9 / 9
第一章
第9話:プロポーズ
しおりを挟む
「ハインリヒ、愛しています、私と結婚してください」
アレッタはとても焦っていた。
密偵の報告でエクリュアが妊娠していない事が分かったのだ。
しかもそれを隠蔽しようとして、ウッタル公爵がエクリュアを殺そうとしている。
エクリュアが殺されてしまったら、また王太子の婚約者にされてしまう。
そうなってしまったら、この国を捨てて逃げる以外には王太子から逃れられない。
「本気なのですか、アレッタお嬢様、私は孤児ですよ」
最初は驚愕していたハインリヒだったが、今は真剣に私を見つめてくれている。
「本気です、王都の孤児院で初めて会った時から、ずっと恋していました。
ハインリヒの側にいたくて、領地に孤児院を作ったのです。
ハインリヒと結婚できるように、男爵資格を取ってもらったのです。
どうか私と結婚してください」
「ありがとうございます、喜んでお受けさせていただきます」
私は思わずハインリヒを抱きしめてしまいました。
そのままキスまでしてしまいました。
情熱的にキスした後で、そのまま父上に結婚したいと言いに行きました。
手はハインリヒと恋人繋ぎしたまま。
「父上、私はハインリヒを愛しています、ハインリヒと結婚させてください。
もし結婚させてくださらないのなら、家を出て他国に行って冒険者になります」
「お前はやる事は露骨すぎるのだよ。
こうなる事はとうに分かっていたし、家臣達も気がついていた。
中にはまだ納得していない者もいるが、大半の家臣はハインリヒの実力を認めているから、何とかなるだろう。
よかろう、認めてやるが、ハインリヒの爵位はウィーン公爵家の従属爵位とする。
本当ならば、ダンジョンボスを単独で斃して、王国城伯の資格を得てから結婚させたかったのだが、流石にそれはエクリュアが殺されるまでには不可能だからな」
「ありがとうございます父上、後でやっぱり駄目だはなしですよ」
「分かっている、無理矢理王太子と結婚させようとしたら、お前は躊躇わずにこの国から逃げ出してしまうだろう、そうなれば丸損だからな。
その代わり、王妃になっていたのを補うくらいダンジョンで稼いでもらうからな」
私は父上の許可を受けてその日のうちに結婚した。
王家や貴族には、私とハインリヒが結婚した事実を即時知らせました。
披露宴は後日行うとしたので、私が公爵令嬢にあるまじき失敗をしたのだと噂されるでしょうが、ハインリヒと結婚できるのなら些細な事です。
それから六日後にエクリュアが殺されたという知らせが入りました。
エクリュアに片想いした庭師が、妊娠して幸せそうにしている姿を見て、発狂して襲ったという筋書きでした……。
アレッタはとても焦っていた。
密偵の報告でエクリュアが妊娠していない事が分かったのだ。
しかもそれを隠蔽しようとして、ウッタル公爵がエクリュアを殺そうとしている。
エクリュアが殺されてしまったら、また王太子の婚約者にされてしまう。
そうなってしまったら、この国を捨てて逃げる以外には王太子から逃れられない。
「本気なのですか、アレッタお嬢様、私は孤児ですよ」
最初は驚愕していたハインリヒだったが、今は真剣に私を見つめてくれている。
「本気です、王都の孤児院で初めて会った時から、ずっと恋していました。
ハインリヒの側にいたくて、領地に孤児院を作ったのです。
ハインリヒと結婚できるように、男爵資格を取ってもらったのです。
どうか私と結婚してください」
「ありがとうございます、喜んでお受けさせていただきます」
私は思わずハインリヒを抱きしめてしまいました。
そのままキスまでしてしまいました。
情熱的にキスした後で、そのまま父上に結婚したいと言いに行きました。
手はハインリヒと恋人繋ぎしたまま。
「父上、私はハインリヒを愛しています、ハインリヒと結婚させてください。
もし結婚させてくださらないのなら、家を出て他国に行って冒険者になります」
「お前はやる事は露骨すぎるのだよ。
こうなる事はとうに分かっていたし、家臣達も気がついていた。
中にはまだ納得していない者もいるが、大半の家臣はハインリヒの実力を認めているから、何とかなるだろう。
よかろう、認めてやるが、ハインリヒの爵位はウィーン公爵家の従属爵位とする。
本当ならば、ダンジョンボスを単独で斃して、王国城伯の資格を得てから結婚させたかったのだが、流石にそれはエクリュアが殺されるまでには不可能だからな」
「ありがとうございます父上、後でやっぱり駄目だはなしですよ」
「分かっている、無理矢理王太子と結婚させようとしたら、お前は躊躇わずにこの国から逃げ出してしまうだろう、そうなれば丸損だからな。
その代わり、王妃になっていたのを補うくらいダンジョンで稼いでもらうからな」
