43 / 99
第一章冒険者偏
裏事情
しおりを挟む
「父上、こんなに時間をかけて大丈夫なんですか。
あれほど強引な方法をとってきた皇族の方です。
ラナが直ぐに行かないと、処罰しろと言ったりしないですか?」
私が気にしていたことを、イヴァンが質問してくれます。
私を本気で心配してくれている事が、表情と声色で分かります。
「それは大丈夫だ。
今特に切羽詰まって護衛が欲しいわけではない。
そんな皇族の方が、今無理矢理呼べは亜竜殺しだが、半年待てば属性竜殺しになる護衛を、直ぐに呼ぶと思うか」
「呼ばないですね。
自分の護衛が属性竜殺しだと自慢したいでしょうからね。
しかし半年ですか。
半年で属性竜を狩れますか?」
「このメンバーだ。
見つけさえできれば狩れるさ。
半年過ぎて狩れなくても、鉤竜骨革鱗鎧に鉤竜牙剣と鉤竜牙槍を加えて献上すれば、お咎めもないよ」
さすがですね。
長年皇城に勤められているだけに、駆け引きが巧みです。
最底辺の徒士職でも、普段から目配りをかかさなければ、これくらい駆け引きができるようになるのですね。
考えるのが苦手な、槍一筋の義父上とは違いますね。
でもなぜでしょう?
亜竜種を狩った事のあるジョージ様なら、最低でも騎士、士爵の地位は得られたはずですよね。
「父上。
なぜゲイツ家は徒士職なのですか。
お爺様や父上なら、騎士や士爵になれたのではありませんか?」
ダニエルも私と同じことが気になったようです。
「道場とクランを続ける事を条件にしたからさ。
お目見え以上だと色々うるさいからな。
だが結局一代騎士を拝命してしまって、マルティンを魔都に送るのが、予定よりだいぶ遅れてしまった。
しかし属性竜さえ狩れれば、代々属性竜を狩る事ができる当主を育てるためと、人質の嫡男を皇都から自由に出せるようになる。
ここはゲイツ家にも正念場なのだ」
色々と事情があるのですね。
妻子が皇都に残らなければいけないのが人質なのは常識ですが、大ぴらに口にするのは憚られる事なのですが、ジョージ様は平気ですね。
もっとも、こんな魔境に奥深くについて来れる密偵などいないと思いますが。
「静かにしな。
禽竜の群れがいるよ。
最初に前衛職で誘い出して斃せるか試しな。
厳しいようならエマとニカにやらせるよ」
「「「「「はい」」」」」
私達はこれを最後に黙りました。
相手は禽竜です。
属性竜を狩る前に、中型亜竜、大型亜竜を斃して練習します。
それに、強制出仕させられることを前提に貯金を殖やしておかないといけません。
四トン級の禽竜は八千万小銅貨になります。
七十トン級の腕龍にいたっては四十二億小銅貨です。
一頭狩れれば無理に冒険者を続ける必要などありません。
あれほど強引な方法をとってきた皇族の方です。
ラナが直ぐに行かないと、処罰しろと言ったりしないですか?」
私が気にしていたことを、イヴァンが質問してくれます。
私を本気で心配してくれている事が、表情と声色で分かります。
「それは大丈夫だ。
今特に切羽詰まって護衛が欲しいわけではない。
そんな皇族の方が、今無理矢理呼べは亜竜殺しだが、半年待てば属性竜殺しになる護衛を、直ぐに呼ぶと思うか」
「呼ばないですね。
自分の護衛が属性竜殺しだと自慢したいでしょうからね。
しかし半年ですか。
半年で属性竜を狩れますか?」
「このメンバーだ。
見つけさえできれば狩れるさ。
半年過ぎて狩れなくても、鉤竜骨革鱗鎧に鉤竜牙剣と鉤竜牙槍を加えて献上すれば、お咎めもないよ」
さすがですね。
長年皇城に勤められているだけに、駆け引きが巧みです。
最底辺の徒士職でも、普段から目配りをかかさなければ、これくらい駆け引きができるようになるのですね。
考えるのが苦手な、槍一筋の義父上とは違いますね。
でもなぜでしょう?
