23 / 70
第一章
第23話:王国の使者
しおりを挟む
青木魔狼と黄土魔狼を魅了して従魔にした。
ベラの炎魔狼も普通人間が遭遇する魔獣の中ではとても強力な個体だ。
だがその炎魔狼よりも二段階も強力な魔狼など滅多に遭遇出来ない。
しかもその魔狼を従魔にした人間など皆無だと、公爵家中の人間から驚かれ、褒め称えられたが、少々照れ臭かった。
まあ、他にも多くの狼と魔狼、犬と狗を従魔にして、孤児たちとの相性判定をした後で、残った魔獣を公爵家の家臣たちにも相性判定させてみた。
俺が魅了して従魔にした魔獣たちなので、わずかでも俺に敵意を持っている者は本性で分かるらしく、王家や他家から送られた密偵を見つけてくれた。
あらかじめセバスチャンに言われていたから、その場で処罰する事なく、泳がしておいて、ここぞという時に断罪する事にした。
「この度の不始末、国王陛下を謀って愚か者が勝手にやった事です。
ですから、国王陛下が責任を取る必要のない事でございます。
この事はここではっきりと申し上げさせて頂きます。
ただ王国の者が公爵家に迷惑をかけた事は間違いありません。
王家の政治を預かる者として、この通り、お詫びさせていただきます」
王国の内務大臣と言う奴が公爵家にやって来て形だけ謝っているが、腹が立つ。
最初に上から目線で国王に責任がないと断言しやがった。
こちらでは王がやった事だと思っていたのだが、今確信した。
このような使者を送ってくるようなら、まず間違いなく王がやらせた事だろう。
だが別にもうどうでもいい事だ、我が家は独立を宣言するのだから。
「宮中伯の言い分は分かりました、だからもう帰ってくださってかまいません。
こちらとしては、もう二度と宮中伯らと会わずに済めばそれでいいいのです」
セバスチャンがはっきりと言い切ってくれた。
「黙れ、私は執事ごときと話しているわけではない。
公爵殿と話しているのだ、平民の執事ごときが口出しするな、殺すぞ」
「はて、宮中伯は内務大臣と国王陛下の代わりに詫びに来たのではないのですね。
だったら城にあげる事なく首を刎ねた方がよかったですね」
「黙れと言っているのが分からんか、今直ぐこの剣で首を刎ねてくれるぞ」
この程度の馬鹿がよく王国の内務大臣を務めていられるモノだ。
それとも、こちらの言いたい事に気がつかない振りをして、話しをまとめる気か。
それも馬鹿としか言いようがないのだが、そうではないようだな。
はっきり言って聞かせないと、こちらの覚悟は伝わらないようだ。
「ほう、それは王国が公国に宣戦布告をするという事ですか」
「何を言っている、公国とは何のことを言っているのだ」
「やれ、やれ、何度も態度で示していた事も理解できず、言葉にしても理解できないとは、愚かにもほどがありますね」
「おのれ、言わせておれば好き勝手言いおって、死ね」
馬鹿な使者がセバスチャンを斬り殺そうと剣に手をかけた。
手をかけただけならこちらも攻撃しなかったのだが、剣を抜きかけた。
目の前にいるのはセバスチャンでも、その後ろにある壇上には俺たちがいる。
公爵一家、いや、大公一家がいる方に向けて剣を抜こうとしたのだ。
この行為は宣戦布告と、いや、詫びと言いながら大公一家を殺そうとしたと言われてもしかたがない行為だ。
ギャアアアアア
内務大臣と名乗った愚か者が、右腕を食い千切られて絶叫をあげている。
俺の護衛を務めている魔狼の一頭が、素早く動いて咬み千切ってくれたのだ。
大和などの強力な魔狼は、俺と家族を護るために玉座の横にいてくれる。
壇上の下、俺たちから離れれば離れるほど順位が下の魔狼がいる。
王国内務大臣の近くにいたのは、金魔狼だった。
金魔狼なら例え相手が完全武装の騎士であろうと、腕を咬み千切ってくれる。
まして相手が豚同然の王国の内務大臣で、防具もない腕なら豆腐同然だろう。
だが、王国にも少しはましな人間もいるようだ。
副使と名乗った武人が素早く前に出てきやがった。
「何をなさいますか、このような非道を行ってタダですむと思われているのか」
いよいよ開戦の口実に動いてきたようだが、こちらにも準備があるのだよ
どうやら王国の本当に使者は、副使だと名乗ったこの男のようだな。
セバスチャンが楽しそうな表情をしているが、もしかしたら、俺も同じような表情をしているのかな。
ベラの炎魔狼も普通人間が遭遇する魔獣の中ではとても強力な個体だ。
だがその炎魔狼よりも二段階も強力な魔狼など滅多に遭遇出来ない。
しかもその魔狼を従魔にした人間など皆無だと、公爵家中の人間から驚かれ、褒め称えられたが、少々照れ臭かった。
まあ、他にも多くの狼と魔狼、犬と狗を従魔にして、孤児たちとの相性判定をした後で、残った魔獣を公爵家の家臣たちにも相性判定させてみた。
俺が魅了して従魔にした魔獣たちなので、わずかでも俺に敵意を持っている者は本性で分かるらしく、王家や他家から送られた密偵を見つけてくれた。
あらかじめセバスチャンに言われていたから、その場で処罰する事なく、泳がしておいて、ここぞという時に断罪する事にした。
「この度の不始末、国王陛下を謀って愚か者が勝手にやった事です。
ですから、国王陛下が責任を取る必要のない事でございます。
この事はここではっきりと申し上げさせて頂きます。
ただ王国の者が公爵家に迷惑をかけた事は間違いありません。
王家の政治を預かる者として、この通り、お詫びさせていただきます」
王国の内務大臣と言う奴が公爵家にやって来て形だけ謝っているが、腹が立つ。
最初に上から目線で国王に責任がないと断言しやがった。
こちらでは王がやった事だと思っていたのだが、今確信した。
このような使者を送ってくるようなら、まず間違いなく王がやらせた事だろう。
だが別にもうどうでもいい事だ、我が家は独立を宣言するのだから。
「宮中伯の言い分は分かりました、だからもう帰ってくださってかまいません。
こちらとしては、もう二度と宮中伯らと会わずに済めばそれでいいいのです」
セバスチャンがはっきりと言い切ってくれた。
「黙れ、私は執事ごときと話しているわけではない。
公爵殿と話しているのだ、平民の執事ごときが口出しするな、殺すぞ」
「はて、宮中伯は内務大臣と国王陛下の代わりに詫びに来たのではないのですね。
だったら城にあげる事なく首を刎ねた方がよかったですね」
「黙れと言っているのが分からんか、今直ぐこの剣で首を刎ねてくれるぞ」
この程度の馬鹿がよく王国の内務大臣を務めていられるモノだ。
それとも、こちらの言いたい事に気がつかない振りをして、話しをまとめる気か。
それも馬鹿としか言いようがないのだが、そうではないようだな。
はっきり言って聞かせないと、こちらの覚悟は伝わらないようだ。
「ほう、それは王国が公国に宣戦布告をするという事ですか」
「何を言っている、公国とは何のことを言っているのだ」
「やれ、やれ、何度も態度で示していた事も理解できず、言葉にしても理解できないとは、愚かにもほどがありますね」
「おのれ、言わせておれば好き勝手言いおって、死ね」
馬鹿な使者がセバスチャンを斬り殺そうと剣に手をかけた。
手をかけただけならこちらも攻撃しなかったのだが、剣を抜きかけた。
目の前にいるのはセバスチャンでも、その後ろにある壇上には俺たちがいる。
公爵一家、いや、大公一家がいる方に向けて剣を抜こうとしたのだ。
この行為は宣戦布告と、いや、詫びと言いながら大公一家を殺そうとしたと言われてもしかたがない行為だ。
ギャアアアアア
内務大臣と名乗った愚か者が、右腕を食い千切られて絶叫をあげている。
俺の護衛を務めている魔狼の一頭が、素早く動いて咬み千切ってくれたのだ。
大和などの強力な魔狼は、俺と家族を護るために玉座の横にいてくれる。
壇上の下、俺たちから離れれば離れるほど順位が下の魔狼がいる。
王国内務大臣の近くにいたのは、金魔狼だった。
金魔狼なら例え相手が完全武装の騎士であろうと、腕を咬み千切ってくれる。
まして相手が豚同然の王国の内務大臣で、防具もない腕なら豆腐同然だろう。
だが、王国にも少しはましな人間もいるようだ。
副使と名乗った武人が素早く前に出てきやがった。
「何をなさいますか、このような非道を行ってタダですむと思われているのか」
いよいよ開戦の口実に動いてきたようだが、こちらにも準備があるのだよ
どうやら王国の本当に使者は、副使だと名乗ったこの男のようだな。
セバスチャンが楽しそうな表情をしているが、もしかしたら、俺も同じような表情をしているのかな。
0
お気に入りに追加
292
あなたにおすすめの小説
近くて遠い
高尾 閑
ファンタジー
異世界ファンタジー
