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第一章

第8話:悪質冒険者ギルド

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 聖歴1216年1月6日:エドゥアル視点

「死にやがれ」

 連携など全く考えずに多くの悪質冒険者が襲いかかってくる。
 大半が剣士や槍使い、中には盾役もいる。
 そんな連中の背後、安全な場所に魔術師と聖職者がいる。
 教団と魔術師協会の手先が浮かべている嘲笑が許せない。
 勇者パーティーの悪事を隠蔽できると思っているのだろう。

「自分たちが犯してきた罪を噛みしめろや」

 俺は大昔から創造力がとても豊かなのだ。
 こいつらに殺された新人冒険者だけでなく、彼ら彼女らを慈しみ育ててきた家族の、愛しい人を失った哀しみをリアルに感じてしまうのだ。
 本人と家族が受けた痛みと哀しみを味合わせてやる。

「「「「「ぎゃ、ぐっ、ごっ、おわっ、げっふ」」」」」

 ほんの少しだけ、本気の万分の一をだして悪質冒険者たちをぶちのめす。
 許し難い罪を犯した者を簡単に殺したりはしない。
 一生まともに食事ができないように顎を粉々に砕く。
 二度と歩けないように両足首と両膝の関節を粉砕する。
 今後絶対に手や腕が使えないように、両手首と両肘の関節も粉々に砕く。

「人の後ろに隠れて悪事を働く連中を許すと思っているのか、ゴミくずが」

 何も分からないうちに攻撃されても痛いだけだ。
 今からぶちのめされる、殺されると理解させなければ、恐怖は感じない。
 こいつらに殺された人たちはもちろん、恐喝され続けた町人の恐怖感や、大切な人を殺された家族の哀しみも味合わせなければ公平じゃない。

「バカを盾にすれば、自分は安全だと思っていたのか?
 もうお前たちには逃げ隠れできる場所などないのだよ。
 この大陸のどこに行こう、王城や大神殿に逃げ込もうと必ずぶちのめしに行く。
 簡単に死ねると思うなよ、殺してくれと哀願しても決して殺さない。
 永劫の苦痛を何十年と味合わせてやるからな」

 何も考えずに襲いかかってくる、頭の悪い戦闘職をぶちのめし続けながら、魔術師や聖職者に時間をかけて恐怖を与える。
 顔に恐怖を浮かべたのを確認してから戦闘職と同じようにぶちのめす。
 ただ魔術師や聖職者は、戦闘職とは違う場所も破壊する。
 もう2度と呪文を唱えられないように、舌を引きちぎるのだ。

 ギャアアアアア

 100人ほど再起不能にしたら、自分から襲いかかってくる奴はいなくなった。
 俺の周囲には痛みに呻く連中が折り重なって倒れている。
 最初から関わらないようにしていた老練な連中は酒場の方にいる。
 安全を確保しつつも、金に目がくらむことなく、他人を陥れたり殺したりはせず、冒険者らしくモンスターを狩って生活していた連中だ。

「もうかかってこないのか、憶病で卑怯なクソ虫ども。
 だったら今度は俺から攻撃するが、覚悟はできているのだろうか」

 俺の強大な力と容赦のない攻撃を見て、まだ無事なクソ野郎どもの顔が引きつる。
 これでこそ、俺がやりたかった事、今まで人を苦しめ殺して快感と金と地位を得ていた連中に恐怖と苦痛を味合わせる事ができる。

「やれ、なにをしている、さっさとエドゥアルを殺せ」

 意識して後回しにしていた冒険者ギルドの副マスターが背後からわめく。
 
「どれほど傷つこうと我ら教団が癒してやる。
 教団員の盾になって戦え」

 俺は副ギルドマスターが恐怖を感じるように、ゆっくりと振り向いてやった。
 同時に並の人間なら失禁脱糞する程度の殺気を叩きつける。
 だが、絶対に恐怖でショック死しないように殺気を微調整する。

「後回しにしようと思っていたが、うるさいから先にぶちのめしてやろう」

 更に恐怖をあおるように、にったりと笑ってやった。

「ひっいいいいい」
 
 十分に恐怖を感じたのを確かめてから、ゆっくりと両目に指を入れる。
 これで生きている限り暗闇の恐怖に襲われ続けるだろう。

「ギャアアアアア」

 次は両の耳に指を突っ込んで聴覚器官を完璧に破壊する。
 鼓膜を破ったくらいでは簡単に回復させる事ができてしまう。
 だから回復できないように、前庭と蝸牛と3つの半規管とを破壊する。
 念のため、破壊した5つの聴覚器官と3つの耳骨を引きずり出して、紅蓮の業火で焼き尽くしてやった。

