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12話王太子ルーカス視点

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 ナウシカが席を外すなど絶対に許せん!
 私は単に料理が食べたいわけではないのだ。
 ナウシカと一緒に食べたいのだ。
 ナウシカが何も食べず、説明に徹するのは寂しいが、試食でお腹が一杯だと言われれば、食べる事を無理強いはできない。
 だが、一緒にいる事だけは譲れない!

「仕方ありませんね。
 では説明だけはさせていただきます。
 最初の皿は蒸野菜の豚ガツピリ辛炒め添えでございます。
 少々辛いですが、ビールが進む味付けにしております」

 ああ、なんと刺激的な香りだろう!
 しかもビールに合うなんて最高だ!
 狩りが終わってそのまま直行したから、喉が渇いていたのだ!
 さっさと毒見を終えろ、ジャン!

 私の希望を入れて、全ての料理が大盛で供されるようになった。
 ジャンが多めに毒見してしまって、私のが満足に食べられない事があったからだ!
 ようやく食べられる!
 美味い!
 なんて美味いんだ!
 それに、井戸で冷やしたビールとこの辛さは最高に合う!
 野菜が多すぎるが、前菜だから我慢しなければならん。

「次は豚の乳房を使ったスープです。
 野菜と豚骨を使ったダブルスープに、柔らかく煮込んだ豚の乳房チチカブを加えております」

 豚の乳房だと?
 そのようなものが食べられるのか?
 だが、ナウシカが美味しい断言するのなら、食べられるのだろう。
 いや、美味しいのであろう。
 初めて口にするが、とても楽しみだ!

 ジャンがおっかなびっくり食べている。
 いい加減ナウシカを信じろ。
 眼を見開いた。
 あまりの美味しさに驚愕しているようだ。
 進歩のないやつだ。
 私が睨んだら、名残惜しそうにスープをこちらに渡してきた。

 美味い!
 なんとも言えず美味い!
 王家の料理人でも再現できない味、それがナウシカのスープだ。
 豚の乳房チチカブも柔らかくて美味しい。
 臭みが一切ないし、噛みしめるたびに旨みがあふれ出す。

「次は豚のコブクロと茸の油煮でございます」

 もうジャン事は放っておこう。
 奴がナウシカを信じきれず、毎回失礼な反応をしているのを気にしていると、私の精神がもたなくなってしまう。
 美味い!
 オリーブオイルと唐辛子の味が絶品で、ワインが飲みたくなってきた。
 味も美味しいが、食感が独特だ。

「赤ワインです。
 私はお酒が苦手でよくわかりませんが、試食した料理人がこれが合うといっていましたので、殿下用に用意しておきました」

 ああ、うれしいと同時に激烈な嫉妬に襲われてしまう!
 私より先に、ナウシカと一緒に試食する男がいるのだ。
 この手で殺してしまいたくなる!
 私が料理を作れるようになったら、ナウシカと一緒に料理を試作試食できるのではないだろうか?
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