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事前準備

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「本当について来るのかい」
「ルイ様が魔界に行くと強情を張られる以上、私も行くしかありません」
「余とガビでは、その身に背負う責任が違うのだけれど」
「その責任の大半は、ルイ様が私の押し付けたモノですよ」
「それを言われると、何も言えなくなるな」
「ルイ様には、私に対する責任があります。つまりそれは、私の背負う責任も、ルイ様が背負っていると言う事です。私に責任を押し付けておいて、楽をさせたりはしませんよ」
「そうだね。余が悪いのだよね」
「そうです、ルイ様は悪い男です」
「ガビが一緒に来るのなら、入念に準備しないといけないな」
「私と一緒なら、厳重な準備をするようなところに、何の準備もせずに、御一人で行かれたと言われるのですか」
「女性を大切に思うからだよ。余が一人なら、何時でも逃げ出せるけれど、ガビと一緒なら、踏み止まなければいけない場合があるからね」
「御口が御上手ですね」
「そんなことはないよ。ただ、ガビを大切に思っているだけだよ」
「その御口で、街娘や村娘を、口説いているのではないでしょうね」
「そんな事はしないよ。余はガビ一筋だよ」
「本当に御口が上手くなられましたね」
 ルイとガブリエラ女王は、二人きりの甘い時間を過ごしてはいたが、その手は忙しく動かされていた。
 いや、腕だけではなく、魔力を使って、立体的に色々な作業が、同時複合的に行われていた。
 その作業は、確保したダイの玉鋼級魔晶石使い魔を、ルイの配下の金剛石級魔晶石使い魔に改良する事だった。
 新たに集めた魔晶石も使って、魔界で龍形態のダイと戦う事を想定した、特別製の金剛石級魔晶石使い魔だ。
 ルイやガブリエラだけではなく、他の金剛石級魔晶石使い魔とも連携して、強烈無比のダイのブレス攻撃に耐えられるように、色々な魔法陣を内蔵していた。
 ルイとガブリエラ女王が、手持ちの全て魔晶石を使ったことで、その作業量は膨大なものとなり、全ての玉鋼級魔晶石使い魔を金剛石級魔晶石使い魔に改良するには、七日もの時間がかかってしまった。
 それも当然で、完成した特別製の金剛石級魔晶石使い魔は、五十七体にも及び、その総合戦闘力は、緋緋色金級の五倍以上に相当し、連携がうまく働けば、青生生魂級とも五分に渡り合えるほどだった。
 これにルイとガブリエラ女王の力が加われば、龍形態のダイであろうと、簡単には殺せないと思われた。
 そもそもガブリエラ女王は、ミカサ一族でも突出した魔力を誇るからこそ、一族の頭領になる予定なのだ。
 ダイと同じように、本来の姿に戻れば、一族の誰にも負けないはずなのだ。
 それはダイが相手も同じはずで、本性を表せば、ガブリエラ女王の方がダイよりも強いはずなのだ。
 それが本性を現さないと言うのは、ルイに対する乙女心なのだろう。
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