確保のために狩りに行かせてくれるならです」
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