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第4章 二人の愛で招かれざる客を撃退せよ
第25話
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「大変大変! たいへーん!」
翌々日。
ルティの元に、レイルが見たこともないくらいの勢いで走ってやってきた。
目を覚ましたばかりだったルティは、突然の騒ぎに飛び起きる。
「ど、ど、どうしたんですかレイルさん!?」
「ルティ嬢、すぐさま支度を! フェルナンド準公爵様が来てるんだ!」
「フェルナンド?」
「オーウェンの叔父さんだよ! 監査の!」
「えっ!? だって、来るのは五日後のはずじゃ……!?」
「気まぐれなんだよあの人! とにかく、今はオーウェンが対応しているから早く早く!」
ルティはボーノを抱きかかえると、部屋を出て廊下を走った。
急にたたき起こされたボーノが、腕の中でぶふぶぶ文句を言っている。
「ごめんボーノ。でもあなたも起きて、お仕度しなくっちゃ」
「ああもう、どうしてこういう時にメルはお休みなんだよ!?」
今日は家族の誕生日ということで、ルティはメルに休暇を取るように伝えたばかりだ。そのため、五日は戻ってこない。
「メルがいなくてもフェルナンド公爵の襲来を乗り切りましょう! 私たちならきっと大丈夫です」
支度を終えたルティが応接室に向かうと、大きな声が扉の向こうから聞こえてきていた。
「あの声の主が、フェルナンド様だよ。ルティ嬢、いつも以上に気をつけて!」
「もちろんです」
ルティはコンコンとドアノックを打った。
オーウェンの返答を待って入室すると、ふわりと甘い香水の香りが鼻に届いた。オーウェンがすぐに入り口まで来て、ルティの手を取った。
「失礼いたします。ルティ・コルボールと申します」
丁寧にあいさつを済ませたところで、フェルナンドは軽やかに立ち上がってルティの近くに来た。甘い匂いが漂ってくる。
「これはこれはお噂はかねがねお聞きしておりますよ、コルボール伯爵令嬢殿」
青みがかった髪はオーウェンと同じ色味だ。柔和な印象のグレーの瞳が笑顔の形になる。
優しそうな笑顔のあと、ルティの手を取るとスマートに手の甲に挨拶の口づけする。
瞬間、オーウェンが横でものすごく嫌そうな顔をしたのが見えた。
「ルティさん、早くに来てしまって驚かせたね。首都までの道で崖崩れがあって、迂回しなくてはいけなくてね。早めに出たらこんな時間についてしまったんだ」
ルティは崖崩れという単語に肩を震わせた。
「ああ、そういえば君のご両親も……失礼。配慮が足りなかったね」
「いつまでわたしの恋人の手を握ってるんですか。座ってください」
オーウェンは冷たい口調で、フェルナンドの手からルティの手をやや強引につかんで握りしめる。
青ざめてしまったルティを、オーウェンはすぐさまソファに座らせた。
「さて。恋人である二人そろったところだし、監査の内容を話そうか」
フェルナンドは着座すると、ニコッと微笑む。ルティは明らかに出鼻をくじかれてしまっていた。
「まず、議会での誓約は『愛しあっている恋人と生活をともにし、パーティーに一緒に参加する』だったね」
フェルナンドはもったいぶったように顎を撫でながら話し始める。
「それをお前は実行中とのことだが……『コルボール伯爵令嬢には問題がある』という噂が聞こえてきたので、わたしが来訪したわけだ」
ゆっくり言い聞かせるようにフェルナンドはオーウェンを見つめた。柔らかい口調や笑顔は崩していないが、目が笑っていないように思えてルティは背筋がぞくっとする。
「根も葉もない噂ですよ」
すかさずオーウェンが言い返すが、フェルナンドは「そうだな」と余裕の笑みだ。
「金目当てでお前に取り入ったかもしれないから、慎重に調査するようにと命じられている。公爵家の家柄に傷をつけるわけにはいかないからね」
