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第一章
第26話:閑話・我儘王女・ベンソン将軍視点
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「なによ、じゃあ大魔境は手に入らないの。
あれだけ必ず手に入れてごらんに入れますと言っていたじゃないの。
あれは全部嘘だったの、ベンソン将軍」
ふん、相変わらず我儘勝手な王女だな。
だがこの我儘な王女を上手く操る事で、王国を意のままにできるのだ。
長年子供に恵まれなかった国王と王妃は、王女の言う事なら何だって聞く。
それを利用して、国政は勿論、国内貴族の内政にまで介入してきた。
俺の邪魔をしそうな者は全て殺すか失脚させるかしてきた。
いよいよ最大の敵を潰そうしていたのに、こんな無様な姿を晒すとはな。
「嘘ではございませんぞ、ヴァイオレット王女殿下。
殿下がお望みとあれば、命懸けで大魔境を手に入れてご覧に入れます。
ただ今回は、相手が悪辣過ぎたのです、ヴァイオレット王女殿下。
魔狼を謁見の場に連れ込んで、王家正使を喰い殺させるなど、私を含めた常識ある人間は考えも致しません」
公爵家を悪者にするためと、王女を納得させるために口にしたが、あれは俺の油断だったと認めよう、セバスチャンよ。
以前ならちゃんと下調べしていたのに、最近は力任せになっていた。
俺様が努力を重ねて手に入れた権力と軍事力を前にしたら、誰もがひれ伏して許しを請うモノだと思い込んでいた。
だが、セバスチャンは俺と同類の人間だったのだな。
王家に比べれば規模も権力も小さいが、公爵家を乗っ取るだけの才覚がある。
その事を認めて、次は万全の態勢で公爵家を叩き潰してやる。
表向きは王女の直轄領にして、実際は俺の領地にしてやる。
今まで潰してきた騎士家や貴族家と同じように、俺の踏み台にしてやる。
お前のような小者に2℉も負けはしないぞ、セバスチャン。
「あら、そうなの、相手が非常識なら仕方がないわね。
でも、だったらもう大魔境は手に入れられないのではなくて。
わたくし、役に立たない家臣などいらないわ。
今までよく仕えてくれてありがとう、ベンソン将軍。
ほうびはあげるから、もう城に来なくていいわよ、出て行きなさい」
「お待ちください、ヴァイオレット王女殿下。
相手が非常識だと分かれば、それを計算して戦う事ができます。
今度は必ず勝って大魔境を手に入れてご覧に入れます。
ですから、今一度、臣に機会を下さいませ」
「あら、以前ベンソン将軍は、一度でも失敗するような者に将軍や大臣を務める資格はない、そうわたくしに言っていなかったかしら。
だからわたくしはその将軍や大臣を解任するようにお父様に申し上げたのよ。
あれは嘘でしたの、ベンソン将軍」
くっ、ガキのくせに余計な事を覚えてやがる。
もう王女の側近たちを俺の配下で固めているから、密かに暗殺する事もできる。
だがまだ完全に王宮内を掌握しているとは言えない。
先に王女を殺したら、あの愚かな王は、王女を殺した相手を地の果てまで追って、一族一門皆殺しにするだろう。
その時に、俺のやってきた事が明るみに出るかもしれない。
先に殺すのは王と王妃にしなければいけない。
本当なら公爵家を潰したら王と王妃を殺す準備を始める気だった。
王と王妃を殺してしまったら、公爵が後見人に名乗りを上げると判断して、公爵を殺してから王と王妃を殺す事にしていたのに、全てが台無しになってしまった。
今、王と王妃を殺したら、俺がやったとセバスチャンが騒ぐだろう。
しかたがない、やりたくはないが、王女のご機嫌をとるしかない。
「ヴァイオレット王女殿下、実はとても面白い事があるのです」
あれだけ必ず手に入れてごらんに入れますと言っていたじゃないの。
あれは全部嘘だったの、ベンソン将軍」
ふん、相変わらず我儘勝手な王女だな。
だがこの我儘な王女を上手く操る事で、王国を意のままにできるのだ。
長年子供に恵まれなかった国王と王妃は、王女の言う事なら何だって聞く。
それを利用して、国政は勿論、国内貴族の内政にまで介入してきた。
俺の邪魔をしそうな者は全て殺すか失脚させるかしてきた。
いよいよ最大の敵を潰そうしていたのに、こんな無様な姿を晒すとはな。
「嘘ではございませんぞ、ヴァイオレット王女殿下。
殿下がお望みとあれば、命懸けで大魔境を手に入れてご覧に入れます。
ただ今回は、相手が悪辣過ぎたのです、ヴァイオレット王女殿下。
魔狼を謁見の場に連れ込んで、王家正使を喰い殺させるなど、私を含めた常識ある人間は考えも致しません」
公爵家を悪者にするためと、王女を納得させるために口にしたが、あれは俺の油断だったと認めよう、セバスチャンよ。
以前ならちゃんと下調べしていたのに、最近は力任せになっていた。
俺様が努力を重ねて手に入れた権力と軍事力を前にしたら、誰もがひれ伏して許しを請うモノだと思い込んでいた。
だが、セバスチャンは俺と同類の人間だったのだな。
王家に比べれば規模も権力も小さいが、公爵家を乗っ取るだけの才覚がある。
その事を認めて、次は万全の態勢で公爵家を叩き潰してやる。
表向きは王女の直轄領にして、実際は俺の領地にしてやる。
今まで潰してきた騎士家や貴族家と同じように、俺の踏み台にしてやる。
お前のような小者に2℉も負けはしないぞ、セバスチャン。
「あら、そうなの、相手が非常識なら仕方がないわね。
でも、だったらもう大魔境は手に入れられないのではなくて。
わたくし、役に立たない家臣などいらないわ。
今までよく仕えてくれてありがとう、ベンソン将軍。
ほうびはあげるから、もう城に来なくていいわよ、出て行きなさい」
「お待ちください、ヴァイオレット王女殿下。
相手が非常識だと分かれば、それを計算して戦う事ができます。
今度は必ず勝って大魔境を手に入れてご覧に入れます。
ですから、今一度、臣に機会を下さいませ」
「あら、以前ベンソン将軍は、一度でも失敗するような者に将軍や大臣を務める資格はない、そうわたくしに言っていなかったかしら。
だからわたくしはその将軍や大臣を解任するようにお父様に申し上げたのよ。
あれは嘘でしたの、ベンソン将軍」
くっ、ガキのくせに余計な事を覚えてやがる。
もう王女の側近たちを俺の配下で固めているから、密かに暗殺する事もできる。
だがまだ完全に王宮内を掌握しているとは言えない。
先に王女を殺したら、あの愚かな王は、王女を殺した相手を地の果てまで追って、一族一門皆殺しにするだろう。
その時に、俺のやってきた事が明るみに出るかもしれない。
先に殺すのは王と王妃にしなければいけない。
本当なら公爵家を潰したら王と王妃を殺す準備を始める気だった。
王と王妃を殺してしまったら、公爵が後見人に名乗りを上げると判断して、公爵を殺してから王と王妃を殺す事にしていたのに、全てが台無しになってしまった。
今、王と王妃を殺したら、俺がやったとセバスチャンが騒ぐだろう。
しかたがない、やりたくはないが、王女のご機嫌をとるしかない。
「ヴァイオレット王女殿下、実はとても面白い事があるのです」
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