剣と魔法の世界に転移したり、転生したり。勇者や魔王になってみたり。傍観、無双、スローライフ等々。
※1話完結の短編集
※世界観バラバラ
※基本続き物なし
◇→男主人公 / ◆→女主人公
*リスト*
異世界
・転生
├王族
├貴族:1
├平民
├孤児
└人外
・転移・召喚
├勇者
├聖女
├神子・愛し子
├巻き込まれ
├魔王
├その他:1
└原因不明:1
・魔族:1
小説・マンガ・ゲーム
・転生
├
├
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
伯爵夫人のお気に入り
つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。
数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。
喜ぶ伯爵夫人。
伯爵夫人を慕う少女。
静観する伯爵。
三者三様の想いが交差する。
歪な家族の形。
「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」
「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」
「家族?いいえ、貴方は他所の子です」
ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。
「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
噂好きのローレッタ
水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。
ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。
※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです)
※小説家になろうにも掲載しています
◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました
(旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)
【完】お義母様そんなに嫁がお嫌いですか?でも安心してください、もう会う事はありませんから
咲貴
恋愛
見初められ伯爵夫人となった元子爵令嬢のアニカは、夫のフィリベルトの義母に嫌われており、嫌がらせを受ける日々。
そんな中、義父の誕生日を祝うため、とびきりのプレゼントを用意する。
しかし、義母と二人きりになった時、事件は起こった……。
さよなら、英雄になった旦那様~ただ祈るだけの役立たずの妻のはずでしたが…~
遠雷
恋愛
「フローラ、すまない……。エミリーは戦地でずっと俺を支えてくれたんだ。俺はそんな彼女を愛してしまった......」
戦地から戻り、聖騎士として英雄になった夫エリオットから、帰還早々に妻であるフローラに突き付けられた離縁状。エリオットの傍らには、可憐な容姿の女性が立っている。
周囲の者達も一様に、エリオットと共に数多の死地を抜け聖女と呼ばれるようになった女性エミリーを称え、安全な王都に暮らし日々祈るばかりだったフローラを庇う者はごく僅かだった。
「……わかりました、旦那様」
反論も無く粛々と離縁を受け入れ、フローラは王都から姿を消した。
その日を境に、エリオットの周囲では異変が起こり始める。
愛する寵姫と国を捨てて逃げた貴方が何故ここに?
ましゅぺちーの
恋愛
シュベール王国では寵姫にのめり込み、政を疎かにする王がいた。
そんな愚かな王に人々の怒りは限界に達し、反乱が起きた。
反乱がおきると真っ先に王は愛する寵姫を連れ、国を捨てて逃げた。
城に残った王妃は処刑を覚悟していたが今までの功績により無罪放免となり、王妃はその後女王として即位した。
その数年後、女王となった王妃の元へやってきたのは王妃の元夫であり、シュベール王国の元王だった。
愛する寵姫と国を捨てて逃げた貴方が何故ここにいるのですか?
全14話。番外編ありです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる