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第1章
第49話:値段を決める
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お父さんと僕は、教会にあるフィンリー神官の部屋に行った。
何時もは礼拝堂なのに、特別なのが分かる。
お父さんが自信満々なので、何があっても大丈夫なのだろう。
「アラミス、ケーン、どういうことなのか説明してください」
「ケーンが隠していたスキルを教えてくれた。
オリビアとも相談して、隠すよりも明らかにした方が良いと決めた。
だから分かりやすいように海の品物を買って戻った、それだけだ」
「アラミス、ケーンの神与スキルが特別で、権力者から狙われるのが分かっていて、どうしてそのような愚かな決断をしたのです!」
「俺もオリビアも愚かだとは思っていない」
「アラミス、ケーンが平気で人を殺せる性格なら、私も反対しない。
身体強化ができるから、人を殺せるなら、大抵の敵は自力で払い除けられる。
だが、心優しいケーンだと、襲ってきた奴も殺せなくて、簡単に捕らえられるぞ。
それくらい2人とも分かっているだろう?!」
「確かにケーンは優し過ぎるから、できるだけスキルを秘密にして、隠れるように生きなければいけないと思っていた。
だが、打ち明けられたスキルを見て考えが変わった」
「……転移系のスキルではないのですか、いえ、転移系だからですか?
あれだけの品物を持って転移ができるのなら、家族全員を連れて逃げられます。
なるほど、家族が常に一緒にいれば人質を取られる心配もいらないですね」
「ちがう、違う、全然違う、ケーンは木属性魔術だぞ、転移系じゃない」
「……木属性魔術なのに、海の産物を手に入れられる……全く分かりません。
秘密を明かすと言うのなら、私にも教えてくれるのですよね?」
「ああ、当然だ、明日全員に教える気だったが、そこまで言うのなら、フィンリー神官にだけは今日話しておこう」
「聞かせていただきましょう」
「これはケーンがジョイ神様から告げられた事なのだが、木属性には鶏を眷属にする力があるのだそうだ」
「はぁあ~、そんな話、生まれて初めて聞きましたよ!」
「俺だって生まれて初めて聞いたよ!
だが、実際に眷属になった鶏を見たのだから、信じるしかないだろう」
「……まだ信じられませんが、ケーンが信じられない事をするのは今日始まった事ではありませんから、鶏が眷属になるのは後でよく考えます。
ですが、全く話が通じていない事は後回しにできません。
海の産物を手に入れられる事と鶏が眷属な事に、何の関係があるのですか?!」
「ケーンの木属性魔術が樹木を成長させるのを見てきただろう?
同じように、鶏の成長させられるんだよ」
「……私の耳がおかしくなったのではありませんよね?
木属性なのに、鶏まで成長させられると言うのですか?!」
「耳はいたって健康だよ、俺だって自分の目で見るまでは想像もしなかったよ」
「……頭が痛くなってきました、吐きそうです。
鶏の成長と言っていましたが、海まで飛べるくらい進化しているのですよね?」
「ああ、とんでもなく成長進化しているぞ」
「蔦で城壁や家を作るくらい非常識に成長進化しているのですね?」
「あの程度のモノじゃねぇよ、俺が腰を抜かすくらいとんでもない成長進化だ。
明日村の衆全員と行商人全員に見せる心算だが、何ならフィンリー神官だけ先に見せてやろうか?」
「いりません、絶対に見たくありません、みなと一緒で良いです」
「だったらもう話は終わりで良いか?
村の衆全員が海の魚を欲しがるだろうが、行商人たちに見てもらわないと、いくらで売って良いのかも分からない」
「そうですね、私も海の魚がここでいくらになるのか想像もできません」
お父さんとフィンリー神官の話し合いは、思っていたよりも簡単だった。
言い争いになってしまうかと思っていたが、それほどでもなかった。
僕を特別だと言い過ぎるのには、何と言って良いか分からない気分になったが、少なくとも見たくない表情をしなかったのでホッとした。
フィンリー神官との話し合いはそれで済んだのだが、お父さんと行商隊代表との話し合いはとても激しかった。
フィンリー神官が間に入ってお父さんの味方をしてくれたので、明日の朝に海の物を手に入れられる秘密を教えると事で納得してくれた。
だが、それで終わりではなく、生の新鮮な海魚、干した海魚、塩の値段を決めて、村と行商隊に売らなければいけない。
塩はこれまでの値段で売っても良いけれど、今なら高過ぎる気がする。
生の海魚は、普通なら絶対に手に入らない、とても貴重なモノだ。
でも、直ぐに腐る事を考えれば、安く買い叩かれてもしかたない。
だけど、時間を止めるアイテムボックスがあれば、何時まででも保管できる。
腐らせずに保管できるのなら、腐るのを恐れずに値段を交渉できる。
行商隊からすれば、もの凄い高値で売れる商品を、何時までも保管できるのだ。
僕のスキルで安定して手に入れられるのなら、買い叩いて僕を敵に回す訳にはいかないので、僕も行商隊も儲けられる値段での売り買いがきまった。
僕と行商隊間の売買値段が決まれば、村の衆の売る値段も決まる。
同じ開拓村の仲間なので、漁師村で買った値段でも良いのだが、僕が手伝った共有エリクサー薬草を売ったお金があるので、それで買ってもらう事になった。
僕がまだ行商隊に一員なので、ちゃんと利益を出さないといけなかったのだ。
なんか悪い気がしてしまうので、やっぱり僕は行商人には向かないな。
何時もは礼拝堂なのに、特別なのが分かる。
お父さんが自信満々なので、何があっても大丈夫なのだろう。
「アラミス、ケーン、どういうことなのか説明してください」
「ケーンが隠していたスキルを教えてくれた。
オリビアとも相談して、隠すよりも明らかにした方が良いと決めた。
だから分かりやすいように海の品物を買って戻った、それだけだ」
「アラミス、ケーンの神与スキルが特別で、権力者から狙われるのが分かっていて、どうしてそのような愚かな決断をしたのです!」
「俺もオリビアも愚かだとは思っていない」
「アラミス、ケーンが平気で人を殺せる性格なら、私も反対しない。
身体強化ができるから、人を殺せるなら、大抵の敵は自力で払い除けられる。
だが、心優しいケーンだと、襲ってきた奴も殺せなくて、簡単に捕らえられるぞ。
それくらい2人とも分かっているだろう?!」
「確かにケーンは優し過ぎるから、できるだけスキルを秘密にして、隠れるように生きなければいけないと思っていた。
だが、打ち明けられたスキルを見て考えが変わった」
「……転移系のスキルではないのですか、いえ、転移系だからですか?
あれだけの品物を持って転移ができるのなら、家族全員を連れて逃げられます。
なるほど、家族が常に一緒にいれば人質を取られる心配もいらないですね」
「ちがう、違う、全然違う、ケーンは木属性魔術だぞ、転移系じゃない」
「……木属性魔術なのに、海の産物を手に入れられる……全く分かりません。
秘密を明かすと言うのなら、私にも教えてくれるのですよね?」
「ああ、当然だ、明日全員に教える気だったが、そこまで言うのなら、フィンリー神官にだけは今日話しておこう」
「聞かせていただきましょう」
「これはケーンがジョイ神様から告げられた事なのだが、木属性には鶏を眷属にする力があるのだそうだ」
「はぁあ~、そんな話、生まれて初めて聞きましたよ!」
「俺だって生まれて初めて聞いたよ!
だが、実際に眷属になった鶏を見たのだから、信じるしかないだろう」
「……まだ信じられませんが、ケーンが信じられない事をするのは今日始まった事ではありませんから、鶏が眷属になるのは後でよく考えます。
ですが、全く話が通じていない事は後回しにできません。
海の産物を手に入れられる事と鶏が眷属な事に、何の関係があるのですか?!」
「ケーンの木属性魔術が樹木を成長させるのを見てきただろう?
同じように、鶏の成長させられるんだよ」
「……私の耳がおかしくなったのではありませんよね?
木属性なのに、鶏まで成長させられると言うのですか?!」
「耳はいたって健康だよ、俺だって自分の目で見るまでは想像もしなかったよ」
「……頭が痛くなってきました、吐きそうです。
鶏の成長と言っていましたが、海まで飛べるくらい進化しているのですよね?」
「ああ、とんでもなく成長進化しているぞ」
「蔦で城壁や家を作るくらい非常識に成長進化しているのですね?」
「あの程度のモノじゃねぇよ、俺が腰を抜かすくらいとんでもない成長進化だ。
明日村の衆全員と行商人全員に見せる心算だが、何ならフィンリー神官だけ先に見せてやろうか?」
「いりません、絶対に見たくありません、みなと一緒で良いです」
「だったらもう話は終わりで良いか?
村の衆全員が海の魚を欲しがるだろうが、行商人たちに見てもらわないと、いくらで売って良いのかも分からない」
「そうですね、私も海の魚がここでいくらになるのか想像もできません」
お父さんとフィンリー神官の話し合いは、思っていたよりも簡単だった。
言い争いになってしまうかと思っていたが、それほどでもなかった。
僕を特別だと言い過ぎるのには、何と言って良いか分からない気分になったが、少なくとも見たくない表情をしなかったのでホッとした。
フィンリー神官との話し合いはそれで済んだのだが、お父さんと行商隊代表との話し合いはとても激しかった。
フィンリー神官が間に入ってお父さんの味方をしてくれたので、明日の朝に海の物を手に入れられる秘密を教えると事で納得してくれた。
だが、それで終わりではなく、生の新鮮な海魚、干した海魚、塩の値段を決めて、村と行商隊に売らなければいけない。
塩はこれまでの値段で売っても良いけれど、今なら高過ぎる気がする。
生の海魚は、普通なら絶対に手に入らない、とても貴重なモノだ。
でも、直ぐに腐る事を考えれば、安く買い叩かれてもしかたない。
だけど、時間を止めるアイテムボックスがあれば、何時まででも保管できる。
腐らせずに保管できるのなら、腐るのを恐れずに値段を交渉できる。
行商隊からすれば、もの凄い高値で売れる商品を、何時までも保管できるのだ。
僕のスキルで安定して手に入れられるのなら、買い叩いて僕を敵に回す訳にはいかないので、僕も行商隊も儲けられる値段での売り買いがきまった。
僕と行商隊間の売買値段が決まれば、村の衆の売る値段も決まる。
同じ開拓村の仲間なので、漁師村で買った値段でも良いのだが、僕が手伝った共有エリクサー薬草を売ったお金があるので、それで買ってもらう事になった。
僕がまだ行商隊に一員なので、ちゃんと利益を出さないといけなかったのだ。
なんか悪い気がしてしまうので、やっぱり僕は行商人には向かないな。
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