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第一章

第12話:神命・皇太子視点

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(思っていたよりも真摯な祈りであった、だから応えてやろう。
 我は皇国になど全く興味がないので、助けてやる気はない。
 それに我はあ奴ほど身勝手ではないので、他神の縄張りに手はださん。
 だが真摯な祈りに免じて助言はしてやろう。
 あの腐れ神は千年の眠りについたが、残留神力は残っている。
 皇国民が悔い改め、お前同様に真摯に祈れば、最低限の力を持った聖女は生み出される、安心するがいい)

 よかった、本当によかった、これで皇国は助かるかもしれない。
 だが、もし皇国民が悔い改めなければ、皇国が滅ぶ。
 確かに、皇国民が神の教えを失い堕落しているのなら、滅んでもしかたがないのかもしれないが、それに巻き込まれる属国属領の民や、大陸の人々が不幸だ。
 大陸全ての人が堕落しているのなら、真聖女は生まれていないはずだ。
 この大神も、大陸の人類が滅ぶのは望んでいないはずだ。
 少なくとも真聖女と呼ばれるほどの方が、そんな事を望んでおられるはずがない。

(大神様、恐れながら再び伏し祈り願い奉ります)

(お前の言いたい事、我を言い包め騙してでも手に入れたい願い、分かってはいるが、かなえてて欲しいなら真摯に祈り願え)

(畏れ多きことながら、繰り返し祈り願い奉ります。
 皇国民の心が堕落し、神の教えに背いていても、他の国の民までが堕落している訳ではございません。
 皇国民のために全ての人々が苦しむのは不公平に思われます。
 皇国民が悔い改めなくても助けてくださいなどとは申しません。
 他の民にまで被害が及ばないように、大神のお力をもちまして、皇国と他国を切り離していただきとうございます。
 その為にこの命捧げさせていただきます)

 私は、人間は、あまりのも穢れているのだろう、嘘を願ってしまった。
 本心では死ぬまで皇国民を改心させる努力をするから、長い目で見て欲しい、今は助けて欲しいと思っていた。
 だがそれを口にしたら、大神が激怒されると思ってしまった。
 だから見栄を張って建前を心に浮かべてしまったが、本心は身勝手な願いを想っていたから、全て見抜かれているだろう。

(よく分かっているな、お前ごときの願いなど、全て筒抜けだ。
 だが人間が汚い穢れた存在である事など重々承知している。
 身勝手で残酷で愚かな存在など、神の中にも掃いて捨てるほどいる。
 だが神も人間も、極稀に珠玉のような輝かしい存在を生み出す事がある。
 だから我が完全に見捨てることができないでいるのも確かだ。
 お前の申す通り、大魔境に入って来た千人がマシな人間なのは認めよう。
 他の神の縄張りに手を出すのは主義に反するから、別の方法を考えてやる。
 だから我の出す試練を完遂してみろ)
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