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第二章貴族偏

二匹目

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 緊張が走ります。
 間違えようのない強大な魔力量です。
 二度目とはいえ、正直逃げ出したくなります。
 あの時は、ドウラさんを助けたい一心で恐怖など感じる余裕もありませんでしたが、今だと中途半端に余裕があるので、恐怖を感じてしまいます。

 身振り手振りで作戦を話し合います。
 エマとニカの魔力は温存して、各種魔術書を使いました。
 身体強化と防御魔法を重ね掛けするのです。
 属性竜を戦っている間に、身体強化と防御魔法が切れたら命にかかわります。
 素早く全ての準備を整え、属性竜がまだ移動していないのを確かめます。

 本当は眼と脳が欲しいです。
 前回の狩りでも、眼と脳を破壊して斃しましたから、素材としては眼と脳が不足しているので、それを確保したいのです。
 ですが、今の私達に、属性竜の鱗・表皮・真皮・皮下脂肪・脂肪を層を破り、骨をよけて心臓を破壊するなど、実質不可能です。

 身振り手振りで最終確認ができました。
 片目だけを狙います。
 左目だけを破壊して、右目は完全の状態で確保します。
 斃した後で、破壊して混じった脳を回収します。
 分離できれば、何とか素材として使えるかもしれません。

 ブレスです!
 今回の属性竜は、いきなりブレス攻撃を放ちました。
 防御魔法も展開しています。
 前回の属性竜と違って、積極的に攻勢防御を仕掛けてきます。
 私達を殺して喰う事よりも、生き残るために攻撃しているようです。

 属性竜によって、個々の性格が違う事が分かりました。
 こうなってしまったら、いつもの戦法は使えません。
 罠に嵌め、奇襲の一撃で斃すことは不可能です。
 持久戦をするしかありません。
 属性竜の体温が上昇して、素材としての価値が下がってしまいます。

 ですが、それでも、狩れないよりはましです。
 それに、身体強化を考えれば、ここで属性竜を斃すのも大切です。
 素材としての価値が大幅に下がっても、二頭目の属性竜を斃した経験は、私達をさらに成長させてくれるでしょう。

 そういうことを考えながら、ブレス攻撃を掻い潜ります。
 私達前衛三人が、属性竜の魔力を消耗させ、ブレスを消費させないといけません。
 ブレスは魔力で作られているというのが皇国での定説ですが、それが必ず正しいとは限りません。
 素材として解体した時の常識では、ブレスのための器官はありませんでした。

 ですが、個体ごとに違いがあるかもしれませんし、人間の常識では考えられない、器官の使い方をするのかもしれません。
 ジョージ様とマルティン様が前衛の陽動に加わりました。
 ここが勝負時なのか、それとも彼らから見て私達の動きが悪くなったのか、魔術書で重ね掛けしなければいけません。
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