亜竜種を狩った事のあるジョージ様なら、最低でも騎士、士爵の地位は得られたはずですよね。
「父上。
なぜゲイツ家は徒士職なのですか。
お爺様や父上なら、騎士や士爵になれたのではありませんか?」
ダニエルも私と同じことが気になったようです。
「道場とクランを続ける事を条件にしたからさ。
お目見え以上だと色々うるさいからな。
だが結局一代騎士を拝命してしまって、マルティンを魔都に送るのが、予定よりだいぶ遅れてしまった。
しかし属性竜さえ狩れれば、代々属性竜を狩る事ができる当主を育てるためと、人質の嫡男を皇都から自由に出せるようになる。
ここはゲイツ家にも正念場なのだ」
色々と事情があるのですね。
妻子が皇都に残らなければいけないのが人質なのは常識ですが、大ぴらに口にするのは憚られる事なのですが、ジョージ様は平気ですね。
もっとも、こんな魔境に奥深くについて来れる密偵などいないと思いますが。
「静かにしな。
禽竜の群れがいるよ。
最初に前衛職で誘い出して斃せるか試しな。
厳しいようならエマとニカにやらせるよ」
「「「「「はい」」」」」
私達はこれを最後に黙りました。
相手は禽竜です。
属性竜を狩る前に、中型亜竜、大型亜竜を斃して練習します。
それに、強制出仕させられることを前提に貯金を殖やしておかないといけません。
四トン級の禽竜は八千万小銅貨になります。
七十トン級の腕龍にいたっては四十二億小銅貨です。
一頭狩れれば無理に冒険者を続ける必要などありません。
0
お気に入りに追加
273
あなたにおすすめの小説
気が付けば丸々とした令嬢でした。
ミント
ファンタジー
前世の記憶が戻った瞬間、婚約者に婚約破棄されてました。
でも私的には全然ショックじゃない!
むしろ私の体型がショックでした。
こんなに太ってるなんて許せない!
令嬢の私はダイエットします!
恋愛要素に繋がるかまだわからないためファンタジーにさせていただきました🙋♀️
皆様に役立つ?情報が入っているかもしれない小説です🙋♀️(本人談)
文の最後に私の呟き?入ってることがあります。
ご了承くださいm(_ _)m
今度生まれ変わることがあれば・・・全て忘れて幸せになりたい。・・・なんて思うか!!
れもんぴーる
ファンタジー
冤罪をかけられ、家族にも婚約者にも裏切られたリュカ。
父に送り込まれた刺客に殺されてしまうが、なんと自分を陥れた兄と裏切った婚約者の一人息子として生まれ変わってしまう。5歳になり、前世の記憶を取り戻し自暴自棄になるノエルだったが、一人一人に復讐していくことを決めた。
メイドしてはまだまだなメイドちゃんがそんな悲しみを背負ったノエルの心を支えてくれます。
復讐物を書きたかったのですが、生ぬるかったかもしれません。色々突っ込みどころはありますが、おおらかな気持ちで読んでくださると嬉しいです(*´▽`*)
*なろうにも投稿しています
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
〈とりあえずまた〆〉婚約破棄? ちょうどいいですわ、断罪の場には。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
辺境伯令嬢バルバラ・ザクセットは、第一王子セインの誕生パーティの場で婚約破棄を言い渡された。
だがその途端周囲がざわめき、空気が変わる。
父王も王妃も絶望にへたりこみ、セインの母第三側妃は彼の頬を打ち叱責した後、毒をもって自害する。
そしてバルバラは皇帝の代理人として、パーティ自体をチェイルト王家自体に対する裁判の場に変えるのだった。
番外編1……裁判となった事件の裏側を、その首謀者三人のうちの一人カイシャル・セルーメ視点であちこち移動しながら30年くらいのスパンで描いています。シリアス。
番外編2……マリウラ視点のその後。もう絶対に関わりにならないと思っていたはずの人々が何故か自分のところに相談しにやってくるという。お気楽話。
番外編3……辺境伯令嬢バルバラの動きを、彼女の本当の婚約者で護衛騎士のシェイデンの視点から見た話。番外1の少し後の部分も入ってます。
*カテゴリが恋愛にしてありますが本編においては恋愛要素は薄いです。
*むしろ恋愛は番外編の方に集中しました。
3/31
