11 / 22
1章
4話
しおりを挟む
俺にはこの世界の武器の良し悪しなど分からないけれど、呪いにかかったエルフが欲しくなるほどの名剣なのだろう。
俺は百婆ちゃんが、それほどの名剣を貸してあげるのか心配になった。
百婆ちゃんは海千山千のしたたか者なのだと、こっちにきてから思い知ったから。
「ふむ、その武器は鬼に特化しておる。
鬼以外には全く普通の剣と同じじゃ。
それでは命の恩を返してもらうには不便であろう。
ヘルミは薙刀は使えるのか?」
「ええ、剣と同じように使えるわ。
よほど狭い場所でない限り、間合いが長い方が有利だからね。
狭い場所でも、短く持って戦う技も極めているわ」
「だったらこの薙刀を使ってみろ。
ある名工が鍛錬した『静御前』と言う銘までつけられている名薙刀だ」
「それを貸してもらえるなら、どんな場所でどんな敵と戦っても負けない自信があるわ、ソウタの教育と護衛は任せて」
俺を置いてけぼりにして、百婆ちゃんとヘルミの会話はドンドン進んでいく。
百婆ちゃんが俺に貸してくれた武器は、全部特殊な力が付与されているのだろう。
恐ろしく強力な武器なのだろうことが、二人の会話で分かる。
ヘルミが俺の教育係兼護衛を務めてくれるようだが、俺は大丈夫なのだろうか?
さっきのように興奮してしまって、とても戦いに集中できる状態ではなくなってしまうのではないだろうか?
「槍太。
冒険者登録が終わったから行くよ」
百婆ちゃんがサクサクと全部決めていく。
ヘルミと条件を整えるのに、冒険者組合の食堂を利用したが、そのついでに俺の冒険者新規登録と、百婆ちゃんの冒険者登録確認をした。
俺の新規登録には何の問題もない。
書類を書いて提出し、首から下げる階級に応じた認識票をもらうだけだ。
問題は百婆ちゃんの確認だ。
高祖父の政就爺ちゃんが亡くなってから異世界にこれなかった百婆ちゃんは、長い間冒険者として活動していないのだ。
その活動休止期間に死亡認定されている可能性があるし、その当時の認識票を見せても、偽者が成り済まそうとしていると認めてもらえないことがあるそうだ。
だが、エルフ族のヘルミが本人だと証明してくれたことと、当時の認識票を持っていたことで、何の問題もなく百婆ちゃんは本人だと認定された。
最初に会った場面であまりに弱く見えたので、気安く対応していたのだが、ヘルミはとんでもなく有名で実力も伴った冒険者のようだ。
そんなヘルミが、実力を発揮できないでいるのは、とても可哀想だと思った。
助けてあげられるものなら、助けてあげたいと思った。
まあ、でも、俺は百婆ちゃんの言いなりなんだけど。
「ミト、次はどこに行くんだ?」
ヘルミが百婆ちゃんを名前で呼ぶ。
もうすっかり仲良しのようだ。
「槍太を鍛えるならオーク狩りがよかろう」
俺は百婆ちゃんが、それほどの名剣を貸してあげるのか心配になった。
百婆ちゃんは海千山千のしたたか者なのだと、こっちにきてから思い知ったから。
「ふむ、その武器は鬼に特化しておる。
鬼以外には全く普通の剣と同じじゃ。
それでは命の恩を返してもらうには不便であろう。
ヘルミは薙刀は使えるのか?」
「ええ、剣と同じように使えるわ。
よほど狭い場所でない限り、間合いが長い方が有利だからね。
狭い場所でも、短く持って戦う技も極めているわ」
「だったらこの薙刀を使ってみろ。
ある名工が鍛錬した『静御前』と言う銘までつけられている名薙刀だ」
「それを貸してもらえるなら、どんな場所でどんな敵と戦っても負けない自信があるわ、ソウタの教育と護衛は任せて」
俺を置いてけぼりにして、百婆ちゃんとヘルミの会話はドンドン進んでいく。
百婆ちゃんが俺に貸してくれた武器は、全部特殊な力が付与されているのだろう。
恐ろしく強力な武器なのだろうことが、二人の会話で分かる。
ヘルミが俺の教育係兼護衛を務めてくれるようだが、俺は大丈夫なのだろうか?
さっきのように興奮してしまって、とても戦いに集中できる状態ではなくなってしまうのではないだろうか?
「槍太。
冒険者登録が終わったから行くよ」
百婆ちゃんがサクサクと全部決めていく。
ヘルミと条件を整えるのに、冒険者組合の食堂を利用したが、そのついでに俺の冒険者新規登録と、百婆ちゃんの冒険者登録確認をした。
俺の新規登録には何の問題もない。
書類を書いて提出し、首から下げる階級に応じた認識票をもらうだけだ。
問題は百婆ちゃんの確認だ。
高祖父の政就爺ちゃんが亡くなってから異世界にこれなかった百婆ちゃんは、長い間冒険者として活動していないのだ。
その活動休止期間に死亡認定されている可能性があるし、その当時の認識票を見せても、偽者が成り済まそうとしていると認めてもらえないことがあるそうだ。
だが、エルフ族のヘルミが本人だと証明してくれたことと、当時の認識票を持っていたことで、何の問題もなく百婆ちゃんは本人だと認定された。
最初に会った場面であまりに弱く見えたので、気安く対応していたのだが、ヘルミはとんでもなく有名で実力も伴った冒険者のようだ。
そんなヘルミが、実力を発揮できないでいるのは、とても可哀想だと思った。
助けてあげられるものなら、助けてあげたいと思った。
まあ、でも、俺は百婆ちゃんの言いなりなんだけど。
「ミト、次はどこに行くんだ?」
ヘルミが百婆ちゃんを名前で呼ぶ。
もうすっかり仲良しのようだ。
「槍太を鍛えるならオーク狩りがよかろう」
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
パーティを抜けた魔法剣士は憧れの冒険者に出会い、最強の冒険者へと至る
一ノ瀬一
ファンタジー
幼馴染とパーティを組んでいた魔法剣士コルネは領主の息子が入ってきたいざこざでパーティを抜ける。たまたま目に入ったチラシは憧れの冒険者ロンドが開く道場のもので、道場へ向かったコルネはそこで才能を開花させていく。
※毎日更新
小説家になろう、カクヨムでも同時連載中!
https://ncode.syosetu.com/n6654gw/
https://kakuyomu.jp/works/16816452219601856526
勇者パーティを追放されそうになった俺は、泣いて縋って何とか残り『元のDQNに戻る事にした』どうせ俺が生きている間には滅びんだろう!
石のやっさん
ファンタジー
今度の主人公はマジで腐っている。基本悪党、だけど自分のルールあり!
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のリヒトは、とうとう勇者でありパーティリーダーのドルマンにクビを宣告されてしまう。幼馴染も全員ドルマンの物で、全員から下に見られているのが解った。
だが、意外にも主人公は馬鹿にされながらも残る道を選んだ。
『もう友達じゃ無いんだな』そう心に誓った彼は…勇者達を骨の髄までしゃぶり尽くす事を決意した。
此処迄するのか…そう思う『ざまぁ』を貴方に
前世のDQNに戻る事を決意した、暗黒面に落ちた外道魔法戦士…このざまぁは知らないうちに世界を壊す。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる