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第6話:暗闘の果て、忠誠の勇者たち
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わたくしは、王都にあるコーンウォリス公爵家の屋敷に戻り、常駐している将兵を集め、国王陛下をお助けしようとしました。
ですが父上と兄上がドラモンド王国に向かっているので、側近の半分が一緒に移動していて、腕の立つ家臣が少ないのです。
わたくしは、側近の戦闘侍女と兵士を率いて王宮に戻りました。
途中多くの遺体と遭遇しました。
近衛騎士隊長が謀叛を起こし、王太子と多くの貴族が殺されたので、心映えの悪い者がこれ幸いと略奪を始めたようです。
犯罪者を取り締まりたい気持ちはあるのですが、国王陛下をお助けするのが最優先なので、泣く泣く見てみぬ振りをしました。
「何の者だ、ここから先は王族以外入れない侵入禁止区画だ!
これより先に進もうとすれば、謀叛人となるぞ!」
偉そうにわたくし達を阻む警備の騎士がいます。
ですが怯えた表情を隠す事はできません。
フェリックスが国王陛下を弑逆しようと、奥に入り込んだのを知っているのです。
ですがフェリックスと戦う勇気がなく、奥に国王陛下を助けに行かない理由として、警備に徹していたと言い訳するつもりでしょう。
「卑怯者!
己が臆病で国王陛下を助けに行かないのは、恥知らずとして処分を待つがよい。
陛下を助けに行く我らの邪魔をすると言うのなら、この場で斬って棄てますよ!」
わたくしが一喝して剣を向けると、騎士の姿をした卑怯者は、情けなくもその場にへたり込んでしまいました。
王家直属の騎士と言うのは、このような臆病者な卑怯者や、王宮を荒らす邪悪な者ばかりなのでしょうか?
「国王陛下を御救いせんとする者は、わたくしと一緒に来なさい!」
わたくしが声をからして勇士を募ると、多くの者が集まってくれました。
装備を整えた騎士は少数でしたが、庭師や馬丁、料理人や掃除夫などが集まってきてくれました。
大禄を食み、普段偉そうにしていた貴族や騎士ではなく、こういう者たちこそ忠誠心を持った勇士です。
黙ってわたくしの周囲を護ってくれる、我が家の戦闘侍女と兵士がいます。
その後ろに、めいめい武器とも言えない道具を持った、王宮の奉公人が続きます。
奥に進むにつれて、フェリックスに斬り殺された者が斃れています。
王子とその側近、評判の悪かった者が殺されています。
名も知らないような、身分の低い若い女官までは殺されていません。
失禁して意識も失っていますが、確かに息があります。
フェリックスは殺す相手を選んでいるようです。
「ここから先はわたくしも道が分かりません。
誰か国王陛下が臥せっておられる部屋を知りませんか?」
「私が案内させていただきます」
医官の制服を着た中年女性が先導してくれる事になりました。
ですが父上と兄上がドラモンド王国に向かっているので、側近の半分が一緒に移動していて、腕の立つ家臣が少ないのです。
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犯罪者を取り締まりたい気持ちはあるのですが、国王陛下をお助けするのが最優先なので、泣く泣く見てみぬ振りをしました。
「何の者だ、ここから先は王族以外入れない侵入禁止区画だ!
これより先に進もうとすれば、謀叛人となるぞ!」
偉そうにわたくし達を阻む警備の騎士がいます。
ですが怯えた表情を隠す事はできません。
フェリックスが国王陛下を弑逆しようと、奥に入り込んだのを知っているのです。
ですがフェリックスと戦う勇気がなく、奥に国王陛下を助けに行かない理由として、警備に徹していたと言い訳するつもりでしょう。
「卑怯者!
己が臆病で国王陛下を助けに行かないのは、恥知らずとして処分を待つがよい。
陛下を助けに行く我らの邪魔をすると言うのなら、この場で斬って棄てますよ!」
わたくしが一喝して剣を向けると、騎士の姿をした卑怯者は、情けなくもその場にへたり込んでしまいました。
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「国王陛下を御救いせんとする者は、わたくしと一緒に来なさい!」
わたくしが声をからして勇士を募ると、多くの者が集まってくれました。
装備を整えた騎士は少数でしたが、庭師や馬丁、料理人や掃除夫などが集まってきてくれました。
大禄を食み、普段偉そうにしていた貴族や騎士ではなく、こういう者たちこそ忠誠心を持った勇士です。
黙ってわたくしの周囲を護ってくれる、我が家の戦闘侍女と兵士がいます。
その後ろに、めいめい武器とも言えない道具を持った、王宮の奉公人が続きます。
奥に進むにつれて、フェリックスに斬り殺された者が斃れています。
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失禁して意識も失っていますが、確かに息があります。
フェリックスは殺す相手を選んでいるようです。
「ここから先はわたくしも道が分かりません。
誰か国王陛下が臥せっておられる部屋を知りませんか?」
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