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第一章

第7話:決断・カチュア視点

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 死にかけている人が庭の端に倒れていて、助けると私の事を知っていました。
 それどころか、母上や公爵家の事も知っているという。
 詳しい話をしてくれましたが、聞くに堪えない内容でとても残虐な話でした。
 でも、人が傷つけられたところも見たことがありませんし、酷い痛みに苦しんだこともありませんから、全く実感がありません。
 全てを話したと言って、死にかけていた人は消えてしまいました。
 人は死ぬと消えてなくなるのでしょうか?

「ねえ、フェアリー、金猫ちゃん、私はどうしたらいいの?
 さっき消えた人の言っていたように、逃げた方がいいのかな?」

「駄目よ、真実を知ったのなら、仇を討たないと!」

 フェアリーがとても怒っています。
 残虐だから私に話さなかった事を、さっきの人が話したからでしょうか?
 それとも、昔を思い出したからでしょうか?
 殺されたという話の母上に可愛がられてたという事だから、仇を討たないといけないのかもしれませんね。
 私も仇を討たなければいけないのでしょうか。

「仇を討つという事は、相手を殺せという事ですよね?
 私は今まで何も殺した事がないのだけれど、私にも殺せるのかしら?」

「駄目よ、それは絶対に駄目、カチュアの手を穢しちゃいけないわ。
 奥方様の仇は、私が、いえ、金猫がとってくれます。
 やってくれるわよね、金猫。
 その為に汚らしいさっきの男の魂をここに連れてきたのでしょ?」

「うみゃああああああ!」

 どうやら、金猫ちゃんが仇を討ってくれるようです。
 ただ、私に仇を討って欲しいとお願いされたいようです。
 何故そんなお願いをして欲しいのかは分かりませんが、毎日私のために魚を獲り果物や野草を集めて来てくれる金猫ちゃんが望むのなら、お願いくらいします。

「金猫ちゃんお願い、私のお母様の仇をとって頂戴。
 でも、金猫ちゃんが危険になるようなことは止めてね。
 金猫ちゃんが死んだりケガをしたりするくらいなら、仇討ちはしなくていいからね、分かってくれる、金猫ちゃん?」

「うみゃああああああ!」

 どうやら私のお願いを理解してくれたようです。
 まあ、金猫ちゃんが私の願いをかなえてくれなかった事は一度もありません。
 何時も私の願いを完璧に適えてくれるのが金猫ちゃんです。
 フェアリーも私のお願いを聞いてくれますが、色々と条件を付けるのです。
 勉強をしなさいとか、言葉遣いを直しなさいとか、フェアリーがお話してくれた教育係というのと同じです。

「金猫、本当にカチュアの言った条件を守って大丈夫なの?
 あんたなら直ぐに仇くらい討てるでしょうに、条件を守っていたら、誰かにやらさなければいけなくなるんじゃないの?」

 フェアリーが何か金猫ちゃんに文句を言っていますが、どういう事でしょう?
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