7 / 56
第1章
4話
しおりを挟む
「高須松平家長男、松平中務大輔義恕。
隠居した徳川斉荘の養子となり尾張徳川家を継ぐべし。
尾張徳川家を継ぐにあたり、諱を与える。
以後慶恕と名乗るがよい」
「ありがたき幸せでございます」
高須松平家長男・松平中務大輔義恕は、幕府によって強制的に隠居させられた徳川斉荘の跡を継ぎ、尾張徳川家十三代藩主となった。
同時に徳川慶恕は北方警備の役目を与えられ、蝦夷地を運営を任された。
高須松平家次男・松平武成は当主が早世した石見国浜田藩六万千石を継承した。
以前から出雲国広瀬藩三万石当主・松平直諒と密貿易を行っていた徳川慶恕だが、将軍徳川家慶の許可を受けた事で、大々的に長崎から清国蘭国・対馬から朝鮮国清国、蝦夷地から清国露国の貿易を大々的行った。
紀州徳川家と八代将軍争いを行い、徳川吉宗が将軍を継承してからは、将軍家と敵対し、今では紀州系の将軍家周辺から後継者を押し付けられる尾張徳川家だ。
それでも、御三家筆頭は伊達ではない。
将軍徳川家慶の後押しがあれば、たいがいの無理は通る。
高須松平家三万石と広瀬松平家三万石と越中富山の薬売りだけで、六千両近い売り上げがったのだ。
それに浜田松平家六万千石、尾張徳川家六十一万九千余国が加わり、尾張徳川家が直接蝦夷地を統治する形で、積極的に交易が可能になった。
今迄のようにアイヌを抑圧する形ではなく、十分な代価を与え、清国や南蛮が求める商品を狩ってもらう事が可能になったのだ。
しかもアイヌが求める米は、日本国内から集めるのではなく、貿易の利益で清国や朝鮮から購入できるのだ。
尾張徳川家と仲間達の利益は莫大なものになりそうだった。
源之助改め徳川慶恕が兄弟で話し合い試算した結果では、五百万両の利益を上げられる計算だった。
特に重要だったのが、同じように密貿易で力をつけている、薩摩藩と佐賀藩への対処方法だった。
特に薩摩藩の力を抑えることが急務だった。
薩摩藩は年間収入が十三万両程度なのに対して、一時は五百万両もの借金があり、利息の返済だけで八十万両を超えていた。
それを調所広郷が改革し、ここ十年間は黒糖利益だけで二百三十万両もの利益を出し、二百万両以上の蓄えを持っていると、富山の薬売り達が教えてくれた。
そこで蝦夷の商品で得た利益で黒糖を購入し、それを日本国内で販売して利益を得るとともに、薩摩藩の利益を減らそうと考えていた。
そしてそれは順調に進んだのだが、また新たな重要情報を富山の薬売り達、富山衆が集めてきてくれた。
「新たに加えられた輸出品と輸入品」
繰り綿:百斤で十八両。
白蝋 :
黒糖 :
隠居した徳川斉荘の養子となり尾張徳川家を継ぐべし。
尾張徳川家を継ぐにあたり、諱を与える。
以後慶恕と名乗るがよい」
「ありがたき幸せでございます」
高須松平家長男・松平中務大輔義恕は、幕府によって強制的に隠居させられた徳川斉荘の跡を継ぎ、尾張徳川家十三代藩主となった。
同時に徳川慶恕は北方警備の役目を与えられ、蝦夷地を運営を任された。
高須松平家次男・松平武成は当主が早世した石見国浜田藩六万千石を継承した。
以前から出雲国広瀬藩三万石当主・松平直諒と密貿易を行っていた徳川慶恕だが、将軍徳川家慶の許可を受けた事で、大々的に長崎から清国蘭国・対馬から朝鮮国清国、蝦夷地から清国露国の貿易を大々的行った。
紀州徳川家と八代将軍争いを行い、徳川吉宗が将軍を継承してからは、将軍家と敵対し、今では紀州系の将軍家周辺から後継者を押し付けられる尾張徳川家だ。
それでも、御三家筆頭は伊達ではない。
将軍徳川家慶の後押しがあれば、たいがいの無理は通る。
高須松平家三万石と広瀬松平家三万石と越中富山の薬売りだけで、六千両近い売り上げがったのだ。
それに浜田松平家六万千石、尾張徳川家六十一万九千余国が加わり、尾張徳川家が直接蝦夷地を統治する形で、積極的に交易が可能になった。
今迄のようにアイヌを抑圧する形ではなく、十分な代価を与え、清国や南蛮が求める商品を狩ってもらう事が可能になったのだ。
しかもアイヌが求める米は、日本国内から集めるのではなく、貿易の利益で清国や朝鮮から購入できるのだ。
尾張徳川家と仲間達の利益は莫大なものになりそうだった。
源之助改め徳川慶恕が兄弟で話し合い試算した結果では、五百万両の利益を上げられる計算だった。
特に重要だったのが、同じように密貿易で力をつけている、薩摩藩と佐賀藩への対処方法だった。
特に薩摩藩の力を抑えることが急務だった。
薩摩藩は年間収入が十三万両程度なのに対して、一時は五百万両もの借金があり、利息の返済だけで八十万両を超えていた。
それを調所広郷が改革し、ここ十年間は黒糖利益だけで二百三十万両もの利益を出し、二百万両以上の蓄えを持っていると、富山の薬売り達が教えてくれた。
そこで蝦夷の商品で得た利益で黒糖を購入し、それを日本国内で販売して利益を得るとともに、薩摩藩の利益を減らそうと考えていた。
そしてそれは順調に進んだのだが、また新たな重要情報を富山の薬売り達、富山衆が集めてきてくれた。
「新たに加えられた輸出品と輸入品」
繰り綿:百斤で十八両。
白蝋 :
黒糖 :
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
三賢人の日本史
高鉢 健太
歴史・時代
とある世界線の日本の歴史。
その日本は首都は京都、政庁は江戸。幕末を迎えた日本は幕府が勝利し、中央集権化に成功する。薩摩?長州?負け組ですね。
なぜそうなったのだろうか。
※小説家になろうで掲載した作品です。
姫様、江戸を斬る 黒猫玉の御家騒動記
あこや(亜胡夜カイ)
歴史・時代
旧題:黒猫・玉、江戸を駆ける。~美弥姫初恋顛末~
つやつやの毛並みと緑の目がご自慢の黒猫・玉の飼い主は大名家の美弥姫様。この姫様、見目麗しいのにとんだはねかえりで新陰流・免許皆伝の腕前を誇る変わり者。その姫様が恋をしたらしい。もうすぐお輿入れだというのに。──男装の美弥姫が江戸の町を徘徊中、出会った二人の若侍、律と若。二人のお家騒動に自ら首を突っ込んだ姫の身に危険が迫る。そして初恋の行方は──
花のお江戸で美猫と姫様が大活躍!外題は~みやひめはつこいのてんまつ~
第6回歴史・時代小説大賞で大賞を頂きました!皆さまよりの応援、お励ましに心より御礼申し上げます。
有難うございました。
~お知らせ~現在、書籍化進行中でございます。21/9/16をもちまして、非公開とさせて頂きます。書籍化に関わる詳細は、以降近況ボードでご報告予定です。どうぞよろしくお願い致します。
父(とと)さん 母(かか)さん 求めたし
佐倉 蘭
歴史・時代
★第10回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
ある日、丑丸(うしまる)の父親が流行病でこの世を去った。
貧乏裏店(長屋)暮らしゆえ、家守(大家)のツケでなんとか弔いを終えたと思いきや……
脱藩浪人だった父親が江戸に出てきてから知り合い夫婦(めおと)となった母親が、裏店の連中がなけなしの金を叩いて出し合った線香代(香典)をすべて持って夜逃げした。
齢八つにして丑丸はたった一人、無一文で残された——
※「今宵は遣らずの雨」 「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
信忠 ~“奇妙”と呼ばれた男~
佐倉伸哉
歴史・時代
その男は、幼名を“奇妙丸”という。人の名前につけるような単語ではないが、名付けた父親が父親だけに仕方がないと思われた。
父親の名前は、織田信長。その男の名は――織田信忠。
稀代の英邁を父に持ち、その父から『天下の儀も御与奪なさるべき旨』と認められた。しかし、彼は父と同じ日に命を落としてしまう。
明智勢が本能寺に殺到し、信忠は京から脱出する事も可能だった。それなのに、どうして彼はそれを選ばなかったのか? その決断の裏には、彼の辿って来た道が関係していた――。
◇この作品は『小説家になろう(https://ncode.syosetu.com/n9394ie/)』『カクヨム(https://kakuyomu.jp/works/16818093085367901420)』でも同時掲載しています◇
仇討浪人と座頭梅一
克全
歴史・時代
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。
旗本の大道寺長十郎直賢は主君の仇を討つために、役目を辞して犯人につながる情報を集めていた。盗賊桜小僧こと梅一は、目が見えるのに盗みの技の為に盲人といして育てられたが、悪人が許せずに暗殺者との二足の草鞋を履いていた。そんな二人が出会う事で将軍家の陰謀が暴かれることになる。
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
日本が危機に?第二次日露戦争
杏
歴史・時代
2023年2月24日ロシアのウクライナ侵攻の開始から一年たった。その日ロシアの極東地域で大きな動きがあった。それはロシア海軍太平洋艦隊が黒海艦隊の援助のために主力を引き連れてウラジオストクを離れた。それと同時に日本とアメリカを牽制する為にロシアは3つの種類の新しい極超音速ミサイルの発射実験を行った。そこで事故が起きた。それはこの事故によって発生した戦争の物語である。ただし3発も間違えた方向に飛ぶのは故意だと思われた。実際には事故だったがそもそも飛ばす場所をセッティングした将校は日本に向けて飛ばすようにセッティングをわざとしていた。これは太平洋艦隊の司令官の命令だ。司令官は黒海艦隊を支援するのが不服でこれを企んだのだ。ただ実際に戦争をするとは考えていなかったし過激な思想を持っていた為普通に海の上を進んでいた。
なろう、カクヨムでも連載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる