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第一章
第58話:妊娠
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「配祀神様、ライラが配祀神様の子を身籠りました。
生ませていただいて宜しいでしょうか」
俺は特大ハンマーで頭を殴りつけられた心境だった。
確かに度々あのようの事をしたのだから、妊娠してもおかしくはない。
おかしくはないのだが、俺と異世界人の間に子供ができるとは思っていなかった。
いや、それだけではなく、曲がりなりにも俺は神の力を得ているので。
神と異世界人の間に子供ができるとは思っていなかった。
「何を馬鹿な事を考えておるのじゃ、広志。
私自身が人間として生を受け、死して後に神に列しておるではないか。
広志自身も人に生まれたのに今では神ではないか。
神と人間が愛し合っても子供くらいできるぞ」
「「「「「おおおおお」」」」」
「「「「「有難きお言葉でございます」」」」」
村長をはじめとした氏子代表衆が一斉に礼を言って平伏している。
そんな状態になってようやく気がついた。
彼らは俺が父親であることを否定するかもしれないと恐れていたのだ。
俺が父親であることを認めなかったら、ライラは不義を働いたと言われたも同然。
面目を失って子供と一緒に追放されるかもしれない。
俺は絶対にそんな事は言わないが、俺の知る神にはとんでもなく身勝手なモノもいたから、氏子衆も身勝手な神の話を聞いた事があるのだろう。
神と人間の間に子供ができるのなら、何の問題もない。
俺はライラという妻だけでなく、子供まで得られたのだ。
もう結婚も子供も諦めていたから、こんなうれしい事はない。
「ライラに何かあってはいかん、もう添い寝の必要はない。
常に境内の社務所で暮らし、身体を休めるように」
「「「「「おおおおお」」」」」
「「「「「有難きお言葉でございます」」」」」
村長をはじめとした氏子代表衆が喜色満面で喜びあっている。
中には涙を流すほど感動している者がいる。
村長は孫ができたのだからうれしくて当然だが、他の氏子衆までこれほど喜ぶとは、正直理由が全く分からない。
村に神の血を受け継ぐ者が生まれるというのが嬉しいのだろうか。
日本の天皇家も神の子孫を名乗っていたから、異世界でも同じことが可能か。
俺には自覚はないが一応神だからな、村長の家系に神の血が入る事になるな。
しかし、俺の子は神の力を受け継ぐのかな。
「さて、それはどうであろうか、運次第であろうか」
俺の心を読んで石姫皇女が話しだしたが、氏子代表衆には何の話か分からないので、不思議そうな表情をしている。
「神と人間の子供だからと言って、必ずしも神の力を受け継ぐわけではない。
配祀神である広志の愛情は受けるが、力は運しだいだな。
受け継ぐと喜ばれ、受け継がなければ喜ばれないでは広志もつらかろう。
ここは最初から神の力が受け継がれないようにしておこう」
石姫皇女の言葉に氏子代表衆が顔面蒼白になっている。
生ませていただいて宜しいでしょうか」
俺は特大ハンマーで頭を殴りつけられた心境だった。
確かに度々あのようの事をしたのだから、妊娠してもおかしくはない。
おかしくはないのだが、俺と異世界人の間に子供ができるとは思っていなかった。
いや、それだけではなく、曲がりなりにも俺は神の力を得ているので。
神と異世界人の間に子供ができるとは思っていなかった。
「何を馬鹿な事を考えておるのじゃ、広志。
私自身が人間として生を受け、死して後に神に列しておるではないか。
広志自身も人に生まれたのに今では神ではないか。
神と人間が愛し合っても子供くらいできるぞ」
「「「「「おおおおお」」」」」
「「「「「有難きお言葉でございます」」」」」
村長をはじめとした氏子代表衆が一斉に礼を言って平伏している。
そんな状態になってようやく気がついた。
彼らは俺が父親であることを否定するかもしれないと恐れていたのだ。
俺が父親であることを認めなかったら、ライラは不義を働いたと言われたも同然。
面目を失って子供と一緒に追放されるかもしれない。
俺は絶対にそんな事は言わないが、俺の知る神にはとんでもなく身勝手なモノもいたから、氏子衆も身勝手な神の話を聞いた事があるのだろう。
神と人間の間に子供ができるのなら、何の問題もない。
俺はライラという妻だけでなく、子供まで得られたのだ。
もう結婚も子供も諦めていたから、こんなうれしい事はない。
「ライラに何かあってはいかん、もう添い寝の必要はない。
常に境内の社務所で暮らし、身体を休めるように」
「「「「「おおおおお」」」」」
「「「「「有難きお言葉でございます」」」」」
村長をはじめとした氏子代表衆が喜色満面で喜びあっている。
中には涙を流すほど感動している者がいる。
村長は孫ができたのだからうれしくて当然だが、他の氏子衆までこれほど喜ぶとは、正直理由が全く分からない。
村に神の血を受け継ぐ者が生まれるというのが嬉しいのだろうか。
日本の天皇家も神の子孫を名乗っていたから、異世界でも同じことが可能か。
俺には自覚はないが一応神だからな、村長の家系に神の血が入る事になるな。
しかし、俺の子は神の力を受け継ぐのかな。
「さて、それはどうであろうか、運次第であろうか」
俺の心を読んで石姫皇女が話しだしたが、氏子代表衆には何の話か分からないので、不思議そうな表情をしている。
「神と人間の子供だからと言って、必ずしも神の力を受け継ぐわけではない。
配祀神である広志の愛情は受けるが、力は運しだいだな。
受け継ぐと喜ばれ、受け継がなければ喜ばれないでは広志もつらかろう。
ここは最初から神の力が受け継がれないようにしておこう」
石姫皇女の言葉に氏子代表衆が顔面蒼白になっている。
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