ルティは冷や汗をかき始めていた。そんなルティとは反対に、オーウェンは毅然とした態度を崩さなかった。
フェルナンドはしばらくすると、ニコッと口の端を持ち上げる。
「金目的でオーウェンと手を組んだとか、妻の地位を狙っているしたたかな女性だとか言われているが、わたしは一切信じていない」
てっきり噂についていろいろ言われると思っていたのに、フェルナンドはバッサリ切って捨てた。
しかし彼は、妙にこちらの心を揺さぶるような言いかたをしてくる。それがとても居心地を悪くさせた。
「愛しい甥っ子であるオーウェンが否定しているんだから、そんなのはすべて嫉妬から生まれたやっかみの噂にすぎないだろう」
フェルナンドの口元に浮かぶ笑みから、彼が本当にそう思っているわけではないのが読み取れる。
「だったらわざわざ監査に来なくてもいいはずだ」
「いや、必要だと思ったから来たんだよ」
オーウェンはイラついたように吐き捨てるが、フェルナンドは引かなかった。
彼はオーウェンよりは小柄だが、しっかり上背もある。話しかたや雰囲気に貫禄がある分、フェルナンドの圧力はすごかった。
「……わたしが疑問視しているのはそこじゃない。オーウェンが本当にルティさんを『愛しているかどうか』だよ」
大仰な仕草で言うと、彼は背もたれにどっかりと身体を預けた。
「ルティさんに金銭問題があろうが爵位が低かろうが構わない。大事なのはここ」
フェルナンドは自身の胸を指し示す。
「気持ちがきちんと通じ合っている『恋人』かどうかが、今回の監査の目的だ」
「……気持ちは目に見えない。評価のしようもないだろう」
オーウェンのそれに、フェルナンドはクスッと笑う。
「一般的な常識を基準とする。たとえば、食事の時間は一緒か、出かける頻度は適切か、きちんと女性をエスコートしているかどうか」
黙って聞いていたオーウェンは苛立ちを強くした。
「そういう行いの端々から、オーウェンにルティさんを想う気持ちがあるかどうか、しっかり見させてもらうとするよ」
「バカらしい。わたしが彼女のことを愛しているのは周知の事実だ」
「それを確かめるために来たんだ」
オーウェンはもういいだろうと立ち上がる。
「そんなに疑っているのなら、みんなに聞くといい」
「滞在期間中の七日間、使用人たちに聞いてみるさ。わたしはバルコニーのあるゲストルームを使わせてもらうよ。広くて開放的だし、気に入っているんだ」
ルティはそれを聞いて肝を冷やした。そこは今現在、ルティが使っている場所だ。オーウェンは不機嫌の極みという顔をしながら口を開く。
「部屋のクリーニングをする間、朝食を食べてゆっくり首都観光にでも行ってくれ」
「おや、まさかゲストルームには先客がいたのかな?」
オーウェンは苛立ちを隠すように一つ息を吐いた。
「急な来客に準備ができていないだけだ。そもそも約束の日付を守らずに、勝手に来るそちらが悪い」
「それは謝るけど……まさか、ルティさんが使っているわけじゃあるまいな?」
図星を言われてしまい、ルティは内心ギクッとする。フェルナンドは口の端をニヤリと持ち上げた。
「誓約には屋敷で生活をともにすると書いてある……これは『愛しあっている恋人』と同室で過ごすことだとわたしは思っていたんだけれど。そうじゃないとすると、減点対象だなぁ」
完全に挑発だった。
オーウェンはフェルナンドの意図に気づいている様子だ。ルティはオーウェンの袖をぎゅっと握った。
「…………食事のおかわりは自由だ。吐くほどたくさん食べていい」
「わかったよ。ありがとうオーウェン。あ! それから」
まだあるのかと、オーウェンは煩わしそうに振り返る。
「君がルティさんに触れているところが見られたら、わたしとしては一発合格だよ」
彼の声は、喉元に突き立てたナイフのようだ。オーウェンはそれをかわす。
「そうか。ならば節穴と呼ばれないよう、あんたはよく目を凝らしておくことだな」
オーウェンに手を引かれて、ルティは慌ててお辞儀をする。
