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第二章貴族偏

姉妹

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「マリア油断してはいけませんよ」

「はい、姉上」

 少し緊張しますが、こんな嬉しい緊張は人生初めてです。
 だからこそ、絶対に失敗は許されません。
 何があろうと、マリアを無事に身体強化させるのです。
 その為には、できるだけ強い魔獣を数多く傷つけなければいけません。
 効率よくマリアに傷つけさせて、止めも刺させなければいけません。
 獲物の買い取り価格など考慮してはいられないのです!

 もう三頭目の属性竜など、どうでもいいです。
 そんな事よりも、マリアの成長と身体強化です。
 マリアを補佐するパーティーメンバーも、厳選しなければいけません。
 だからといって、新設したばかりのホセイ家魔都徒士団騎士団の編制を、恣意的に再編成するわけにはいきません。

 そんな事をしたら、家臣達の信望を失ってしまいます。
 マリアとニコルを優遇する事は、当主の特権として許されますが、その為に家臣に不利益を与える事は、文句は言われませんが信望と忠誠心を失います。
 それに、そんな恥知らずな真似はできません。
 私の目標はドウラさんなのですから。

「しかりしな、それでもドウラ城伯家の女かい!」

「はい、すみません」

「おい、おい、おい。
 その程度でへばっているんじゃないよ。
 ゲイツ城伯家の分家を名乗るんなら、もっと踏ん張るんだ!」

「はい、頑張ります」

 結局、城伯に陞爵された私達が鍛えたいと思える身内で、パーティーを組ませる事になりました。
 そう言う意味では、ゲイツ家にもドウラ家にも分家があります。
 分家には子供も孫もいるのです。
 鍛える機会があるのなら、鍛えたいと思って当然なのです。

 特にドウラ家には、家を継ぐべきエマとニカの兄がいます。
 妹達の足元にも及ばない実力なのは、気概があるなら耐えられないでしょう。
 魔力がなくても属性竜と戦えることは、私達前衛職が証明しました。
 自分の祖母、ドウラさんという大目標もあります。
 彼が私の妹育成を聞いて、黙っているはずがなかったのです。

 結局、私が私的時間にパーティーを離脱することは、一瞬の事になりました。
 八人のパーティーメンバーが、それぞれ身内を鍛える事になりました。
 とはいっても、魔法使いのエマとニカでは、前衛職を丁寧に育てる事は無理です。
 結局イヴァンとダニエルが協力してそれぞれの又従姉妹を鍛える事になりました。
 私が妹を鍛える事に触発されたので、自然とドウラさんの嫡孫レイノルド以外は、女ばかりのパーティーになってしまいました。

 ですが、だからといって、絶対にハーレムなんかにはさせません!
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