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第一章

第39話:物価高騰

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 石姫皇女の食べたいモノがどうにも気になったが、だがまずは交易だ。
 アルフィから取れるだけの金を取って、矢を補充するのだ。
 何日もかけての交易となり、アルフィ配下の商人と護衛が、何組も荷馬車と共に毎日何度もやってきて、莫大な量の商品を買って行った。

 3万円で買った廃鶏1500羽は純金29gになった。
 25kg1200円の塩100袋は純金2000gになった。
 25kg3870円の小麦粉1000袋は純金20000gになった。
 各種胡椒は総量で600000gあったのだが純金6000gになった。
 砂糖も同じように総量4000000g純金16000gになった。
 5円玉を200万枚は純金4000gになった。

 取引の日数が何日にも長引いたため、廃鶏が毎日生む卵をその度に買い取らせたので卵の取引量が凄く増えた。
  卵6000個は純金10gになった。
 それにしても、食糧不足の冬前というのは、恐ろしいほど食糧の相場が高くなるモノだと怖くなった。

 いや、アルフィの心の中を覗くと、それだけが原因でもなかった。
 色んな勢力が氏子衆を襲撃する内戦が激しかったのだ。
 戦国乱世のこの世界の中でも、連日連夜戦闘が続く事など普通ない。
 負けたが生き残った勢力が、敗戦で失った兵糧と物資を補充するための臨時税をかけたうえに、金持ちが買い占めを行った事で物価高騰が起きていたのだ。

 確かにそんな食糧難の状態で、雪に閉じ込められ森の恵みも得られなくなる冬前に食糧を確保できなければ、その後に訪れるのは確実な死だ。
 普段でも冬の間に餓死する人間が多いそうなのだが、今回は特に厳しいのだ。
 死にたくなければ全てを売ってでも食糧を確保しなければいけない。
 その売り物の中には、女房子供が含まれることもあれば、自分自身を売るという選択肢まであるのだ。

 危機感を持った村が、村の総意で隣村を襲うのも、生き残るための手段の1つだ。
 食い扶持を減らして家族を生き残らせるために、少年が盗賊団に入るのも、この世界なら仕方がないことなのだろう。
 そんな事が理解できてしまったから、とてつもなくやるせなくなってしまう。
 現代日本で生まれ育った俺には、この世界はハード過ぎるのだ。

 だがそんな事は後の事にして、日本に戻って換金した。
 手に入れた純金が多いので、総額が3億2335万0509円になった。
 もうこれで一生遊んで暮らせると本気で思った。
 問題は異世界の事と石姫皇女の食べたいモノだけだった……

「氷見じゃ、その金で氷見に寒ブリを食べに行くのじゃ。
 広志が食べたことがあるという、寒ブリの鰤トロをわらわにも食べさせるのじゃ」

 そんなもの、今の時代なら家に届けてもらう事もできるだろ……
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