「フッギャアアアアア」

 闇と無音の恐怖だけでは片手落ちだ。
 冒険者たちと同じように、二度と自由に動けないように全ての関節を粉々に砕く。
 ちゃんと痛みを感じるような強さで、耳や鼻や唇を引きちぎる。
 俺のように罠にはめられて、モンスターに喰い殺された冒険者もいたはずだ。
 彼らが感じた恐怖や痛みを与える事なく、楽に殺すのは不公平だからな。

「ふぁいや、ぎゃっ」

 さっきまで固まっていた魔術師や聖職者が、俺が火炎魔術を使った事で、ようやく自分たちにも攻撃手段があるのを思いだしたのだろう。
 攻撃呪文を唱えようとしたのでぶちのめした。
 カタツムリの歩みよりも遅い呪文詠唱など何の役にも立たない。
 詠唱が終わる前に口を粉砕して舌を引き千切るだけで無効化できる。

「やめろ、やめないか。
 俺さまは召喚聖者ルイーズ様の教えを伝える教団員だぞ。
 ルイーズ教団に逆らってこの国で生きていけると思っているのか」

 前世でも『虎の威を借りる狐』という、ことわざ通りのクズはいた。
 この世界にも、目の前でわめき散らす聖職者のような連中が数多くいる。
 こんな連中が2度とのさばらないようにするのが俺の役目だ。
 そのために大切な家族を置いてこの国に戻ってきたのだ。

「待ってくれ、そんな連中でもボルドーの街を護るための大切な戦力なのだ。
 何の役にも立たないギルド職員は好きにしてくれて構わない。
 だが、多少でも戦える冒険者、攻撃魔術を放てる魔術師、回復魔術が使える聖職者は見逃してくれ、頼む」

 服装から、冒険者ギルドのマスターであろう、瘦身の中年男が頭を下げている。
 確かに、ボルドーの街を護るための戦力は必要だ。
 だが、だからといって、犯罪者を見逃す事はできない。
 特に同じ冒険者を、それも新人を殺していた連中ならなおさらだ。

「それは、新人冒険者を殺した腐れ外道を見逃せと言う事か。
 どうやらデピュティ・マスターだけでなく、マスターまで金に目がくらんで冒険者や町の人々を食い物にしていたようだな」

「それは違う、私は何も知らなかったのだ。
 私が無能な事は認めよう。
 冒険者ギルドのマスターとして、管理責任を問われて死刑になる覚悟もしている。
 私の命と引き換えにボルドーの街を護る戦力を残してくれないだろうか」

「そういう覚悟があると言うのなら、お前の手でここにいる聖職者を全員殺せ。
 俺がここに残って魔境の暴走を食い止める方を選ぶのか、俺がボルドーの町に見切りをつけて他の町に行く方のどちらを選ぶのだ」

「私が、いや、ボルドーの冒険者ギルドが、ルイーズ教団と魔術師協会の犯罪を糾弾すれば、ボルドーを助けてくれるのだ」

「直ぐにそこまで理解できるのに、デピュティ・マスターの悪事を知らなかったと言い張るのは無理があるぞ。
 ルイーズ教団や魔術師協会が怖くて、見て見ぬ振りをしていたのだろう。
 いや、分け前をもらって私腹を肥やしていたのだろう」

「ひぃ、ちがう、そんな事はない、俺は何ももらっていない、本当だ」

「ウソをついても無駄だ、目が泳いでいるぞ。
 時間稼ぎをすれば教団と魔術師協会から援軍が来ると思っているな。
 嘘をついて俺を利用しようしたようだが、バカにするのもたいがいにしろ。
 マスターの今のひと言が、ボルドーを救う最後の綱を切った。
 今まで散々苦しめてきた町の人に家族ともども嬲り殺しになるのだな」

「「「「「ギャアアアアア」」」」」

 俺は町の人達が復讐できるように、さっきの受付嬢と主任以外のギルド職員を逃げられないようにした。
 具体的には両膝の関節を砕いてやった。
 もちろん、その中にはギルドマスターも含まれている。
 それは悪質冒険者たちも同じだが、戦える者からは戦闘力も奪った。

「さて、冒険者ギルドの依頼でも、ボルドーの領主の命令でもなく、自主的にボルドーに民を護ろうと思う冒険者はついてこい。
 今まで味わった事のない戦いを経験させてやる」
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