浮気夫に平手打ち

克全

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8話

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「押すな、押すな、押すな! 
 礼儀が悪いと面接もしてもらえなくなるぞ!」

「すまん、すまん。
 俺も後ろに押されちまったんだよ。
 今ギルド職員が入り口で人数制限はじめたから、もう大丈夫だ」

「ほんと、頼むぜ!
 お互い人生がかかっているんだ。
 面接もしてもらえずに落ちるのだけは勘弁してもらいたい」

「ああ、そうだな。
 邪竜退治のパーティーがクランを設立すると言うんだ。
 パーティーの加盟を認められたら、信頼度が跳ね上がって指名依頼が入るぜ」

「その代わり何かしでかしたら、邪竜退治パーティに討伐されるんだぜ?
 それでもいいにか?」

「馬鹿言うな!
 それが分かっていて、誰が悪事を働くかよ」

「そりゃもっともだ!」

 今日は冒険者ギルドの来ています。
 並んでる冒険者たちが話しているように、ルーカス様たちがクランを結成することになったからです。
 同時に見習の弟子や荷物持ちも募集されています。
 これはルーカス様の発案で、難民が苦し紛れに冒険者になり、最初の狩りで死んでしまう事が多いから、最低限の技量が身につくまで、守ってやるためです。

 そのルーカス様の案を聞いた私は、便乗させてもらう事にしました。
 クランの食事は私が作ることになっているのですが、助手を雇ってもらうことにしたのです。
 冒険者の適性がないのに、食べるために、生きていくために、むりして冒険者を目指している者もいるのです。
 そんな子供たちに料理の手伝いをしてもらうのです。

 でも少し責任を感じてしまいます。
 これほど大人数になったのは、私の希望も加えたからです。
 ルーカス様の案だけなら、見習の弟子や荷物持ちであっても、ある程度の技量を持つ者だけが集まったはずです。
 全く戦えない未熟な者や、腕や足を失い、戦えなくなった者までは来なかったはずでなのです。

「ルーカス、本当にこれでよかったのか?
 女子供や障害者を全員荷物持ちに雇うなど、喰わしていくのが大変だぞ。
 まあ俺も神官戦士だから、助けたい気持ちは分かるが、理想と現実は違うぞ」

 神官戦士のデービス男爵デービッドが、ルーカスに疑問を呈しています。
 私も含め、他の人たちも同じ思いです。
 飢える人たちを助けようとする心は尊いですが、やれる事とやれない事は、明確にあるのです。

「心配しなくていいよ。
 駆け出しだけど、最低限の装備を持っている連中も大量に弟子にした。
 彼らを護衛に使えば、ダンジョンの一階層や魔境の端くらいなら安全に移動できるから、投石で小物を狩って彼らの食用にすればいいのさ」
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