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第1章
第6話:神々の御心
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僕は毎日果樹を1つたわわに実らせました。
それは我が家に富をもたらしましたが、同時に開拓村の中に貧富の差を生んでしまいました。
最初僕はその事に気がついていませんでした。
お父さんとお母さんは気づいていて、僕が寝た後で話し合っていたそうです。
そのまま何もしなければ、村が崩壊していたかもしれないそうです。
ですが、この世界は神様の神与のスキルで成り立っているのです。
とても信心深く、神様の御心に逆らうような事はしない人が多いそうです。
だから、神様に仕えるフィンリー神官の言葉にもよく従うのです。
「最近の村には不和不信に感情が広がっています。
これは神々の御心に逆らう大罪なのを分かっているのですか?!」
フィンリー神官が、春の畑仕事を休ませてまで村人全員を集めて、怖い表情でお説教されました。
「ケーンの神与スキルと魔力はジョイ神から授かったものです。
それを嫉妬するなど神々に逆らうも同然、絶対に許されない事です。
そのような者をこの村に置いておくわけにはいきません。
私が背神者と判断した者には村から出て行ってもらいます」
フィンリー神官が本気だと知った村人たちは恐れおののきました。
神官から背神者の烙印を押される事は、この世界では死刑宣告と同じだそうです。
信心深い村や街には入れてもらえなくなるので、猛獣や魔獣が沢山いる山で1人生きて行かなければいけなくなります。
「申し訳ありません、心を入れ変えますのでお許しください」
僕を嫌な目で見ていた人の半数が直ぐに謝りました。
ですが半数の人は、自分は関係ないと言う表情をして黙っています。
「貴方たちは今日中に村から出て行きなさい。
家族の事は村で面倒を見るから心配いりません」
フィンリー神官は全てお見通しでした。
黙っていた人たち全員の肩を叩いて声をかけました。
叩かれた人は直ぐに言い訳をしようとしましたが、フィンリー神官の目を見て固まってしまいました。
「神々を舐めているのですか?
貴方たちの悪意など、神々は先刻承知されているのですよ。
神与のスキルを奪われてから村を叩きだされるか、今直ぐ黙って村を出ていくか、この場で決めなさい」
フィンリー神官に厳しく言われた人たちは、肩を落として村を出て行きました。
男性も女性もいて、残された子供たちが泣いていました。
「男手を失った家は、村の男たちで助けてあげなさい。
女手を失った家は、村の女たちで助けてあげなさい。
子供たちは何時でも教会に来て良いのですよ、いえ、毎日来なさい。
これが神々の望まれる助け合いなのです」
僕が神与スキルを使った事で、親を無くす子が出るとは思ってもいませんでした。
人の事をうらやましいと思う気持ちは痛いほどわかります。
僕も前世では健康な子をうらやましく思っていましたから。
「フィンリー神官、子供たちが可哀想です、やり直す事はできないのですか?」
「ケーン、神々はとても慈悲深い面と厳しい面を持っておられるのです。
神々が人にかけてくださる愛情は同じではないのです。
神々の御心に逆らう人間には、恐ろしいほどの罰を下されるのです。
彼らがこのままこの村に残ったら、子供たちまで巻き込まれるのです」
フィンリー神官にそう言われると、僕には何も言えません。
神々の事は神官スキルを授かったフィンリー神官にしか分かりません。
子供たちまで巻き込まれると言うのなら、従うしかありません。
「フィンリー神官、僕もお手伝いしたいです。
僕がジョイ神から神与のスキルを授かったのは、村の為だと思います。
自分の家の分とは別に、村の為にも働きたいです」
「良く言いました、流石神々から愛情を注がれるだけあります。
心卑しい者たちとは心掛けが違います。
良いでしょう、村のために働いてください。
ですが、村の為だけに働いてはいけません、家の為にも働きなさい」
「はい、1日交替で村の為と家のために働きます」
僕は言葉通り、村と家のために果樹を実らせました。
これ以上人の心を惑わさないように、1日に1本の果樹しか実らせないようにしましたが、それでも村にとっては大きな収穫です。
リンゴは生で食べる分とシードルにする分があります。
山ブドウは、生で食べる分とワインにする分と干ブドウにする分があります。
ミカンはワインにするのが難しいので、比較的お酒にしやすいエルダーベリー、スグリ、山ブドウ、リンゴを繰り返して実らせました。
何故お酒にしやすい果樹を優先的に実らせたかというと、保存と販売の為です。
村で食糧を保存しようと思うと、お酒にするのが1番なのです。
山奥にある辺境の村では、塩がとても貴重なので、食べ物を素漬けにして保存できないのです。
村に必要な物は、月に1度くらいの間隔で来てくれる行商人任せです。
貴重な塩を運んできてくれるのも行商人です。
村で作っている小麦やお父さんたちが狩った魔獣の素材と交換してくれます。
ですが、美味しいお酒が大量に造れるようになれば、お酒でも貴重な塩を交換してもらえるかもしれないのです。
もし交換してもらえなくても、村で飲みますから無駄にはなりません。
「ケーン、今日は酒造りを休んで酒樽を造ってくれ。
これ以上ワインを造っても貯めておく甕がない」
「は~い、直ぐ造るよ」
村で造るワインは、素焼きの甕で発酵させていました。
甕の大きさは20リットルから800リットルまであります。
