79 / 212
本文
宣戦布告
しおりを挟む
「ルートヴィヒ陛下、どうか我が国に援軍をお送りください!」
「それはできぬ」
「なぜでございます?! 隣国の誼を持ちまして、どうか我が国の苦境をお救いください」
「ベルドナルド全権大使殿。そもそも我が国と貴国では全く国の成り立ちが違う」
「何を申されますか。同じ王制を敷く国同士ではありませんか」
「黙れ! 陛下に対してこれ以上不遜な言動をするのなら、我が国はフィン王国に侵攻して、圧政にあえぐ民と奴隷として虐待されている獣人を開放するぞ!」
「やはり最初からそれが狙いでしたか!」
「何を身勝手な事を申している! 我が国から一度でも貴国に侵攻したことがあったか?! 我が国と貴国の戦争は、常に貴国が我が国に攻め込んで来たではないか。それをこの期に及んで援軍を要求するなど厚顔無恥にも程があるわ!」
「過去の我が国の侵攻は、先に貴国が我が国に侵攻しております。我が国はその報復の軍を起こしたまででございます」
「それは我が国の軍に偽装した貴国の軍が、戦争の口実に行ったことではないか!」
「証拠はどこにございますか?」
オーランド王国の宣戦布告と侵攻を受けて、フィン王国は恥知らずにもベルト王国に援軍を求めていた。
過去何度も、悪辣な手段を講じて戦争の大義名分を偽造し、一方的にベルト王国の攻め込んだ行為を謝ることも賠償することもなくだ!
そのあまりな言い分に激怒したベルト王国重臣たちは、口々にフィン王国から来たベルドナルド全権大使罵ったが、ベルドナルド全権大使はさらに身勝手な考えを重ね、ベルト王国が最初からフィン王国に侵攻しようとしていたと言いがかりをつけるのだった。
「今の言いようは陛下に対する不敬である。その不敬に対する報復として、我が国は貴国に侵攻することを通告する。これはベルト王国王太子にして、副大将軍である我の決定である」
「え? そんな?! 私はただ」
「この礼儀知らずを我が国から叩き出せ!」
「「「「「は!」」」」」
近衛騎士団は王太子の命に喜び勇んで従った。
近衛騎士団の面々は、国王陛下に身勝手な要求を繰り返すベルドナルド全権大使に、怒り心頭に達していたのだ。
「オットー、一兵たりとも我が軍の将兵を死なせないように」
「心得ております。将兵を国内で動員するだけで、実際には攻め込むことなく、領土の割譲を成し遂げて御覧にれます」
「そうか。だが万が一思い通りにならなくても、無理に攻め込むではないぞ」
「心得ております」
フィン王国軍
「それはできぬ」
「なぜでございます?! 隣国の誼を持ちまして、どうか我が国の苦境をお救いください」
「ベルドナルド全権大使殿。そもそも我が国と貴国では全く国の成り立ちが違う」
「何を申されますか。同じ王制を敷く国同士ではありませんか」
「黙れ! 陛下に対してこれ以上不遜な言動をするのなら、我が国はフィン王国に侵攻して、圧政にあえぐ民と奴隷として虐待されている獣人を開放するぞ!」
「やはり最初からそれが狙いでしたか!」
「何を身勝手な事を申している! 我が国から一度でも貴国に侵攻したことがあったか?! 我が国と貴国の戦争は、常に貴国が我が国に攻め込んで来たではないか。それをこの期に及んで援軍を要求するなど厚顔無恥にも程があるわ!」
「過去の我が国の侵攻は、先に貴国が我が国に侵攻しております。我が国はその報復の軍を起こしたまででございます」
「それは我が国の軍に偽装した貴国の軍が、戦争の口実に行ったことではないか!」
「証拠はどこにございますか?」
オーランド王国の宣戦布告と侵攻を受けて、フィン王国は恥知らずにもベルト王国に援軍を求めていた。
過去何度も、悪辣な手段を講じて戦争の大義名分を偽造し、一方的にベルト王国の攻め込んだ行為を謝ることも賠償することもなくだ!
そのあまりな言い分に激怒したベルト王国重臣たちは、口々にフィン王国から来たベルドナルド全権大使罵ったが、ベルドナルド全権大使はさらに身勝手な考えを重ね、ベルト王国が最初からフィン王国に侵攻しようとしていたと言いがかりをつけるのだった。
「今の言いようは陛下に対する不敬である。その不敬に対する報復として、我が国は貴国に侵攻することを通告する。これはベルト王国王太子にして、副大将軍である我の決定である」
「え? そんな?! 私はただ」
「この礼儀知らずを我が国から叩き出せ!」
「「「「「は!」」」」」
近衛騎士団は王太子の命に喜び勇んで従った。
近衛騎士団の面々は、国王陛下に身勝手な要求を繰り返すベルドナルド全権大使に、怒り心頭に達していたのだ。
「オットー、一兵たりとも我が軍の将兵を死なせないように」
「心得ております。将兵を国内で動員するだけで、実際には攻め込むことなく、領土の割譲を成し遂げて御覧にれます」
「そうか。だが万が一思い通りにならなくても、無理に攻め込むではないぞ」
「心得ております」
フィン王国軍
0
お気に入りに追加
607
あなたにおすすめの小説
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる