6 / 7
第一章
第6話:天罰
しおりを挟む
下界を見ていたロキは思いっきり不機嫌になった。
醜い双子が、不遜にもロキの聖女になると宣言したのだ。
自ら聖女になると口にするとは、思い上がりもはなはだしい。
その言葉は、ロキが馬鹿で双子が聖女を陥れたことにも気が付いていないと言っているも同然で、いや、そもそも天罰が下されている時点で、見抜かれている。
それでも聖女になれると言い切るのは、よほど自分の容姿が聖女以上で、聖女を殺しても許されるという自信があるのだ。
「その言葉忘れるなよ、思い知らせてくれる」
ロキの怒りは天を衝くほどで、抑えきれずに周囲を火炎が渦巻いていた。
聖女オリビアを焼き殺しそうになってしまい、急いで遠くへ移動させたくらいだ。
ロキの怒りに気が付かない愚か者達は、急ぎ処刑台と祭壇を整えて、王族の処刑と聖女選別の儀式を行おうとした。
だが既に飲み水すら手に入りにくくなっていた民は、蓄えを全て使って黒油で濁った水を買うか、その黒水を手に入れるためにコサック侯爵家の奴隷になるしかなかった。
「全ての元凶は王家にある。
だから私は救国のために泣く泣く主家である王族を処刑するのだ」
王族は全員吊るし首にされた。
双子はもっと残虐な処刑をして民を満足させようと言ったが、コサック侯爵は民の雰囲気を察してそれはやらなかった。
王族を処刑を見に集まった人間は、国民のごくわずかしかいなかった。
多くの民が、黒油の火で溶かした汚れた水を飲んで、激しい嘔吐と下痢に襲われ、半死半生で寝込んでいたのだ。
国民の激しい怒りは、王家だけでなくコサック侯爵家にも向けられていた。
「「皆私達を崇めよ、私達が聖女となってお前達を救ってやる」」
そんな国民の雰囲気に気が付かず、双子の悪女は自信満々に宣言した。
自分達が神に選ばれることを全く疑っていなかった。
愚かとしか言えない馬鹿げた話だった。
「「ぎゃああああああ」」
ロキはようやくその怒りをぶつけることができた。
双子の悪女を醜悪な怪物に変化させたのだ。
アメーバーのような不定形で、グニャグニャと身体を収縮させるだけの、見るもおぞましい姿の化け物だった。
化け物となっても、記憶は失われなかったが、恐ろしい飢餓感に苛まれ、本能で父親を捕まえ身体に取り込み、徐々に酸で溶かして吸収する。
「「「「「うわぁああああ、化け物だぁああああ」」」」」
集まっていた民は恐怖に逃げ出した。
余りの恐ろしさに本能的に逃げ出してしまった。
だが、その心にロキの言葉が伝えられた。
「その化け物を斃せ、身体を斬って喰らえ、喰らって殺せば許してやる」
邪悪なロキの人間同士を喰らい合わせる遊びだった。
人間と元人間が生き残るために殺し合って喰らう。
これほど見ていて楽しいショーはない。
そしてこれがお気に入りの聖女を苦しめた人間への罰だった。
醜い双子が、不遜にもロキの聖女になると宣言したのだ。
自ら聖女になると口にするとは、思い上がりもはなはだしい。
その言葉は、ロキが馬鹿で双子が聖女を陥れたことにも気が付いていないと言っているも同然で、いや、そもそも天罰が下されている時点で、見抜かれている。
それでも聖女になれると言い切るのは、よほど自分の容姿が聖女以上で、聖女を殺しても許されるという自信があるのだ。
「その言葉忘れるなよ、思い知らせてくれる」
ロキの怒りは天を衝くほどで、抑えきれずに周囲を火炎が渦巻いていた。
聖女オリビアを焼き殺しそうになってしまい、急いで遠くへ移動させたくらいだ。
ロキの怒りに気が付かない愚か者達は、急ぎ処刑台と祭壇を整えて、王族の処刑と聖女選別の儀式を行おうとした。
だが既に飲み水すら手に入りにくくなっていた民は、蓄えを全て使って黒油で濁った水を買うか、その黒水を手に入れるためにコサック侯爵家の奴隷になるしかなかった。
「全ての元凶は王家にある。
だから私は救国のために泣く泣く主家である王族を処刑するのだ」
王族は全員吊るし首にされた。
双子はもっと残虐な処刑をして民を満足させようと言ったが、コサック侯爵は民の雰囲気を察してそれはやらなかった。
王族を処刑を見に集まった人間は、国民のごくわずかしかいなかった。
多くの民が、黒油の火で溶かした汚れた水を飲んで、激しい嘔吐と下痢に襲われ、半死半生で寝込んでいたのだ。
国民の激しい怒りは、王家だけでなくコサック侯爵家にも向けられていた。
