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大魔境へ
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「ルイ様、大魔境に行かれますか」
「そこは遠いのかい」
「普通に歩いて行けば、何年もかかる道のりですが、ルイ様と私が本気で飛べば、半日でございます」
「ふむ。では一緒に行こうか」
「はい。ルイ様」
余は、大量の魔晶石を欲していた。
魔界を制圧し、無尽蔵の魔力を補給出来るようになったから、駆使する魔晶石使い魔の舵を増やそうと考えたのだ。
その為には、この世界と魔界を行き来して、魔力タンクとして使用出来るような、緋色金級くらいの魔晶石使い魔を、もっと創り出す必要があった。
ただその為には、莫大な量の魔晶石が必要なのだが、既存の魔境やダンジョンで狩りをすると、地元の冒険者や猟師の獲物を狩り尽くしてしまう。
そんな事になったら、民が困窮してしまうので、悩んでいたのだが、ガビが解決策を出してくれた。
この世界には、まだまだ人跡未踏の地があり、そこには今迄人類が出会った事のない、強大な魔物が溢れるほど住んでいるというのだ。
ガビの言う事だから、与太話ではなく、本当の事だ。
ならばそこに案内してもらって、思う存分魔獣と魔蟲を狩り、魔晶石を掻き集めればいい。
副産物として、多くの素材と食糧が手に入るから、荒廃したことどの再建にも役に立つ。
良いこと尽くめなのだが、ガビに言わせると、魔物が強すぎて、並みのミカサ一族では逆に狩られてしまう恐れがあるというのだ。
余の知るミカサ一族は、皆一騎当千の強者だから、少々信じられない思いもしたのだが、余の前に罷り出るのは、一定以上の強さを誇る武官なのだそうだ。
まあ、確かに、その通りだろう。
未来の公爵の配偶者、公配の近くに並の人間を配するはずがなかった。
護衛も兼ねて、皆一定の武を修めた者達なのが当然だった。
ミカサ一族にも文官もいるだろうし、一般庶民もいるだろう。
何の努力や修練を行わなくても、成人なら素の状態で白銀級冒険者位の武力があるそうだが、皆が皆、緋色金級以上の実力者だと初めて知った。
だが白銀級でも、たいがい強いと言えば強いのだ。
人間の基準で言えば、どれほど努力を重ねても、単独で白銀級の強さに到達できる者は一握りだ。
最低基準が白銀級と言われたら、ミカサ一族の種族としての強さを改めて思い知らされたと同時に、そんなミカサ一族が危険だという魔境を冒険できると思うと、心がワクワクする。
「ガビに背中を預けて、一緒の冒険が出来ると思うと、子供のように心が弾むよ」
「私もでございます」
「そこは遠いのかい」
「普通に歩いて行けば、何年もかかる道のりですが、ルイ様と私が本気で飛べば、半日でございます」
「ふむ。では一緒に行こうか」
「はい。ルイ様」
余は、大量の魔晶石を欲していた。
魔界を制圧し、無尽蔵の魔力を補給出来るようになったから、駆使する魔晶石使い魔の舵を増やそうと考えたのだ。
その為には、この世界と魔界を行き来して、魔力タンクとして使用出来るような、緋色金級くらいの魔晶石使い魔を、もっと創り出す必要があった。
ただその為には、莫大な量の魔晶石が必要なのだが、既存の魔境やダンジョンで狩りをすると、地元の冒険者や猟師の獲物を狩り尽くしてしまう。
そんな事になったら、民が困窮してしまうので、悩んでいたのだが、ガビが解決策を出してくれた。
この世界には、まだまだ人跡未踏の地があり、そこには今迄人類が出会った事のない、強大な魔物が溢れるほど住んでいるというのだ。
ガビの言う事だから、与太話ではなく、本当の事だ。
ならばそこに案内してもらって、思う存分魔獣と魔蟲を狩り、魔晶石を掻き集めればいい。
副産物として、多くの素材と食糧が手に入るから、荒廃したことどの再建にも役に立つ。
良いこと尽くめなのだが、ガビに言わせると、魔物が強すぎて、並みのミカサ一族では逆に狩られてしまう恐れがあるというのだ。
余の知るミカサ一族は、皆一騎当千の強者だから、少々信じられない思いもしたのだが、余の前に罷り出るのは、一定以上の強さを誇る武官なのだそうだ。
まあ、確かに、その通りだろう。
未来の公爵の配偶者、公配の近くに並の人間を配するはずがなかった。
護衛も兼ねて、皆一定の武を修めた者達なのが当然だった。
ミカサ一族にも文官もいるだろうし、一般庶民もいるだろう。
何の努力や修練を行わなくても、成人なら素の状態で白銀級冒険者位の武力があるそうだが、皆が皆、緋色金級以上の実力者だと初めて知った。
だが白銀級でも、たいがい強いと言えば強いのだ。
人間の基準で言えば、どれほど努力を重ねても、単独で白銀級の強さに到達できる者は一握りだ。
最低基準が白銀級と言われたら、ミカサ一族の種族としての強さを改めて思い知らされたと同時に、そんなミカサ一族が危険だという魔境を冒険できると思うと、心がワクワクする。
「ガビに背中を預けて、一緒の冒険が出来ると思うと、子供のように心が弾むよ」
「私もでございます」
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