「またね、ルティさん」
ニコッと笑ったフェルナンドの目は、底知れない光を宿しているようだった。
翌々日。
ルティの元に、レイルが見たこともないくらいの勢いで走ってやってきた。
目を覚ましたばかりだったルティは、突然の騒ぎに飛び起きる。
「ど、ど、どうしたんですかレイルさん!?」
「ルティ嬢、すぐさま支度を! フェルナンド準公爵様が来てるんだ!」
「フェルナンド?」
「オーウェンの叔父さんだよ! 監査の!」
「えっ!? だって、来るのは五日後のはずじゃ……!?」
「気まぐれなんだよあの人! とにかく、今はオーウェンが対応しているから早く早く!」
ルティはボーノを抱きかかえると、部屋を出て廊下を走った。
急にたたき起こされたボーノが、腕の中でぶふぶぶ文句を言っている。
「ごめんボーノ。でもあなたも起きて、お仕度しなくっちゃ」
「ああもう、どうしてこういう時にメルはお休みなんだよ!?」
今日は家族の誕生日ということで、ルティはメルに休暇を取るように伝えたばかりだ。そのため、五日は戻ってこない。
「メルがいなくてもフェルナンド公爵の襲来を乗り切りましょう! 私たちならきっと大丈夫です」
支度を終えたルティが応接室に向かうと、大きな声が扉の向こうから聞こえてきていた。
「あの声の主が、フェルナンド様だよ。ルティ嬢、いつも以上に気をつけて!」
「もちろんです」
ルティはコンコンとドアノックを打った。
オーウェンの返答を待って入室すると、ふわりと甘い香水の香りが鼻に届いた。オーウェンがすぐに入り口まで来て、ルティの手を取った。
「失礼いたします。ルティ・コルボールと申します」
丁寧にあいさつを済ませたところで、フェルナンドは軽やかに立ち上がってルティの近くに来た。甘い匂いが漂ってくる。
「これはこれはお噂はかねがねお聞きしておりますよ、コルボール伯爵令嬢殿」
青みがかった髪はオーウェンと同じ色味だ。柔和な印象のグレーの瞳が笑顔の形になる。
優しそうな笑顔のあと、ルティの手を取るとスマートに手の甲に挨拶の口づけする。
瞬間、オーウェンが横でものすごく嫌そうな顔をしたのが見えた。
「ルティさん、早くに来てしまって驚かせたね。首都までの道で崖崩れがあって、迂回しなくてはいけなくてね。早めに出たらこんな時間についてしまったんだ」
ルティは崖崩れという単語に肩を震わせた。
「ああ、そういえば君のご両親も……失礼。配慮が足りなかったね」
「いつまでわたしの恋人の手を握ってるんですか。座ってください」
オーウェンは冷たい口調で、フェルナンドの手からルティの手をやや強引につかんで握りしめる。
青ざめてしまったルティを、オーウェンはすぐさまソファに座らせた。
「さて。恋人である二人そろったところだし、監査の内容を話そうか」
フェルナンドは着座すると、ニコッと微笑む。ルティは明らかに出鼻をくじかれてしまっていた。
「まず、議会での誓約は『愛しあっている恋人と生活をともにし、パーティーに一緒に参加する』だったね」
フェルナンドはもったいぶったように顎を撫でながら話し始める。
「それをお前は実行中とのことだが……『コルボール伯爵令嬢には問題がある』という噂が聞こえてきたので、わたしが来訪したわけだ」
ゆっくり言い聞かせるようにフェルナンドはオーウェンを見つめた。柔らかい口調や笑顔は崩していないが、目が笑っていないように思えてルティは背筋がぞくっとする。
「根も葉もない噂ですよ」
すかさずオーウェンが言い返すが、フェルナンドは「そうだな」と余裕の笑みだ。
「金目当てでお前に取り入ったかもしれないから、慎重に調査するようにと命じられている。公爵家の家柄に傷をつけるわけにはいかないからね」
ルティは冷や汗をかき始めていた。そんなルティとは反対に、オーウェンは毅然とした態度を崩さなかった。
フェルナンドはしばらくすると、ニコッと口の端を持ち上げる。
