長年のスレ違い

scarlet

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第三章

3人の気持ち

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綺月と仮で1週間だけ付き合うことになったけど、いつもより綺月と話せるようになれた。

今まで、昼ご飯とか一緒に食べなかったり、
放課後は家が近いのに別々に帰って、
メールとかも用事がなければしていなかった。

だから、より近くにいる存在に感じられてきた。

綺月とこのまま付き合ってもいい……
かもしれないと、心の中ではどこか少し思っている。

けど、藍と約束したことが頭の中から……離れない。
俺はもう、藍を裏切ってしまってる。

今から綺月と別ればいい事なのかもしれないけど、そんな事が出来なくて………
どっちにしろ、藍と綺月……両方を裏切ってる。

藍はきっと、俺に対する思いなんて失くなってる。
そんな中言えるはずがない。
俺の気づいた自分の「気持ち」を。

でも、でも。もし、藍がまだ待ってくれてたら……
その時は幸せになれるかもしれない。

だったら、綺月はどうする?
今まで誰よりも近くにいたはずなのに、
長い時間いたはずなのに、
綺月の事を分かっていたつもりだったのに、
気づいてあげられなかった。

俺に対する「気持ち」を。

だったら、綺月を……って、さっきからそればっかり考えてる。
あと、もう少しの間に考えないといけないのに……
「答え」が見つからずにいる。

ふと教室の窓から廊下をそっと見てると、そこには俺を見ている藍の姿が。
目があった瞬間、目を無理やり逸らされて、

「藍!?」

おまけに、俺が藍って呼んだのに……反応すらなかった。やっぱり、藍に嫌われてるんだろうな……



「……弘大。あの、話いい?」

俺が頷くと、綺月は俺を屋上まで連れてきた。

「もしかして、弘大……私に遠慮してるの?」

何かどこか不安げな顔をしながら綺月は言う。

「……弘大、私と付き合ってから変だよ。ほんと……自分では気づいていないかもしれないけど」

俺が、変?いつも通りに話しているつもり……なのにな。綺月を心配させるぐらい俺は、どこか変だったんだ。

「ご、ごめ…」

「弘大!私と別れて」

───────────────────────

もう、勝負に出ないといけない。
本当はこのまま弘大を苦しめる中で付き合って、私を選んでくれるまで、待っても良かった。
けど、弘大を苦しめてまで付き合いたくはない!

「弘大はもう、自分の気持ちに気づいてるんじゃないの?……私、嫌だよ。弘大が苦しんでるのを見ると」

「な、なんだよ気持ちって」

弘大は私が急にふったことで、混乱している様子だ。

「それが分かってほしいから言ったの!………花火大会、私か宮坂さん。どっちか選んで」

弘大がどっちかが好きとか、よく分かんないよ。
宮坂さんを好きなのかもしれない。
それか、私を好きでいてくれてるのかもしれない。

「弘大、自分の気持ちに正直になって」

けど、確かめない限りには気持ちは分からないよ。

「私は花火がよく見える浜辺の海岸に。宮坂さんは屋台が並んでる神社にいるから。だから、花火が打ち上がる前にどっちか選んで、その場所に向かって……弘大は私を選んでくれるって、信じてるから」

そう言い残して、私は屋上から弘大を残して出た。

───────────────────────

どっちかを選べって言われても……
もう、藍は俺のこと、嫌いなわけ……なんだから……

「先輩!」

俺が後ろをふり返ると、そこにはさっきまで目を逸らされていた藍の姿が。

藍から話しかけられるなんて思ってもいなかった。
しかも、弘大から先輩呼びに変わってる。

いつの間に、屋上に入ってきたのか………

「花火大会の事…………あれ、2人とも本気です」

言葉だけじゃなくて、表情を見てれば伝わってきた。………藍は俺の事、嫌いじゃなかったんだな。

「先輩に気持ちを伝えたから……先輩も、正直な気持ちになって、伝えてほしいです」

その言葉に真剣さが伝わってきて、

「私、先輩のこと信じてます。結果がどうあれ、先輩が……私か夜白先輩に気持ちを伝えていることを。自分の気持ちに気づけていることを」

俺も早く、「答え」を見つけないといけないなと、自分がしなければいけないことがよく分かった。

「だから、自分を信じてください!……もし、先輩の気持ちの先は……わ、私じゃなくても……そっちの方に、絶対行ってよね。じゃないと、私……区切りがつかないから」

声が震えているのが分かる。それぐらい、俺を綺月に取られたくないんだよな……

「本当の事を伝えてください。2人に」

「分かった」

俺はどっちを好きなのかとかよく分からない。
でも、「答え」を出さないといけないんだよな。
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