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ユニコーン
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「なんだと?! ユニコーンだと!」
「珍しい者が姿を現しましたね」
ルイとダイがクリューサーオールとペーガソスに空を駆けさせ、地上の動物なら追いかけられないように、高く駆けさせたら、ついに姿を現したのだ。
だが出てきた相手は、何と伝説の幻獣と呼ばれるユニコーンであった。
伝説通り全体的な形は馬なのだが、クリューサーオールやペーガソスと同じように背中に翼を持ち、尾はライオンそっくりで、顎には牡ヤギのような髭が生えている。
眼は紺色をしており、蹄は馬と違って2つあった。
何より特徴的だったのは、1本の長い角が額の中央に生えていることだ。
その角は螺旋状の筋が入っており、ユニコーンの体長の半分ほどの長さで、槍のように真直ぐで鋭く尖っている。
伝説通りなら、その角には魔法の力が宿っていて、世界のあらゆる毒や呪いを打ち消すことができ、毒水や汚水を清浄な水に変える力あると言う。
「ダイは知っているのか?」
「はい。昔何度か出会ったことがありますが、違うユニコーンのようです」
「ただの人間ではないようだね」
「言葉が話せるのですね」
「珍しいな。男に話しかけるとは」
「私も長く生きているからね。多少は男にも優しくなったのさ。それにあんただけではなく、そこにいるのもただの人間ではないようだしね」
「無礼な事を言うのなら、ユニコーンであろうと許さんぞ」
「無礼など言わないよ。それよりあんた達こそ、その高貴な乙女をどうするつもりだい?!」
「どうもしませんよ。アネットが、エルフの村に閉じこもったままでは偏屈で高慢になってしまうので、一緒に旅がしたいと言うので、同行しているだけですよ」
「不埒な考えはないのだね?!」
「美しい娘さんだとは思いますが、私には国に愛しい婚約者がいます」
「私も同族以外に興味はない」
「話は分かったが、無条件で信じるわけにはいかないね」
ルイとダイも、ユニコーンの伝説を知っていたので、アネットが処女なのだと思いはしたが、二人とも紳士なのでその事を口にはしなかった。
だが同時に伝説のユニコーンが高貴な乙女と言うくらいだから、このユニコーンがアネットを特別視していることも直ぐに理解した。
「信じられないのなら、私たちに同行してはいかがですか?」
「本気なのかい?」
「ええ。ユニコーンの伝説は聞いたことがありますから、ここであなたと争う気はありませんよ。あなたがアネットを護りたいと言われるのなら、じゃまをしようとは思いませんよ。それにいつまでもクリューサーオールに二人乗りするのもかわいそうです。あなたがアネットを乗せてくれるのなら、私たちも助かります」
「私の背にその高貴な乙女を乗せさせてくれるのだね?!」
「はい」
「だったら同行させてもらおうじゃないか」
「そのかわり約束してください」
「なにをだい?」
「アネットを必ず護ると」
「言われるまでもないよ! 私の誇りにかけて護るよ!」
「ではお任せしましたよ」
ユニコーン
「珍しい者が姿を現しましたね」
ルイとダイがクリューサーオールとペーガソスに空を駆けさせ、地上の動物なら追いかけられないように、高く駆けさせたら、ついに姿を現したのだ。
だが出てきた相手は、何と伝説の幻獣と呼ばれるユニコーンであった。
伝説通り全体的な形は馬なのだが、クリューサーオールやペーガソスと同じように背中に翼を持ち、尾はライオンそっくりで、顎には牡ヤギのような髭が生えている。
眼は紺色をしており、蹄は馬と違って2つあった。
何より特徴的だったのは、1本の長い角が額の中央に生えていることだ。
その角は螺旋状の筋が入っており、ユニコーンの体長の半分ほどの長さで、槍のように真直ぐで鋭く尖っている。
伝説通りなら、その角には魔法の力が宿っていて、世界のあらゆる毒や呪いを打ち消すことができ、毒水や汚水を清浄な水に変える力あると言う。
「ダイは知っているのか?」
「はい。昔何度か出会ったことがありますが、違うユニコーンのようです」
「ただの人間ではないようだね」
「言葉が話せるのですね」
「珍しいな。男に話しかけるとは」
「私も長く生きているからね。多少は男にも優しくなったのさ。それにあんただけではなく、そこにいるのもただの人間ではないようだしね」
「無礼な事を言うのなら、ユニコーンであろうと許さんぞ」
「無礼など言わないよ。それよりあんた達こそ、その高貴な乙女をどうするつもりだい?!」
「どうもしませんよ。アネットが、エルフの村に閉じこもったままでは偏屈で高慢になってしまうので、一緒に旅がしたいと言うので、同行しているだけですよ」
「不埒な考えはないのだね?!」
「美しい娘さんだとは思いますが、私には国に愛しい婚約者がいます」
「私も同族以外に興味はない」
「話は分かったが、無条件で信じるわけにはいかないね」
ルイとダイも、ユニコーンの伝説を知っていたので、アネットが処女なのだと思いはしたが、二人とも紳士なのでその事を口にはしなかった。
だが同時に伝説のユニコーンが高貴な乙女と言うくらいだから、このユニコーンがアネットを特別視していることも直ぐに理解した。
「信じられないのなら、私たちに同行してはいかがですか?」
「本気なのかい?」
「ええ。ユニコーンの伝説は聞いたことがありますから、ここであなたと争う気はありませんよ。あなたがアネットを護りたいと言われるのなら、じゃまをしようとは思いませんよ。それにいつまでもクリューサーオールに二人乗りするのもかわいそうです。あなたがアネットを乗せてくれるのなら、私たちも助かります」
「私の背にその高貴な乙女を乗せさせてくれるのだね?!」
「はい」
「だったら同行させてもらおうじゃないか」
「そのかわり約束してください」
「なにをだい?」
「アネットを必ず護ると」
「言われるまでもないよ! 私の誇りにかけて護るよ!」
「ではお任せしましたよ」
ユニコーン
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