「「皆私達を崇めよ、私達が聖女となってお前達を救ってやる」」
そんな国民の雰囲気に気が付かず、双子の悪女は自信満々に宣言した。
自分達が神に選ばれることを全く疑っていなかった。
愚かとしか言えない馬鹿げた話だった。
「「ぎゃああああああ」」
ロキはようやくその怒りをぶつけることができた。
双子の悪女を醜悪な怪物に変化させたのだ。
アメーバーのような不定形で、グニャグニャと身体を収縮させるだけの、見るもおぞましい姿の化け物だった。
化け物となっても、記憶は失われなかったが、恐ろしい飢餓感に苛まれ、本能で父親を捕まえ身体に取り込み、徐々に酸で溶かして吸収する。
「「「「「うわぁああああ、化け物だぁああああ」」」」」
集まっていた民は恐怖に逃げ出した。
余りの恐ろしさに本能的に逃げ出してしまった。
だが、その心にロキの言葉が伝えられた。
「その化け物を斃せ、身体を斬って喰らえ、喰らって殺せば許してやる」
邪悪なロキの人間同士を喰らい合わせる遊びだった。
人間と元人間が生き残るために殺し合って喰らう。
これほど見ていて楽しいショーはない。
そしてこれがお気に入りの聖女を苦しめた人間への罰だった。
0
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして
みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。
きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。
私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。
だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。
なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて?
全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです!
※「小説家になろう」様にも掲載しています。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
残念ですが、生贄になりたくないので逃げますね?
gacchi
恋愛
名ばかり公爵令嬢のアリーは生贄になるために王宮で育てられていた。そのことはアリーには秘密で。ずっと周りに従順になるように育てられていたアリーだが、魔術で誓わされそうになり初めて反発した。「この国に心も身体もすべて捧げると誓いますね?」「いいえ、誓いません!」
たまたまそれを見ていた竜王の側近ラディに助けられ、竜王国に働きに行くことに。
アリーは名前をリディに変え、竜王国で魔術師として働く予定だったが、どうやら普通の人ではなかったようで?
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
安息を求めた婚約破棄
あみにあ
恋愛
とある同窓の晴れ舞台の場で、突然に王子から婚約破棄を言い渡された。
そして新たな婚約者は私の妹。
衝撃的な事実に周りがざわめく中、二人が寄り添う姿を眺めながらに、私は一人小さくほくそ笑んだのだった。
そう全ては計画通り。
これで全てから解放される。
……けれども事はそう上手くいかなくて。
そんな令嬢のとあるお話です。
※なろうでも投稿しております。
【完結】用済みと捨てられたはずの王妃はその愛を知らない
千紫万紅
恋愛
王位継承争いによって誕生した後ろ楯のない無力な少年王の後ろ楯となる為だけに。
公爵令嬢ユーフェミアは僅か10歳にして大国の王妃となった。
そして10年の時が過ぎ、無力な少年王は賢王と呼ばれるまでに成長した。
その為後ろ楯としての価値しかない用済みの王妃は廃妃だと性悪宰相はいう。
「城から追放された挙げ句、幽閉されて監視されて一生を惨めに終えるくらいならば、こんな国……逃げだしてやる!」
と、ユーフェミアは誰にも告げず城から逃げ出した。
だが、城から逃げ出したユーフェミアは真実を知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる