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第一章

第18話:決断・カチュア視点

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 正直な気持ちは、よくわからないというものでした。
 その迷いと言うべきが戸惑いと言うべきか分からない気持ちは、神には正確に伝わっていると思います。
 心話というものが思いを正確に伝えるもので、隠し事などできないのだと、わずかな間に気が付いていましたから。
 でも、だからこそ、神の嘘偽りのない私を想う正直な気持ちが伝わってきます。
 だから、私も正直に想いを伝えました。

(正直な想いが伝わっていると思いますが、私にはよくわからないのです。
 フェアリーが教えてくれたお話の、姫や王子の恋物語も、仇討ち話も、騎士物語も、全て空虚なモノなのです。
 ここにいるのはたった三人で、しかも人間は私だけです。
 人間ばかりの国や世界など想像もできませんし、私の大切なお友達のフェアリーを虐待していたという、人間の国や世界が怖いのです)

 フェアリーの聞かせてくれた物語では、神はとても強い力を持っているという事でですが、だったら何故私の母上が殺され、私はここに隠れているのでしょうか?
 人間の国や世界に戻った私を、神が助けてくださると信じていいのでしょうか?
 正直信じきれなくて、とても怖いです。
 こうして真剣に考えてみて分かりました、私は人間が怖いのです。
 人間の国や世界には戻りたくないのです。
 何の思い出もない、話に聞いただけの母上の仇討のために、そんな怖い所に行きたくないのです。

(カチュアの本心は今確かに受け取ったよ、大丈夫。
 カチュアを無理に人間の所に戻したりしないよ、安心して欲しい、大丈夫。
 それと、お母さんの事は悪かったね、神の話し合いで眼を離しているスキに、お母さんは殺されてしまったのだよ。
 カチュアが殺されそうだったら気が付いたのだけれど、お母さんの輝きは小さくて、我には人間一人一人の違いは、よほど集中しないと見分けがつかないのだよ)

 神の話が言い訳ではなく本心だというのが伝わってきました。
 神とはとても巨大な存在で、人間の世界を見るには、とても多くの魔力を使って集中しなければいけないようです。
 もしくは、金猫ちゃんのような稀有な存在に任せて、代行させるしかないようですが、それも神界の常識からすれば、とてもはしたない行為のようです。
 母上の事は単なる偶然で、仕方のない事だったのでしょうか?

(お母さんの復讐に関しては、カチュアは気にしなくていいよ。
 同じ人間に代わりにやらせるから、大丈夫だよ。
 フェアリーがどうしても自分も加わりたいと言ったら、フェアリーだけ行かせるから、何の心配もいらないよ、大丈夫だからね)

 それを聞いた私は、一気に血の気が引いてしまいまいした!
 フェアリーがここから出て行ってしまったら、ここには私と金猫ちゃんだけになってしまいます!
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