長年のスレ違い

scarlet

文字の大きさ
上 下
6 / 35
第一章

新しい目標

しおりを挟む
「葵依、今日も話しかけるの?」

「う、うん。今考えてみたら、美香ちゃんと仲良くしてるってことは、いい人じゃないかって思って」

美香ちゃんの周りにはいい人ばかり集まっている。
その中でも、男子の中で特に仲のいい杉戸尾くん。
だから、周りの人よりもいい人なんじゃないかって思った。

最初の印象だけで、勝手に性格まで決めつけたくない。掃除の時に助けてくれた時の事、絶対に忘れない。

放課後の廊下にたくさん人が居る中で、杉戸尾くんの後ろ姿をなんとか見つけることが出来た。

でも、グッと手にいつも入らない変な力が入って、足は何故か動こうとしないけど……変わりたい。

「杉戸尾くん!」

声がはっきりと耳元に届いたのか、ふり返ってくれた。

てばも、反射的に杉戸尾くんに声をかけただけで、何を話すとか…そんな話題を全く考えていなかった……

「何?」

いつもみたいに睨まれてはいないけど、とてつもなく迫力があった。
思わず後ろに下がってしまいそうになるが、何とかこらえながらも杉戸尾くんを見た。

で、でも、こんなところで負けてられない!と、ぎゅっと拳を握りしめ、はっきりと前向いた。

「バスケって楽しい?」

って、そんなこと聞いてどうするの?
部活でバスケをしてるんだから、楽しいって思ってるに決まってるのに。

言った後に後悔してしまっていた。
考えてからにすれば良かった。
唐突に思いついたことを言っていたから。

それに、美香ちゃんがこの前言っていた。
杉戸尾くんは誰よりもバスケが好きだって。
ボールを持っている杉戸尾くんの目は輝いているんだって。

「それ聞いてどうする?」

それを言われて、何とも言い返せそうになかった。
いつもこのパターンだ。
何か話しかけても、無視されるかかわされるか。

「用がないんだったら、俺に話しかけなるな」

気迫が強くて、もう何も言えそうにない…

最初っから、私なんかが杉戸尾くんに話しかけるなんて、迷惑だったのかな?

杉戸尾くんは女子嫌いだって知ってるのに、私は無理やり話しかけようとしている。
気持ちも知らずに…

だけど、美香ちゃんが普通に話せてるんだから、私にもそれが出来るはず!多分だけど。

少し逆戻りをしてしまっていたけど、再びスタートラインに立った気分だった。

どんな反応をされても、大切な人だって思えるように、これからも杉戸尾くんに話しかけよう。

「葵依が零夜に話しかける?」

「話してみたいって思って。でも、無視されてばっかりだから何とも言えないんだけど……」

無視されてばかりの頃を思い出すと、なんか可笑しい。

いまだに成果は出せていないけど、少しずつ着実に杉戸尾くんに近づけている気がする。

今日は少し話すことができたから。
でも、最初は断られたけどね。だんだんと話す嬉しさを感じ始めた。

「頑張れよ。葵依のそーゆう風に頑張れるところ」

ゆっくりと私の髪の毛を翼くんがさらりと触れた。

顔が赤くなっているに違いない。
鼓動が異常にトクントクン高鳴っている。

「好きだから」

ートクン

そうやって、サラリと「好き」とか言うなんて、期待してしまうからやめてほしいけど、嬉しい。

普通にあんなこと言えないよ?
小さい頃だったら分かるけど、今は中学生だよ?

でも、やっぱり私は翼くんのことが好き。

近くに居ると自然と安心出来る存在。
でも、ある意味安心しないけどね。

「あ、ありがと…」

こんなにも翼くんに応援してもらったんだから、頑張らないと!
杉戸尾に明日も話しかけよう、無視をされても何回も話しかけよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

君の浮気にはエロいお仕置きで済ませてあげるよ

サドラ
恋愛
浮気された主人公。主人公の彼女は学校の先輩と浮気したのだ。許せない主人公は、彼女にお仕置きすることを思いつく。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

美少女幼馴染が火照って喘いでいる

サドラ
恋愛
高校生の主人公。ある日、風でも引いてそうな幼馴染の姿を見るがその後、彼女の家から変な喘ぎ声が聞こえてくるー

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?

ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。 しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。 しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…

処理中です...