私は父上の許可を受けてその日のうちに結婚した。
王家や貴族には、私とハインリヒが結婚した事実を即時知らせました。
披露宴は後日行うとしたので、私が公爵令嬢にあるまじき失敗をしたのだと噂されるでしょうが、ハインリヒと結婚できるのなら些細な事です。
それから六日後にエクリュアが殺されたという知らせが入りました。
エクリュアに片想いした庭師が、妊娠して幸せそうにしている姿を見て、発狂して襲ったという筋書きでした……。
0
お気に入りに追加
127
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
死ぬはずだった令嬢が乙女ゲームの舞台に突然参加するお話
みっしー
恋愛
病弱な公爵令嬢のフィリアはある日今までにないほどの高熱にうなされて自分の前世を思い出す。そして今自分がいるのは大好きだった乙女ゲームの世界だと気づく。しかし…「藍色の髪、空色の瞳、真っ白な肌……まさかっ……!」なんと彼女が転生したのはヒロインでも悪役令嬢でもない、ゲーム開始前に死んでしまう攻略対象の王子の婚約者だったのだ。でも前世で長生きできなかった分今世では長生きしたい!そんな彼女が長生きを目指して乙女ゲームの舞台に突然参加するお話です。
*番外編も含め完結いたしました!感想はいつでもありがたく読ませていただきますのでお気軽に!
【完結】悪役令嬢に転生したようです。アレして良いですか?【再録】
仲村 嘉高
恋愛
魔法と剣の世界に転生した私。
「嘘、私、王子の婚約者?」
しかも何かゲームの世界???
私の『宝物』と同じ世界???
平民のヒロインに甘い事を囁いて、公爵令嬢との婚約を破棄する王子?
なにその非常識な設定の世界。ゲームじゃないのよ?
それが認められる国、大丈夫なの?
この王子様、何を言っても聞く耳持ちゃしません。
こんなクソ王子、ざまぁして良いですよね?
性格も、口も、決して良いとは言えない社会人女性が乙女ゲームの世界に転生した。
乙女ゲーム?なにそれ美味しいの?そんな人が……
ご都合主義です。
転生もの、初挑戦した作品です。
温かい目で見守っていただければ幸いです。
本編97話・乙女ゲーム部15話
※R15は、ざまぁの為の保険です。
※他サイトでも公開してます。
※なろうに移行した作品ですが、R18指定され、非公開措置とされました(笑)
それに伴い、作品を引き下げる事にしたので、こちらに移行します。
昔の作品でかなり拙いですが、それでも宜しければお読みください。
※感想は、全て読ませていただきますが、なにしろ昔の作品ですので、基本返信はいたしませんので、ご了承ください。
記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。
ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。
毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。
公爵令嬢エイプリルは嘘がお嫌い〜断罪を告げてきた王太子様の嘘を暴いて差し上げましょう〜
星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「公爵令嬢エイプリル・カコクセナイト、今日をもって婚約は破棄、魔女裁判の刑に処す!」
「ふっ……わたくし、嘘は嫌いですの。虚言症の馬鹿な異母妹と、婚約者のクズに振り回される毎日で気が狂いそうだったのは事実ですが。それも今日でおしまい、エイプリル・フールの嘘は午前中まで……」
公爵令嬢エイプリル・カコセクナイトは、新年度の初日に行われたパーティーで婚約者のフェナス王太子から断罪を言い渡される。迫り来る魔女裁判に恐怖で震えているのかと思われていたエイプリルだったが、フェナス王太子こそが嘘をついているとパーティー会場で告発し始めた。
* エイプリルフールを題材にした作品です。更新期間は2023年04月01日・02日の二日間を予定しております。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
手のひら返しが凄すぎて引くんですけど
マルローネ
恋愛
男爵令嬢のエリナは侯爵令息のクラウドに婚約破棄をされてしまった。
地位が低すぎるというのがその理由だったのだ。
悲しみに暮れたエリナは新しい恋に生きることを誓った。
新しい相手も見つかった時、侯爵令息のクラウドが急に手のひらを返し始める。
その理由はエリナの父親の地位が急に上がったのが原因だったのだが……。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる