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レイラ最後の試練

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 魔境町からの出立を一日遅らせたルイとダイは、ダイが若い冒険者たちの訓練を受け持ち、ルイがレイラへの秘密伝授を行った。
 地下都市のさらに下にレイラしか入れない場所を新設し、そこにルイとダイが夜のうちに狩った大量の低級魔獣を保管したのだった。
 そこは冷凍冷蔵の魔法陣が刻まれている上に、状態保存の魔法陣までが刻み込まれており、絶対にレイラ以外の人間に知られる訳にはいかなかったのだ。
 それは土から塩を集める魔法陣も同じで、こんなものが世間に知られてしまうと、今ある世の中の仕組みがひっくり返ってしまう。
 岩塩や塩田が収入の基盤となっている貴族や国は、何が何でもその魔法陣を破壊しようと動くだろうし、塩の入手に大量の資金を使っている貴族や国は、何としてでも手に入れようと暗躍するだろうからだ。
 だから秘密の階層にレイラ以外の者が入り込んだ場合は、自動的に大切な魔法陣が再現不可能なように消去される仕組みになっていた。
 そして非常に高まったレイラの権威ではあるが、万が一の事を考えて、この魔境の冒険者や役人が、絶対にレイラに逆らわないようにするために、ビッグボア以外の白銀級魔物を狩らせることにした。
 だがこの魔境には、ボスの玉鋼級魔獣以外に存在する強力な魔獣と言えば、ビッグボアとビッグタイガーしかいないので、今一度、昨日最初に狩ったビッグタイガーを狩る所を、冒険者や老人や孤児たちだけではなく、役人やギルド職員にも見せつけることにした。
 役人やギルド職員を引っ張り出す理由としては、レイラに白銀級冒険者証を与えるにあたり、本当にレイラが白銀級魔物を狩る所を見せると言う事だった。
 まあ実際の所、そもそも白銀級と言う、今まで魔境町の冒険者が誰一人狩れなかった強大な魔物を、ホイホイと生け捕りにして修練の相手にさせるという、桁外れに強いルイとダイが異常と言えば異常なのだ。
 そんなルイとダイの強さは、先日の暴行殺人で嫌というほど見ている役人とギルド職員だから、ルイとダイの提案を拒むはずもなく、唯々諾々と修練の観戦にやってきた。
 ビッグボアは無念無想の境地で狩れるようになったレイラだが、攻撃パターンの違うビッグタイガーを狩るとなると緊張してしまう。
 さらにルイに今度狩ることを命じられたビッグタイガーは、昨日狩ったビッグタイガーよりも老練で強かったのだ!
 同じ白銀級魔物ではあるものの、個体によって強さに差があり、最も強い白銀級と最も弱い白銀級では、その恐ろしさが全然違うのだ。
 レイラは昨日狩ったビッグタイガーと同じ戦法を使おうとしたものの、今日のビッグタイガーは弱点である口を開けず、牙による攻撃を使わず、爪の攻撃だけでレイラを追い詰めていった。
 ビッグボアを狩った時のように、ビッグタイガーの左右に岩盤製の槍を生み出し、逃げられなくなった所を魔剣で眼から脳を突き刺すつもりだったが、ビッグタイガーはビッグボアのように猪突せず、ひらりと魔剣の突きをかわしたのだ!
 そして魔剣の突きをかわしただけではなく、後ろ脚で立ち上がり、左右の爪でレイラを斬り裂こうとしたのだ!

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