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12話
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「お姉様。
美味しい料理がたくさん手に入ってよかったですわね。
私もたくさんの魔法が覚えられましたし」
「そうね。
これでいつでも美味しい料理が食べられるし、エレノアが変な男に襲われる心配もなくなりました」
私達は十日も同じ宿に連泊しました。
本来なら追放刑になったエレノアには許されない事ですが、王都が大混乱しているので、咎める者などおりません。
まあ、いても私が犬に食わせて終わりです。
わずか十日間で、エレノアは上級上の魔法まで完璧の覚えました。
熟練の速さはありませんし、他人との連携もできませんが、時間をかけていい状態なら、何の問題もなく発動させることができます。
護衛の一人もいれば、全く問題ないでしょう。
エレノアの才能は公爵家に留まることなく、王族に嫁げるほどです。
まあ、嫁がせることなどありませんけどね。
私が合格を出してほめたことがうれしかったのでしょう。
エレノアはずっと魔法の話をします。
どこでどのような魔法を使えばいいのか、これからどこで練習すればいいのか。
公爵家の領主であるエレノアは、危険を冒して最前線で魔法を使う事は許されませんが、これほどうれしそうに話すエレノアを傷つけたくはありません。
そこで別の使い方に誘導することにしました。
「確かに攻撃魔法は使うのは痛快だけれど、もっといい魔法があるのよ」
「もっといい魔法ですか?
どのような魔法でございますか?」
「領主として家臣領民に慈愛を示すために、定期的に治癒魔法を施すの。
全ての家臣領民に施す事はできないけれど、命にかかわるような病気やケガをした家臣領民を、優先的に治療してあげるのよ」
「それは素晴らしいですわ、お姉様。
領地に戻ったらぜひやりたいです。
でも……私は領地に戻れるのでしょうか?」
「大丈夫よ。
そろそろ頃合いだから、王族を皆殺しにするわ。
そうすれば領地に帰れるわ」
「でも、それではこの国は誰が治めるのですか。
この前の話では、大きな内乱になるような気がします」
「大丈夫よ。
その心配だけはしなくていいわ。
多くの貴族が、私がいなければ国が立ち行かない事を理解しただろうし。
私が治めると言えば誰も文句は言わないでしょう」
「お姉様が聖女と女王の両方をされるのですか?!
お姉様の負担が大きすぎるのではありませんか?」
「大丈夫よ。
エレノアの家臣のうち、レノヴァ以外の何人かを借りるわ。
彼らに実務を任せれば、今の王や王太子が統治できた国なのよ。
今より悪いくなる事はないわ」
「でも、お姉様を侮る馬鹿な貴族がいるかもしれません」
「それも大丈夫よ。
そんな貴族は魔に食べられるから、二三人食べられたら誰も逆らわなくなるわ」
「お姉様を敵に回すなんて、王太子も王も愚かすぎます」
美味しい料理がたくさん手に入ってよかったですわね。
私もたくさんの魔法が覚えられましたし」
「そうね。
これでいつでも美味しい料理が食べられるし、エレノアが変な男に襲われる心配もなくなりました」
私達は十日も同じ宿に連泊しました。
本来なら追放刑になったエレノアには許されない事ですが、王都が大混乱しているので、咎める者などおりません。
まあ、いても私が犬に食わせて終わりです。
わずか十日間で、エレノアは上級上の魔法まで完璧の覚えました。
熟練の速さはありませんし、他人との連携もできませんが、時間をかけていい状態なら、何の問題もなく発動させることができます。
護衛の一人もいれば、全く問題ないでしょう。
エレノアの才能は公爵家に留まることなく、王族に嫁げるほどです。
まあ、嫁がせることなどありませんけどね。
私が合格を出してほめたことがうれしかったのでしょう。
エレノアはずっと魔法の話をします。
どこでどのような魔法を使えばいいのか、これからどこで練習すればいいのか。
公爵家の領主であるエレノアは、危険を冒して最前線で魔法を使う事は許されませんが、これほどうれしそうに話すエレノアを傷つけたくはありません。
そこで別の使い方に誘導することにしました。
「確かに攻撃魔法は使うのは痛快だけれど、もっといい魔法があるのよ」
「もっといい魔法ですか?
どのような魔法でございますか?」
「領主として家臣領民に慈愛を示すために、定期的に治癒魔法を施すの。
全ての家臣領民に施す事はできないけれど、命にかかわるような病気やケガをした家臣領民を、優先的に治療してあげるのよ」
「それは素晴らしいですわ、お姉様。
領地に戻ったらぜひやりたいです。
でも……私は領地に戻れるのでしょうか?」
「大丈夫よ。
そろそろ頃合いだから、王族を皆殺しにするわ。
そうすれば領地に帰れるわ」
「でも、それではこの国は誰が治めるのですか。
この前の話では、大きな内乱になるような気がします」
「大丈夫よ。
その心配だけはしなくていいわ。
多くの貴族が、私がいなければ国が立ち行かない事を理解しただろうし。
私が治めると言えば誰も文句は言わないでしょう」
「お姉様が聖女と女王の両方をされるのですか?!
お姉様の負担が大きすぎるのではありませんか?」
「大丈夫よ。
エレノアの家臣のうち、レノヴァ以外の何人かを借りるわ。
彼らに実務を任せれば、今の王や王太子が統治できた国なのよ。
今より悪いくなる事はないわ」
「でも、お姉様を侮る馬鹿な貴族がいるかもしれません」
「それも大丈夫よ。
そんな貴族は魔に食べられるから、二三人食べられたら誰も逆らわなくなるわ」
「お姉様を敵に回すなんて、王太子も王も愚かすぎます」
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