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第二章
第61話:指嗾
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皇紀2222年・王歴224年・晩冬・皇居・14歳
「シャーロット、国王と貴族達の動きはどうなっているのですか」
わたくしのハリー様の所に嫁ぎたいという思いは叶えられず、婚約すらもできない状況が続くだけでなく、皇女命令すら出す事を禁じられました。
ハリー様のわたくしを想う優しさなのは分かっていますが、我慢できません。
わたくしはどうしようもない不安に囚われているのです。
ハリー様はわたくしと同じ年に生まれられているのです。
戦って領地を切り取る王国貴族にとって、後継者は絶対に必要なのです。
ハリー様はわたくしが嫁ぐのを待ってくださる心算でしょうが、僅か八千人の弱小男爵家だったエレンバラ家を、三十二万人もの大領にした不世出の英雄であるハリー様の子供を、家臣達は欲する事でしょう。
家臣達の中に自分の娘をハリー様に嫁がせようとする者が現れるかもしれません。
家臣同士の牽制で、家臣から側室を出す事を防げたとしても、有力な王国貴族家から正室を迎え、今の領地を安定させようとするかもしれないのです。
だからこそ、どのような手段を使っても婚約だけは整えなければいけないのです。
そのために戦を起こす事になろうと仕方がないのです。
どうせ機会があれば何時始まってもおかしくない戦です。
それが数カ月早くなるだけなのですから、非難されるほどの事ではありません。
それに、この戦いによって、この国の平安が少しでも早く訪れればいいのです。
シャーロットがそのように取り計らってくれるでしょう。
「ミア皇女殿下が関係した事が絶対に分からないように、色々と工作したので少し時間がかかりましたが、馬鹿王が上手く引っかかってくれました。
馬鹿国王が、ミア皇女殿下が以前皇女命令を出してカンリフ達と戦わせた、王国の貴族や騎士に向けて、カンリフ達を討伐しろと国王勅命をだしました。
春になったら、多くの貴族や騎士が一斉にカンリフ達に襲い掛かる事でしょう」
「シャーロットの事ですから大丈夫だとは思いますが、念のために聞いておきます。
この策はハリー様に嫌われるようなモノではありませんね」
「その点は大丈夫でございます、ミア皇女殿下。
この戦に嫌々巻き込まれるような民には、殿下の御料地に逃げられるようにしておりますので、むしろ褒められる事でしょう」
「そうですか、それならばいいのです。
ですが、そのわたくしの領地にカンリフや国王軍が襲いかかる事はありませんか。
そのような事になったら、ハリー様に嫌われてしまうのではありませんか。
シャーロットの事ですから、十分な手配りをしてくれているのは分かっているのですが、つい心配になってしまうのです」
シャーロットに頼んだ時には少々の無理は承知していたのですが、いざ出来るとなると、やる事でハリー様に嫌われてしまうのではないかと不安になってしまいます。
「大丈夫でございます、ご安心ください。
今回の策に関しては、ハリー様にも相談させていただいております。
全ての飛び地に、ハリー様が創られた魔法陣と魔宝石が貸与された守備隊が派遣されておりますので、万余の兵が襲いかかってきたとしての何の心配もありません」
「シャーロット、国王と貴族達の動きはどうなっているのですか」
わたくしのハリー様の所に嫁ぎたいという思いは叶えられず、婚約すらもできない状況が続くだけでなく、皇女命令すら出す事を禁じられました。
ハリー様のわたくしを想う優しさなのは分かっていますが、我慢できません。
わたくしはどうしようもない不安に囚われているのです。
ハリー様はわたくしと同じ年に生まれられているのです。
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今回の策に関しては、ハリー様にも相談させていただいております。
全ての飛び地に、ハリー様が創られた魔法陣と魔宝石が貸与された守備隊が派遣されておりますので、万余の兵が襲いかかってきたとしての何の心配もありません」
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