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神隠し
バッハ聖教皇家
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「イチロウ殿、思っていた以上に全てが順調に進んでいる」
「バルバラ殿、それはバッハ聖教皇家と直臣貴族が思っていた以上に力を残していると言う事ですか?」
「いえ、実戦力は想像していた通り皆無なのですが、名誉と言うか権威と言うか、アヤフヤなものが残っているようです。力をつけた冒険者や傭兵上がりの者や財を築いた商人が、権威を求めて爵位や騎士位を御金で買っているのです」
「なるほど、以前から分かっていた事ですが、権威を切り売りしていき残っているのですね」
「それと直属貴族に中には、娘を有力者に嫁がせて、その力を背景にして多少の影響力を行使している者もいるようです」
「今回はそのような貴族と商人を使って、教都でオークションを行うのですね?」
「はい、商都まで行かねば全ての交易品を売りさばけないかと覚悟していたのですが、直属貴族家に1割の手数料を支払う事で、商都の有力商人と縁戚の貴族・有力騎士を集める事ができそうです」
「事前に安値に談合される恐れはないですか?」
「それも大丈夫です、最低落札価格をダンジョン都市のオークション価格に設定していますから、最悪でも交易品を持ち帰ることができます」
「持ち帰ってハナセダンジョン都市で再度のオークションを行ってもいいですし、アバーテ地区で独自にオークションを開催することもできます。何より商人たちの小売価格を調べて、同じ値段で少量販売することも可能です、無理に値下げして売り払う事はないですよ」
「分かりました、人をやって小売価格を調べさせます」
「ところで、後で合流した人狼族の5人はどうですか?」
「姉上様が、鍛錬代わりに模擬戦をされましたが、1対1でもいい勝負をします。彼女らほどの手練れなら、領地を与えても家臣に加えるべきだと思います」
「そうなると、最低でも男爵位に陞爵される必要があるのですが、そちらはどうです?」
「今回大きな利益を、バッハ聖教皇家と直臣の貴族・騎士に与えることはできましたが、陞爵はバッハ聖教皇家に残された僅かな資金源の1つです。普通なら準男爵位を飛び越して男爵位は難しいです」
「普通ならと言う事は、今回は特別に男爵位を手に入れる事ができたのですね」
「はい、拡声器と言う、今まで全く考えられもしなかった魔道具を開発製作されたのです。これで魔道具開発家の魔導師として、貴族待遇を得る事ができましたので、問題無く正式な男爵に陞爵されることになりました。もっとも正規の献金を納めさせられましたが」
「では、今回はローゼンミュラー家も私も男爵になると言う事ですね」
「はい、それは間違いなく約束してくれました」
「バルバラ殿、それはバッハ聖教皇家と直臣貴族が思っていた以上に力を残していると言う事ですか?」
「いえ、実戦力は想像していた通り皆無なのですが、名誉と言うか権威と言うか、アヤフヤなものが残っているようです。力をつけた冒険者や傭兵上がりの者や財を築いた商人が、権威を求めて爵位や騎士位を御金で買っているのです」
「なるほど、以前から分かっていた事ですが、権威を切り売りしていき残っているのですね」
「それと直属貴族に中には、娘を有力者に嫁がせて、その力を背景にして多少の影響力を行使している者もいるようです」
「今回はそのような貴族と商人を使って、教都でオークションを行うのですね?」
「はい、商都まで行かねば全ての交易品を売りさばけないかと覚悟していたのですが、直属貴族家に1割の手数料を支払う事で、商都の有力商人と縁戚の貴族・有力騎士を集める事ができそうです」
「事前に安値に談合される恐れはないですか?」
「それも大丈夫です、最低落札価格をダンジョン都市のオークション価格に設定していますから、最悪でも交易品を持ち帰ることができます」
「持ち帰ってハナセダンジョン都市で再度のオークションを行ってもいいですし、アバーテ地区で独自にオークションを開催することもできます。何より商人たちの小売価格を調べて、同じ値段で少量販売することも可能です、無理に値下げして売り払う事はないですよ」
「分かりました、人をやって小売価格を調べさせます」
「ところで、後で合流した人狼族の5人はどうですか?」
「姉上様が、鍛錬代わりに模擬戦をされましたが、1対1でもいい勝負をします。彼女らほどの手練れなら、領地を与えても家臣に加えるべきだと思います」
「そうなると、最低でも男爵位に陞爵される必要があるのですが、そちらはどうです?」
「今回大きな利益を、バッハ聖教皇家と直臣の貴族・騎士に与えることはできましたが、陞爵はバッハ聖教皇家に残された僅かな資金源の1つです。普通なら準男爵位を飛び越して男爵位は難しいです」
「普通ならと言う事は、今回は特別に男爵位を手に入れる事ができたのですね」
「はい、拡声器と言う、今まで全く考えられもしなかった魔道具を開発製作されたのです。これで魔道具開発家の魔導師として、貴族待遇を得る事ができましたので、問題無く正式な男爵に陞爵されることになりました。もっとも正規の献金を納めさせられましたが」
「では、今回はローゼンミュラー家も私も男爵になると言う事ですね」
「はい、それは間違いなく約束してくれました」
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