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7話
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「お姉様。
領地に戻らなくていいのでしょうか?」
「領地に戻ると、王家の決定に背くことになるわ。
王家に付け入るスキを与えてはいけません。
ここは素直に国外に出るのです。
領地の事はレノヴァに任せれば大丈夫です」
私は遠見の鏡をエレノアに見せながら色々と話します。
今迄は互いに忙しくて、幼い頃を除いて親しくする事はできませんでした。
でも今、ようやく血の繋がった姉妹として一緒に旅しています。
追放刑の旅ではありますが、これほどの幸せはありません。
まあ、時に邪魔者も現れますが、私の敵ではありません。
側に近寄る前に、エレノアを不安にさせる前に、犬に食わせて終わりです。
「お姉様は王家内で殺し合いをさせるおつもりなのですね」
「王族だから何をしても許されるわけではありませんよ。
エレノアが帝王学を学んだように、王族も学ばねばならないのです。
特に一国を背負う国王や王太子は、完璧に学ばねばなりません。
それをあのような不始末をしでかしたのです。
責任を取らなければいけません。
エレノアは、自分の私利私欲で法を歪めるのですか?」
「いえ、そんな事は絶対しません。
万が一気の緩みで間違えることがあっても、誤魔化さず過ちを正します」
「分かっているのなら、王と王太子が罰を受けるのは当然だと思いませんか」
「……はい、当然です」
「しかも私が罰を下すわけではないのですよ。
彼らが己の過ちを正さず、更に私利私欲に走り、自滅するだけです。
なぜそれを、被害者である私達が、命を賭けて助けなければいけないのですか?
私達が命を賭けて助けるのは、家臣領民ですよ。
その大切な命を、犯罪者のために危険にさらすなど、責任放棄以外の何物でもありませんよ」
「はい、申し訳ありません。
考え違いをしておりました」
「分かればいいのですよ。
エレノアには負担をかけてしまっています。
私が順当に家督を継げれば、全て丸く収まっていたのです。
急に家督を継がねばならなくなった割には、よく頑張っていますよ」
「お姉様!
わああああん」
段々腹が立ってきました。
エレノアの努力と責任感。
この苦悩に比べて、糞王と下劣王太子の無責任ぶりに耐え難い怒りを覚えます。
このまま自然に任せるのが嫌になりました。
もっと積極的に報復してやります。
ですが今直ぐは駄目です。
残虐な場面をエレノアに見せるのは精神的に悪いですからね。
またエレノアが寝静まった頃に、牙鼠を使って思い知らせてやります。
それに直ぐには殺しません。
じわりじわりと恐怖を味合わせてやります。
そして最後は、殺してくれて願いたくなるくらいの殺し方をしてやります。
領地に戻らなくていいのでしょうか?」
「領地に戻ると、王家の決定に背くことになるわ。
王家に付け入るスキを与えてはいけません。
ここは素直に国外に出るのです。
領地の事はレノヴァに任せれば大丈夫です」
私は遠見の鏡をエレノアに見せながら色々と話します。
今迄は互いに忙しくて、幼い頃を除いて親しくする事はできませんでした。
でも今、ようやく血の繋がった姉妹として一緒に旅しています。
追放刑の旅ではありますが、これほどの幸せはありません。
まあ、時に邪魔者も現れますが、私の敵ではありません。
側に近寄る前に、エレノアを不安にさせる前に、犬に食わせて終わりです。
「お姉様は王家内で殺し合いをさせるおつもりなのですね」
「王族だから何をしても許されるわけではありませんよ。
エレノアが帝王学を学んだように、王族も学ばねばならないのです。
特に一国を背負う国王や王太子は、完璧に学ばねばなりません。
それをあのような不始末をしでかしたのです。
責任を取らなければいけません。
エレノアは、自分の私利私欲で法を歪めるのですか?」
「いえ、そんな事は絶対しません。
万が一気の緩みで間違えることがあっても、誤魔化さず過ちを正します」
「分かっているのなら、王と王太子が罰を受けるのは当然だと思いませんか」
「……はい、当然です」
「しかも私が罰を下すわけではないのですよ。
彼らが己の過ちを正さず、更に私利私欲に走り、自滅するだけです。
なぜそれを、被害者である私達が、命を賭けて助けなければいけないのですか?
私達が命を賭けて助けるのは、家臣領民ですよ。
その大切な命を、犯罪者のために危険にさらすなど、責任放棄以外の何物でもありませんよ」
「はい、申し訳ありません。
考え違いをしておりました」
「分かればいいのですよ。
エレノアには負担をかけてしまっています。
私が順当に家督を継げれば、全て丸く収まっていたのです。
急に家督を継がねばならなくなった割には、よく頑張っていますよ」
「お姉様!
わああああん」
段々腹が立ってきました。
エレノアの努力と責任感。
この苦悩に比べて、糞王と下劣王太子の無責任ぶりに耐え難い怒りを覚えます。
このまま自然に任せるのが嫌になりました。
もっと積極的に報復してやります。
ですが今直ぐは駄目です。
残虐な場面をエレノアに見せるのは精神的に悪いですからね。
またエレノアが寝静まった頃に、牙鼠を使って思い知らせてやります。
それに直ぐには殺しません。
じわりじわりと恐怖を味合わせてやります。
そして最後は、殺してくれて願いたくなるくらいの殺し方をしてやります。
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