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おしおき

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「殿下、あれほど勝手なマネはお止めくださいと申し上げたではありませんか!」
「あら? ちょっと運動してきただけよ」
「いくら相手が格下の魔族であろうと、万が一と言う事がございます。公爵家の直系は殿下しかおられないのですよ」
「大丈夫よ。私は運動不足解消のためにちょっと動いただけで、ほとんどは鬼衆が働いてくれたから、危険など毛ほどもなかったわ」
「それでもです! あの王女は追い詰められていますから、死に物狂いで何をしでかすか分かりません。すでに国内の老人や貧民を、一万人も虐殺しております」
「そうね。魔族を召喚するための言い訳とはいえ、食料を無駄にするだけで何の役にも立たないから、老人や貧民を殺せだなんて命令、ちょっとひどいわね」
「今までのように密かに殺すのではなく、国軍を使って一万人もの国民を殺して召喚した魔族が滅ぼされたのです。今度はどれほどの凶行を行うか分かったモノではありません」
「そうかしら? さすがにもうあきらめるのではなくて?」
「あのような人間は、反省することもあきらめることもありません。己の欲望を満たすために、死ぬまで他者を傷つけ殺し続けます」
「ねえ爺。それが分かっているのなら、やはり殺した方がいいのではないの?」
「それでは国王陛下のご意向に逆らうことになります」
「そうなのよね。でもこれ以上あの王女が国民を殺し続けるのなら、国王陛下も考え方を変えるのではないかしら?」
「左様でございますね。今でもエステ王国から、多くの難民がベルト王国に逃げてきております。もう何度か失政や虐殺を繰り返せば、内乱やクーデターが起こるかもしれませんし。我が国ではなく、国内の敵に暗殺されたと思われるかもしれません」
「我が国とのいざこざよりも、国内の敵に暗殺されたと思われるくらい、エステ王国が混乱するまで待てというのね」
「はい。さようでござます」
「あの国の民もかわいそうね」
「はい。ですが我が国に逃げ込むことができますから、希望がないわけではありません」
「そうね。陛下も王族の方々もお優しいから、逃げてくる者は犯罪者でない限り、すべて受け入れられるものね」
「はい。そのせいでエステ王国との関係は最悪でございますが、これだけは陛下も曲げられませんから」
「そうね。それが原因で戦争になるかもしれないけれど、平和を愛する陛下も、戦争を覚悟しても難民の受け入れだけは続けられておられるわね」
「難民の為の食料は、王家の方々が魔境に入って狩っておられるので、難民たちが手に職を付けるまで待つことができますから、我が国の人口は増えるばかりでございます」
「やはりもっと広い領地が必要ね」
「フィン連合王国内に新たな領地が手に入りましたから、公爵家として移民を募集したしましょう。そうすれば国王陛下もルイトポルト殿下も喜んでくださいます」
「そうね。バカな王女を相手にするよりは、ルイトポルト殿下のお手伝いをしたほうがいいわね。王女の監視を続けて、何かしでかしそうなら報告してちょうだい」
「承りました」

鬼衆
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