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第三章

61話

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 レイナとは、真剣に忌憚なくしっかりと話しました。
 誤解の余地がないように、率直に話しました。
 その結論は、レイナもおかしいと言う事です。
 ルークのような特別な力はありませんが、考え方が普通の貴族令嬢とは全く違っているのです。

 異常な動物好きで、動物に執着しています。
 ですから、自分がルークに変化させられるのも望むところだと言うのです。
 全然全くついて行けませんが、一つはっきりしている事がありません。
 そんな事を本当にやってしまったら、ルークの評判がまた最悪の状態になってしまうと言う事です。

「レイナ嬢が本気なのは分かりました。
 ですが最初に話したように、私の一存では決められません。
 ルークに話を聞かなければいけませんし、レイナ嬢の家族はもちろん、国王陛下にも話を聞かねばなりません。
 レイナ嬢が本気であればこそ、私やルークだけで決める事はできません。
 本国に連絡してもいいですか?
 嫌ならこの話は聞かなかったことにします」

「分かりました。
 私から国王陛下と父母に手紙を送り、許可を求めます。
 そうしたら、女王陛下はルーク殿下に話をしてくださいますか?」

「先程も言ったように、この話はルークに聞かねば返事ができない大切な事です。
 必ずルークに話をしましょう。
 女王として約束します」

「有難き幸せでございます」

 本当に疲れました。
 精神的に疲れました。
 普段使われることのない謁見願でしたから、多少は覚悟していました。
 それでも、こんなに疲れる話になるとは想像もしていませんでした。

 私は覚悟を決めて、ルークを呼び出しました。
 ルークから沢山の魔道具が渡されていますから、どれほど離れた場所にいても、直ぐに話しができます。

 どれほど遠くにいても、転移魔法で直ぐに戻って来てくれます。
 私が話がしたいと連絡すると、連絡の魔道具を通じて話すだけは満足できないのでしょう。
 どれほど遠くにいても、どれほど重要な話をしていても、相手を放り出して転移魔法で帰ってきてくれます。
 ルークにとっては、私との雑談以上に大切なモノは存在しないようです。

「とっても大事な話ってなぁに、お姉ちゃん。
 別に大事な話でなくても、お姉ちゃんがお話してくれるのなら、一日中だってお話しするよ」

 私は正直に全てを話しました。
 ですが、ルークにはレイナの異常性が理解できないようです。
 好きな動物がいて、それに変化してみたいというのは、ルークにとっては普通の欲求のようです。
 
 ですが、異常性は理解できなくても、私の御願は直ぐに実行してくれました。
 レイナの父母兄妹、国王やその周辺の権力者がレイナに圧力をかけ、無理難題を押し付けた事で、レイナが狂ってしまったのではないかとい、私の心配を。
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