村で呑むだけなら800リットル甕だけで良いのですが、行商人に売る事を考えると、運びやすい20リットル酒樽を沢山造らないといけません。
それは我が家に富をもたらしましたが、同時に開拓村の中に貧富の差を生んでしまいました。
最初僕はその事に気がついていませんでした。
お父さんとお母さんは気づいていて、僕が寝た後で話し合っていたそうです。
そのまま何もしなければ、村が崩壊していたかもしれないそうです。
ですが、この世界は神様の神与のスキルで成り立っているのです。
とても信心深く、神様の御心に逆らうような事はしない人が多いそうです。
だから、神様に仕えるフィンリー神官の言葉にもよく従うのです。
「最近の村には不和不信に感情が広がっています。
これは神々の御心に逆らう大罪なのを分かっているのですか?!」
フィンリー神官が、春の畑仕事を休ませてまで村人全員を集めて、怖い表情でお説教されました。
「ケーンの神与スキルと魔力はジョイ神から授かったものです。
それを嫉妬するなど神々に逆らうも同然、絶対に許されない事です。
そのような者をこの村に置いておくわけにはいきません。
私が背神者と判断した者には村から出て行ってもらいます」
フィンリー神官が本気だと知った村人たちは恐れおののきました。
神官から背神者の烙印を押される事は、この世界では死刑宣告と同じだそうです。
信心深い村や街には入れてもらえなくなるので、猛獣や魔獣が沢山いる山で1人生きて行かなければいけなくなります。
「申し訳ありません、心を入れ変えますのでお許しください」
僕を嫌な目で見ていた人の半数が直ぐに謝りました。
ですが半数の人は、自分は関係ないと言う表情をして黙っています。
「貴方たちは今日中に村から出て行きなさい。
家族の事は村で面倒を見るから心配いりません」
フィンリー神官は全てお見通しでした。
黙っていた人たち全員の肩を叩いて声をかけました。
叩かれた人は直ぐに言い訳をしようとしましたが、フィンリー神官の目を見て固まってしまいました。
「神々を舐めているのですか?
貴方たちの悪意など、神々は先刻承知されているのですよ。
神与のスキルを奪われてから村を叩きだされるか、今直ぐ黙って村を出ていくか、この場で決めなさい」
フィンリー神官に厳しく言われた人たちは、肩を落として村を出て行きました。
男性も女性もいて、残された子供たちが泣いていました。
「男手を失った家は、村の男たちで助けてあげなさい。
女手を失った家は、村の女たちで助けてあげなさい。
子供たちは何時でも教会に来て良いのですよ、いえ、毎日来なさい。
これが神々の望まれる助け合いなのです」
僕が神与スキルを使った事で、親を無くす子が出るとは思ってもいませんでした。
人の事をうらやましいと思う気持ちは痛いほどわかります。
僕も前世では健康な子をうらやましく思っていましたから。
「フィンリー神官、子供たちが可哀想です、やり直す事はできないのですか?」
「ケーン、神々はとても慈悲深い面と厳しい面を持っておられるのです。
神々が人にかけてくださる愛情は同じではないのです。
神々の御心に逆らう人間には、恐ろしいほどの罰を下されるのです。
彼らがこのままこの村に残ったら、子供たちまで巻き込まれるのです」
フィンリー神官にそう言われると、僕には何も言えません。
神々の事は神官スキルを授かったフィンリー神官にしか分かりません。
子供たちまで巻き込まれると言うのなら、従うしかありません。
「フィンリー神官、僕もお手伝いしたいです。
僕がジョイ神から神与のスキルを授かったのは、村の為だと思います。
自分の家の分とは別に、村の為にも働きたいです」
「良く言いました、流石神々から愛情を注がれるだけあります。
心卑しい者たちとは心掛けが違います。
良いでしょう、村のために働いてください。
ですが、村の為だけに働いてはいけません、家の為にも働きなさい」
「はい、1日交替で村の為と家のために働きます」
僕は言葉通り、村と家のために果樹を実らせました。
これ以上人の心を惑わさないように、1日に1本の果樹しか実らせないようにしましたが、それでも村にとっては大きな収穫です。
リンゴは生で食べる分とシードルにする分があります。
山ブドウは、生で食べる分とワインにする分と干ブドウにする分があります。
ミカンはワインにするのが難しいので、比較的お酒にしやすいエルダーベリー、スグリ、山ブドウ、リンゴを繰り返して実らせました。
何故お酒にしやすい果樹を優先的に実らせたかというと、保存と販売の為です。
村で食糧を保存しようと思うと、お酒にするのが1番なのです。
山奥にある辺境の村では、塩がとても貴重なので、食べ物を素漬けにして保存できないのです。
村に必要な物は、月に1度くらいの間隔で来てくれる行商人任せです。
貴重な塩を運んできてくれるのも行商人です。
村で作っている小麦やお父さんたちが狩った魔獣の素材と交換してくれます。
ですが、美味しいお酒が大量に造れるようになれば、お酒でも貴重な塩を交換してもらえるかもしれないのです。
もし交換してもらえなくても、村で飲みますから無駄にはなりません。
「ケーン、今日は酒造りを休んで酒樽を造ってくれ。
これ以上ワインを造っても貯めておく甕がない」
「は~い、直ぐ造るよ」
村で造るワインは、素焼きの甕で発酵させていました。
甕の大きさは20リットルから800リットルまであります。
村で呑むだけなら800リットル甕だけで良いのですが、行商人に売る事を考えると、運びやすい20リットル酒樽を沢山造らないといけません。
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