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再襲撃

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 予想通り魔族の襲撃が繰り返し行われた。
 襲って来る魔族は、オーランド王国の魔境に現れた個体とほとんど同じで、ホルムンクルスかクローンと疑いたくなるような見た目だが、それは人間が魔族の個体を見分けられないだけだった。
 同じ一族だからほとんど姿形は同じだが、魔力の波動が違うので、魔族や魔術士には個体の違いが分かるのだ。
 ルイたちは周囲に迷惑をかけないように、馬車が通れる道で一番さびれた所を選んだのだが、それでも全く宿場町や村がない訳ではない。
 だから宿泊は宿場町を使わず、道に設けられた避難場所を使い、魔族を誘うようにしていた。
 案の定、夜の暗闇に紛れて魔族は襲撃してきたが、ルイとダイに返り討ちになっていた。
その中でもオリビアに実戦訓練させることは続けられ、ルイやダイから身体強化魔法や支援魔法を受けることなく、自分自身の力に加えて魔斧槍と魔鎧を活用することで、魔族と戦う術を身に着けていった。
「今日はできた。一瞬だけ使った」
「そうだね。今日くらい緩急をつけた動きができれば、相手が魔族じゃなくドラゴンでも通用すると思うよ」
 ルイの誉め言葉に、オリビアは嬉しそうに微笑んでいる。
 今日のオリビアは、常時俊足や剛力の魔法をかけるのではなく、勝負時の一瞬だけ身体に魔力を通すことを覚えたのだ。
 この方法だと、通常のオリビアの動きになれた敵は、一瞬で早く強くなったオリビアに眼も身体もついていけず、オリビアの攻撃を避けることも受ける事も出来なくなるのだ。
 それにこの方法だと使う魔力も少ないので、魔斧槍や魔鎧に蓄えられている魔力で長く戦う事ができるのだ。
「若様、ダイ殿、そろそろ街道に戻りたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ガルド殿たちにこれ以上迷惑をかけるわけにはいかないし、そろそろ分かれましょうか」
「いえ、決してそういうつもりで言っているのではないのです。迷惑どころか命を助けていただいた上に、莫大な利益をもたらして下さったので感謝しているのです。ですが若様とダイ殿の実力なら、街道を旅しても大丈夫だと思うのです」
「だがこれから襲ってくる敵が、今までのような弱い魔族とは限らないのですよ。今なら魔族や魔獣が襲ってきてもオリビアが撃退してくれますから、私たちとは別れましょう」
 ルイとダイのお陰で多くの魔物素材を手に入れたガルドは、それを高値で売れる大きな町に行きたいと願っていた。
「ちょっと待ってください。何か飛んできますね」
「はい。魔力的には大したことありませんが、人間のような気配がします」
「この魔力量で、この速さの飛行魔法を使えるとは興味深いね」
「見に行かれますか?」
「ああ、そうしよう。ガルド殿、話はまた後でしましょう。後は頼みましたよオリビア」
 そう言ってルイとダイは、クリューサーオールとペーガソスに乗って空を駆けて行った。


魔女1
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