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新たな仲間

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「どこか目的地はないのですか?」
「特に決まった場所はないよ」
「だったら一体何が目的なのですか?」
「見聞を広げるためだよ」
「それが何の役に立つと言うのですか?」
「世間知らずのままだと、自分の本当に実力を知ることができず、井の中の蛙で終わってしまうかもしれないからね」
「それは、我々エルフの事を言っているのですか?」
「エルフに限らず、人でも獣人でも同じだよ。自分を知るためには、比較すべき他を知らなければ比べようがないからね」
 ポクポクと騎乗しながら話す二人は、ルイとアネットであった。
 エルフの村で大事件があって、自分の愚かさと世間知らずを思い知ったアネットが、ルイとダイに同行を頼んだのだった。
 族長は苦虫を嚙み潰したよう顔をしていたが、それでも苦渋の決断で娘を送り出すことに同意したし、他のエルフに反対する気力はなかった。
 よほどダイの幻影魔法が恐ろしかったのだろう。
 だがルイとダイはクリューサーオールとペーガソスに乗っているので、アネットが普通についていくのは無理だった。
 だからと言って普通の馬では空を飛べないし、地上を行くとしても、非常時に馬を見捨てることになってしまうので、仕方なくクリューサーオールにルイとアネットが一緒に乗ることになった。
 エルフの村からさらに東に進む三人だったが、エルフにしては好奇心旺盛なアネットが常に質問して、それをルイが答える形ではあったが、ルイも世間知らずなので、ルイが知らない事はダイに聞いて答える形になっていた。
 ダイはアネットに答えたいわけではなかったが、ルイに笑顔で聞かれたら返事をしないわけにはいかないので、ルイに世間を教えるためだと思って、懇切丁寧に説明するのであった。
「ダイ、気が付いていますか」
「はい。さきほどから付かず離れず追いかけてきます」
「殺気はないと思うのですが」
「はい。殺気どころか敵意もないようです」
「魔物でもなく、獣とも違う気配のようなのですが」
「はい。私もそう思います」
「どうしたものですかね?」
「駆け足で逃げて見て、追いかけてくるか諦めるか確認してみますか?」
「そうですね。このままいつまでも付けまわされるのも嫌なものですから、ちょっとしかけてみましょう」
 ルイとダイがクリューサーオールとペーガソスに駆け足を命じ、森の中を結構な速さで駆けたのだが、それでも離されることなく追いかけてくるのだ。
 クリューサーオールはルイとアネットの二人乗りなので、普段より足が遅くなってはいるが、それでも普通の馬に追いつけるような速さではないので。
「しかたありませんね。相手の顔も見たいですから、空を駆けさせて、それでも追いかけてくるか確かめましょう」


アネット
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