番外の番外「円盤太陽杯優勝者の供述」短期連載です。
恋愛大賞にひっかからなかったこともあり、カテゴリを変更しました。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
お飾り王妃の受難〜陛下からの溺愛?!ちょっと意味がわからないのですが〜
湊未来
恋愛
王に見捨てられた王妃。それが、貴族社会の認識だった。
二脚並べられた玉座に座る王と王妃は、微笑み合う事も、会話を交わす事もなければ、目を合わす事すらしない。そんな二人の様子に王妃ティアナは、いつしか『お飾り王妃』と呼ばれるようになっていた。
そんな中、暗躍する貴族達。彼らの行動は徐々にエスカレートして行き、王妃が参加する夜会であろうとお構いなしに娘を王に、けしかける。
王の周りに沢山の美しい蝶が群がる様子を見つめ、ティアナは考えていた。
『よっしゃ‼︎ お飾り王妃なら、何したって良いわよね。だって、私の存在は空気みたいなものだから………』
1年後……
王宮で働く侍女達の間で囁かれるある噂。
『王妃の間には恋のキューピッドがいる』
王妃付き侍女の間に届けられる大量の手紙を前に侍女頭は頭を抱えていた。
「ティアナ様!この手紙の山どうするんですか⁈ 流石に、さばききれませんよ‼︎」
「まぁまぁ。そんなに怒らないの。皆様、色々とお悩みがあるようだし、昔も今も恋愛事は有益な情報を得る糧よ。あと、ここでは王妃ティアナではなく新人侍女ティナでしょ」
……あら?
この筆跡、陛下のものではなくって?
まさかね……
一通の手紙から始まる恋物語。いや、違う……
お飾り王妃による無自覚プチざまぁが始まる。
愛しい王妃を前にすると無口になってしまう王と、お飾り王妃と勘違いしたティアナのすれ違いラブコメディ&ミステリー
悪役令嬢に転生してストーリー無視で商才が開花しましたが、恋に奥手はなおりません。
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】乙女ゲームの悪役令嬢である公爵令嬢カロリーナ・シュタールに転生した主人公。
だけど、元はといえば都会が苦手な港町生まれの田舎娘。しかも、まったくの生まれたての赤ん坊に転生してしまったため、公爵令嬢としての記憶も経験もなく、アイデンティティは完全に日本の田舎娘。
高慢で横暴で他を圧倒する美貌で学園に君臨する悪役令嬢……に、育つ訳もなく当たり障りのない〈ふつうの令嬢〉として、乙女ゲームの舞台であった王立学園へと進学。
ゲームでカロリーナが強引に婚約者にしていた第2王子とも「ちょっといい感じ」程度で特に進展はなし。当然、断罪イベントもなく、都会が苦手なので亡き母の遺してくれた辺境の領地に移住する日を夢見て過ごし、無事卒業。
ところが母の愛したミカン畑が、安く買い叩かれて廃業の危機!? 途方にくれたけど、目のまえには海。それも、天然の良港! 一念発起して、港湾開発と海上交易へと乗り出してゆく!!
乙女ゲームの世界を舞台に、原作ストーリー無視で商才を開花させるけど、恋はちょっと苦手。
なのに、グイグイくる軽薄男爵との軽い会話なら逆にいける!
という不器用な主人公がおりなす、読み味軽快なサクセス&異世界恋愛ファンタジー!
*女性向けHOTランキング1位に掲載していただきました!(2024.9.1-2)たくさんの方にお読みいただき、ありがとうございます!
*第17回ファンタジー小説大賞で奨励賞をいただきました!
婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。
なつめ猫
ファンタジー
公爵家令嬢のアリーシャは、我儘で傲慢な妹のアンネに婚約者であるカイル王太子を寝取られ学院卒業パーティの席で婚約破棄されてしまう。
そして失意の内に王都を去ったアリーシャは行方不明になってしまう。
そんなアリーシャをラッセル王国は、総力を挙げて捜索するが何の成果も得られずに頓挫してしまうのであった。
彼女――、アリーシャには王国の重鎮しか知らない才能があった。
それは、世界でも稀な大魔導士と、世界で唯一の聖女としての力が備わっていた事であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる