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第一章
第43話:春うらら
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穏やかな、とても穏やかな日々が続いている。
砂漠に水を引き、魔力を満たし、種をまいて穀物を促成栽培させる。
子供たちがたわわに実った穀物を収穫する姿を見ながら休む。
早朝の一仕事が終わったら、子供たちに勉強を教える。
休み時間には、たわいもない話しをしたりゲームをしたりする。
とてつもなく暑い砂漠の日中は、子供たちとお昼寝を愉しむ。
少し暑さが緩む時間になったら起きて、午後の勉強をする。
日が落ちると砂漠は一気に冷え込むので、ここからは狩りの時間だ。
俺がヘビ型とワニ型の亜竜を砂漠に放ち、子供たちが従魔たちを使って狩る。
日に日に子供たちと従魔たちの連携がよくなっているのが手に取るように分かる。
最初は亜竜の反撃を受けて半死半生になった従魔を俺が回復させる事も多かった。
だが今では、子供たちに持たせてある回復薬で十分癒せる程度のケガしかしない。
狩りを十分にしたら、毛布をかぶって従魔たちに温めてもらいながら眠る。
夜の砂漠の寒さは、毛布だけで眠れるほど生易しいものではない。
ずっと砂漠で暮らしていたのなら、子供たちにも耐性がついていたかもしれない。
だが子供たちは砂漠で生まれ育ったわけではない。
一日の間に何十度も温度が変わってしまう環境に、直ぐに適応などできない。
だがそんな夜の砂漠の寒さも、従魔が温めてくれれば生きて行ける。
砂漠に日が昇ってきたら、また同じ一日が始まる。
農耕と勉強と狩りの日々は、決して厳しさがない訳ではないが、幸せな日々だ。
前世では得られなかった同年代の子供たちとの交流がある。
子供たちと一緒に作った食事を、談笑しながら美味しく食べることができる。
敵はもちろんだが、マナーにうるさい人間もいない。
最低限のマナーを守らなければセバスチャンに叱られるが、本当に最低限でいい。
普段は厳めしく周囲を警戒している護衛騎士たちも、ここでは違う。
周囲の警戒は普段と同じように手を抜かずにやっているが、表情が柔らかい。
俺が子供たちと戯れている時は、笑みすら浮かべている。
俺にとって大砂漠に創り出したオアシス耕作地は楽園だ。
このままずっとここにいたいと心から思ってしまう。
毎日何度も大公城に戻っているが、それでもオアシス耕作地の方がいい。
父上と母上、妹たちと一緒に暮らさなくても、毎日顔を見れるからだろう。
何時でも会いに行ける転移魔術が使えるから、そんな事が思えるのだろう。
もし、家族か子供たちかのどちらかを選ばなければいけないのなら、ここまでお気楽に、オアシス耕作地の方がいいなどとは言えなかった。
だが、俺には両方の幸せを手にできるだけの力がある。
だったら、二つの幸せの両方を手に入れて何が悪いと言うのだ。
セバスチャンが教えてくれた言葉に、春うららかなという言葉があった。
大砂漠の日差しはとても春うららかななんて言えるような生易しいものではない。
だが、子供たちや従魔たちと人目を気にせずに過ごせる大砂漠は、俺にとっては春うららかなと同じ気持ちになれる。
それに、しばらくすれば本当に春うららかな環境になるとセバスチャンが言っていたから、間違いなくそうなるだろう。
大湖と言えるほど広大な湖が砂漠の温度を変えてくれるらしい。
俺が植樹して促成栽培した椰子の木やブドウ棚の下は、本当に過ごしやすくなるとセバスチャンが断言してくれた。
それが例えセバスチャンが俺を本気で働かそうとして言った言葉だったとしても、セバスチャンが嘘をつくはずがないから、手を抜く理由にはならない。
もう直ぐここに俺の楽園ができるのだ。
「イーライ、国王がファイフ王国と同盟を組んで臣下となった貴族領に攻め込んできた、急いで城に戻ってくれ」
夜遅く、従魔たちに温めてもらいながら眠っていると、父上から緊急の伝書魔術が返ってきた。
砂漠に水を引き、魔力を満たし、種をまいて穀物を促成栽培させる。
子供たちがたわわに実った穀物を収穫する姿を見ながら休む。
早朝の一仕事が終わったら、子供たちに勉強を教える。
休み時間には、たわいもない話しをしたりゲームをしたりする。
とてつもなく暑い砂漠の日中は、子供たちとお昼寝を愉しむ。
少し暑さが緩む時間になったら起きて、午後の勉強をする。
日が落ちると砂漠は一気に冷え込むので、ここからは狩りの時間だ。
俺がヘビ型とワニ型の亜竜を砂漠に放ち、子供たちが従魔たちを使って狩る。
日に日に子供たちと従魔たちの連携がよくなっているのが手に取るように分かる。
最初は亜竜の反撃を受けて半死半生になった従魔を俺が回復させる事も多かった。
だが今では、子供たちに持たせてある回復薬で十分癒せる程度のケガしかしない。
狩りを十分にしたら、毛布をかぶって従魔たちに温めてもらいながら眠る。
夜の砂漠の寒さは、毛布だけで眠れるほど生易しいものではない。
ずっと砂漠で暮らしていたのなら、子供たちにも耐性がついていたかもしれない。
だが子供たちは砂漠で生まれ育ったわけではない。
一日の間に何十度も温度が変わってしまう環境に、直ぐに適応などできない。
だがそんな夜の砂漠の寒さも、従魔が温めてくれれば生きて行ける。
砂漠に日が昇ってきたら、また同じ一日が始まる。
農耕と勉強と狩りの日々は、決して厳しさがない訳ではないが、幸せな日々だ。
前世では得られなかった同年代の子供たちとの交流がある。
子供たちと一緒に作った食事を、談笑しながら美味しく食べることができる。
敵はもちろんだが、マナーにうるさい人間もいない。
最低限のマナーを守らなければセバスチャンに叱られるが、本当に最低限でいい。
普段は厳めしく周囲を警戒している護衛騎士たちも、ここでは違う。
周囲の警戒は普段と同じように手を抜かずにやっているが、表情が柔らかい。
俺が子供たちと戯れている時は、笑みすら浮かべている。
俺にとって大砂漠に創り出したオアシス耕作地は楽園だ。
このままずっとここにいたいと心から思ってしまう。
毎日何度も大公城に戻っているが、それでもオアシス耕作地の方がいい。
父上と母上、妹たちと一緒に暮らさなくても、毎日顔を見れるからだろう。
何時でも会いに行ける転移魔術が使えるから、そんな事が思えるのだろう。
もし、家族か子供たちかのどちらかを選ばなければいけないのなら、ここまでお気楽に、オアシス耕作地の方がいいなどとは言えなかった。
だが、俺には両方の幸せを手にできるだけの力がある。
だったら、二つの幸せの両方を手に入れて何が悪いと言うのだ。
セバスチャンが教えてくれた言葉に、春うららかなという言葉があった。
大砂漠の日差しはとても春うららかななんて言えるような生易しいものではない。
だが、子供たちや従魔たちと人目を気にせずに過ごせる大砂漠は、俺にとっては春うららかなと同じ気持ちになれる。
それに、しばらくすれば本当に春うららかな環境になるとセバスチャンが言っていたから、間違いなくそうなるだろう。
大湖と言えるほど広大な湖が砂漠の温度を変えてくれるらしい。
俺が植樹して促成栽培した椰子の木やブドウ棚の下は、本当に過ごしやすくなるとセバスチャンが断言してくれた。
それが例えセバスチャンが俺を本気で働かそうとして言った言葉だったとしても、セバスチャンが嘘をつくはずがないから、手を抜く理由にはならない。
もう直ぐここに俺の楽園ができるのだ。
「イーライ、国王がファイフ王国と同盟を組んで臣下となった貴族領に攻め込んできた、急いで城に戻ってくれ」
夜遅く、従魔たちに温めてもらいながら眠っていると、父上から緊急の伝書魔術が返ってきた。
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