「金目的でオーウェンと手を組んだとか、妻の地位を狙っているしたたかな女性だとか言われているが、わたしは一切信じていない」
てっきり噂についていろいろ言われると思っていたのに、フェルナンドはバッサリ切って捨てた。
しかし彼は、妙にこちらの心を揺さぶるような言いかたをしてくる。それがとても居心地を悪くさせた。
「愛しい甥っ子であるオーウェンが否定しているんだから、そんなのはすべて嫉妬から生まれたやっかみの噂にすぎないだろう」
フェルナンドの口元に浮かぶ笑みから、彼が本当にそう思っているわけではないのが読み取れる。
「だったらわざわざ監査に来なくてもいいはずだ」
「いや、必要だと思ったから来たんだよ」
オーウェンはイラついたように吐き捨てるが、フェルナンドは引かなかった。
彼はオーウェンよりは小柄だが、しっかり上背もある。話しかたや雰囲気に貫禄がある分、フェルナンドの圧力はすごかった。
「……わたしが疑問視しているのはそこじゃない。オーウェンが本当にルティさんを『愛しているかどうか』だよ」
大仰な仕草で言うと、彼は背もたれにどっかりと身体を預けた。
「ルティさんに金銭問題があろうが爵位が低かろうが構わない。大事なのはここ」
フェルナンドは自身の胸を指し示す。
「気持ちがきちんと通じ合っている『恋人』かどうかが、今回の監査の目的だ」
「……気持ちは目に見えない。評価のしようもないだろう」
オーウェンのそれに、フェルナンドはクスッと笑う。
「一般的な常識を基準とする。たとえば、食事の時間は一緒か、出かける頻度は適切か、きちんと女性をエスコートしているかどうか」
黙って聞いていたオーウェンは苛立ちを強くした。
「そういう行いの端々から、オーウェンにルティさんを想う気持ちがあるかどうか、しっかり見させてもらうとするよ」
「バカらしい。わたしが彼女のことを愛しているのは周知の事実だ」
「それを確かめるために来たんだ」
オーウェンはもういいだろうと立ち上がる。
「そんなに疑っているのなら、みんなに聞くといい」
「滞在期間中の七日間、使用人たちに聞いてみるさ。わたしはバルコニーのあるゲストルームを使わせてもらうよ。広くて開放的だし、気に入っているんだ」
ルティはそれを聞いて肝を冷やした。そこは今現在、ルティが使っている場所だ。オーウェンは不機嫌の極みという顔をしながら口を開く。
「部屋のクリーニングをする間、朝食を食べてゆっくり首都観光にでも行ってくれ」
「おや、まさかゲストルームには先客がいたのかな?」
オーウェンは苛立ちを隠すように一つ息を吐いた。
「急な来客に準備ができていないだけだ。そもそも約束の日付を守らずに、勝手に来るそちらが悪い」
「それは謝るけど……まさか、ルティさんが使っているわけじゃあるまいな?」
図星を言われてしまい、ルティは内心ギクッとする。フェルナンドは口の端をニヤリと持ち上げた。
「誓約には屋敷で生活をともにすると書いてある……これは『愛しあっている恋人』と同室で過ごすことだとわたしは思っていたんだけれど。そうじゃないとすると、減点対象だなぁ」
完全に挑発だった。
オーウェンはフェルナンドの意図に気づいている様子だ。ルティはオーウェンの袖をぎゅっと握った。
「…………食事のおかわりは自由だ。吐くほどたくさん食べていい」
「わかったよ。ありがとうオーウェン。あ! それから」
まだあるのかと、オーウェンは煩わしそうに振り返る。
「君がルティさんに触れているところが見られたら、わたしとしては一発合格だよ」
彼の声は、喉元に突き立てたナイフのようだ。オーウェンはそれをかわす。
「そうか。ならば節穴と呼ばれないよう、あんたはよく目を凝らしておくことだな」
オーウェンに手を引かれて、ルティは慌ててお辞儀をする。
「またね、ルティさん」
ニコッと笑ったフェルナンドの目は、底知れない光を宿しているようだった。
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