7 / 63
第一章
ローガン王視点
しおりを挟む
不味いぞ。
非常に不味いぞ。
このままでは国が滅ぶ。
下手をすれば、トーレス王国は蛙や豚の国になってしまう。
どこの馬鹿だ、ルークが人は殺さないと言ったのは!
「ダニエル!
お前はルークが人を殺さないと言ったな!
オリビアを人質にすれば、ルークを操れると言ったな!
魔術士組合の精鋭に連携させたら、オリビアを人質にできると言ったな!
全て嘘ではないか!」
全部ダニエルが悪いのだ。
ナオミの色香に迷い、オリビアと婚約破棄するために、ガルシア公爵家を潰そうとしたことが、愚かな判断だったのだ。
余は知らなかった。
そうだ、余の知らないうちに、ダニエルが勝手にやった事だ。
「俺ではない。
ナオミだ!
全部ナオミが考えたのだ。
俺の責任ではない。
ナオミを処分してくれ!」
何と愚かな奴だ!
オリビアの前であれほどの大言壮語をしておいて、今更言い訳が通じるはずがないだろうが。
やはりダニエルは次の王の器ではないな。
ダニエルを切ってディランに王位を継がそう。
「私ではありません。
全部殿下がお考えになった事なのです。
私は殿下のご指示に従っただけなのです。
臣下でしかない私が、殿下に指図などできません。
どうか賢明な判断をお願いいたします」
今度は余を誑かす心算か?
確かに強烈な色香だ。
若いダニエルが籠絡されるのも当然だろう。
だが命を捨てるほどの魅力ではない。
どれほどの女でも、命に勝る事などない。
「黙れ。
この女を地下牢に放り込んでおけ。
オリビア嬢に詫びを入れるには、この女を差し出すしかあるまい。
だから絶対逃がすのではないぞ。
殺してもいかんぞ」
「父上。
分かってくれたか。
みんなあの女が悪いのだ!」
愚か者が!
全部こやつが悪いのだ!
だが今直ぐ処分はできん。
仮にも王太子だったのだ。
忠誠を尽くす者はいなくても、馬鹿を傀儡にして、王国を支配しようとする者がいるかもしれない。
それとベネット王国だ。
今回の件に、グレイソン王の策謀があったのは間違いない。
奴がこの後どう動くかだ。
狡猾なグレイソン王なら、ルークが死ぬか、オリビアを人質にして動きを封じるかするまでは、ネイサンとエリアスを殺すような馬鹿な真似はしないだろう。
ルークなら、ネイサンとエリアスを殺しても報復などしないだろう。
だがそんな事をすれば、オリビアを怒らすことになる。
オリビアが怒り哀しめば、ルークが大暴れする。
今までは人を殺さなかったが、今回はいとも簡単に殺した。
ルークに殺人の禁忌などなかったのだ。
恐ろしい事だ!
とにかくルークなのだ。
ルークさえ手に入れば、世界の帝王になるのも夢ではないのだ!
ルークを動かせるのはオリビアだけなのだ。
どうすればルークを手駒にできるか考えねばならん!
非常に不味いぞ。
このままでは国が滅ぶ。
下手をすれば、トーレス王国は蛙や豚の国になってしまう。
どこの馬鹿だ、ルークが人は殺さないと言ったのは!
「ダニエル!
お前はルークが人を殺さないと言ったな!
オリビアを人質にすれば、ルークを操れると言ったな!
魔術士組合の精鋭に連携させたら、オリビアを人質にできると言ったな!
全て嘘ではないか!」
全部ダニエルが悪いのだ。
ナオミの色香に迷い、オリビアと婚約破棄するために、ガルシア公爵家を潰そうとしたことが、愚かな判断だったのだ。
余は知らなかった。
そうだ、余の知らないうちに、ダニエルが勝手にやった事だ。
「俺ではない。
ナオミだ!
全部ナオミが考えたのだ。
俺の責任ではない。
ナオミを処分してくれ!」
何と愚かな奴だ!
オリビアの前であれほどの大言壮語をしておいて、今更言い訳が通じるはずがないだろうが。
やはりダニエルは次の王の器ではないな。
ダニエルを切ってディランに王位を継がそう。
「私ではありません。
全部殿下がお考えになった事なのです。
私は殿下のご指示に従っただけなのです。
臣下でしかない私が、殿下に指図などできません。
どうか賢明な判断をお願いいたします」
今度は余を誑かす心算か?
確かに強烈な色香だ。
若いダニエルが籠絡されるのも当然だろう。
だが命を捨てるほどの魅力ではない。
どれほどの女でも、命に勝る事などない。
「黙れ。
この女を地下牢に放り込んでおけ。
オリビア嬢に詫びを入れるには、この女を差し出すしかあるまい。
だから絶対逃がすのではないぞ。
殺してもいかんぞ」
「父上。
分かってくれたか。
みんなあの女が悪いのだ!」
愚か者が!
全部こやつが悪いのだ!
だが今直ぐ処分はできん。
仮にも王太子だったのだ。
忠誠を尽くす者はいなくても、馬鹿を傀儡にして、王国を支配しようとする者がいるかもしれない。
それとベネット王国だ。
今回の件に、グレイソン王の策謀があったのは間違いない。
奴がこの後どう動くかだ。
狡猾なグレイソン王なら、ルークが死ぬか、オリビアを人質にして動きを封じるかするまでは、ネイサンとエリアスを殺すような馬鹿な真似はしないだろう。
ルークなら、ネイサンとエリアスを殺しても報復などしないだろう。
だがそんな事をすれば、オリビアを怒らすことになる。
オリビアが怒り哀しめば、ルークが大暴れする。
今までは人を殺さなかったが、今回はいとも簡単に殺した。
ルークに殺人の禁忌などなかったのだ。
恐ろしい事だ!
とにかくルークなのだ。
ルークさえ手に入れば、世界の帝王になるのも夢ではないのだ!
ルークを動かせるのはオリビアだけなのだ。
どうすればルークを手駒にできるか考えねばならん!
0
お気に入りに追加
2,385
あなたにおすすめの小説
「距離を置こう」と言われた氷鉄令嬢は、本当は溺愛されている
ミズメ
恋愛
感情表現が乏しいせいで""氷鉄令嬢""と呼ばれている侯爵令嬢のフェリシアは、婚約者のアーサー殿下に唐突に距離を置くことを告げられる。
これは婚約破棄の危機――そう思ったフェリシアは色々と自分磨きに励むけれど、なぜだか上手くいかない。
とある夜会で、アーサーの隣に見知らぬ金髪の令嬢がいたという話を聞いてしまって……!?
重すぎる愛が故に婚約者に接近することができないアーサーと、なんとしても距離を縮めたいフェリシアの接近禁止の婚約騒動。
○カクヨム、小説家になろうさまにも掲載/全部書き終えてます
M〜転生に憧れたドMの隷属転生物語
インディにぃあん
ファンタジー
ドMの成り上がりです!
ひょんな事で自殺した主人公.......
念願の異世界転生!
転生先で奴隷に!?
ドMの幸せ異世界チート魔術師ライフ♪
条件付きチート『吸収』でのんびり冒険者ライフ!
ヒビキ タクト
ファンタジー
旧題:異世界転生 ~条件付きスキル・スキル吸収を駆使し、冒険者から成り上がれ~
平凡な人生にガンと宣告された男が異世界に転生する。異世界神により特典(条件付きスキルと便利なスキル)をもらい異世界アダムスに転生し、子爵家の三男が冒険者となり成り上がるお話。 スキルや魔法を駆使し、奴隷や従魔と一緒に楽しく過ごしていく。そこには困難も…。 従魔ハクのモフモフは見所。週に4~5話は更新していきたいと思いますので、是非楽しく読んでいただければ幸いです♪ 異世界小説を沢山読んできた中で自分だったらこうしたいと言う作品にしております。
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
【完結】苦しく身を焦がす思いの果て
猫石
恋愛
アルフレッド王太子殿下の正妃として3年。
私達は政略結婚という垣根を越え、仲睦まじく暮らしてきたつもりだった。
しかし彼は王太子であるがため、側妃が迎え入れられることになった。
愛しているのは私だけ。
そう言ってくださる殿下の愛を疑ったことはない。
けれど、私の心は……。
★作者の息抜き作品です。
★ゆる・ふわ設定ですので気楽にお読みください。
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様にも公開しています。
国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
この国では一つだけ問題があった。それはこの国の者の結婚率が低下している、ということ。結婚率の低下、それはすなわち出生率の低下にもつながる。優秀な魔導士や騎士の遺伝子を受け継ぐ子が途絶えてしまうのだ。それを問題視した国王が、相性のいい男女のカップルを作り出すという政策を掲げた。
その政策によって、相性率95パーセントという高い数値をはじき出した護衛騎士であるフローラと魔導士団副団長のクリスのカップル。二人は、なんとなくお付き合いを始めるのだが、相性率95パーセントという数値は伊達ではなかった。それは、もういろいろと。クリスによってその身体の内を暴かれたフローラは、封じられていた魔力も解放されていく――。
※しっかりR描写入ります。
※執筆済作品(13万字程度)なので、がんがん(活動時間内6:00~21:30に3時間毎)更新されます。ご自分のペースでお読みください。
婚約破棄されて異世界トリップしたけど猫に囲まれてスローライフ満喫しています
葉柚
ファンタジー
婚約者の二股により婚約破棄をされた33才の真由は、突如異世界に飛ばされた。
そこはど田舎だった。
住む家と土地と可愛い3匹の猫をもらった真由は、猫たちに囲まれてストレスフリーなスローライフ生活を送る日常を送ることになった。
レコンティーニ王国は猫に優しい国です。
小説家になろう様にも掲載してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる