26 / 56
第2章~ヴァルキリーを連れ出せ~
乙女は心を閉ざしてしまったようです
しおりを挟む
俺はレティを探して、水面の上を歩いていく。一歩踏み出すたびに、水面には円ができ、全体に広がっていく。
ポチャン。どこかで音がして、俺が作ったのとは違う水の紋様が広がった。その中心に向かうと、一人の少女がうつろな目で上を向いていた。さっき紋は彼女の目からこぼれたものなのだろう。その目は涙で光っていた。
近づくに連れて、彼女の回りで揺れる影があることに気がついた。人のようななそれには、ひとつひとつにはっきりと顔がある。ハヤテ、タケヤそれからマヤ。嫌というほど見てきて、嫌というほど見たくなくなっている顔だ。彼らはレティに囁きかける。必死に耳を塞いでいるのも無視して。
「あいつは来ない。逃げたんだ」
「そう、貴方は捨てられたのよ」
「俺の女になれ」
すっと耳に入ってきたのは、おぞましい言葉の数々だった。ふざけるな。俺はそんなことをしない。
影を掻き分けようと手をのばすと、別の影に阻まれる。見覚えのある小太りな顔はホリだ。
4人共凍っていたはずだ。なぜレティの心の奥底にいる。
こんなことが出来るのは闇魔法、それも、俺の知る限り一人しかいない。深い闇の眠りに紛れ込んだ彼女がいるはずだ。
「第2の契約者セイラ…あーもうめんどくせえ、出てこいセイラ!」
「……おはよう」
「うおっ!?」
真後ろに突然現れたセイラに、思わず飛び退いた。いつものように眠そうで、いつもの何倍も疲れている様だ。
「……失礼な反応」
「悪い悪い。まさかこんなにちかくにいると思わなくて。それでこの事態を引き起こしたのはお前だな」
「……そうだけどそうじゃない」
何とも歯切れが悪い。早く会話を終わらせて寝ようとするセイラには珍しいことだ。
「どういうことだ?」
「……魔法は私の。発動させたのはブリュンヒルデの意志」
イマイチ要領を得ない。
他人の魔法を発動させることなんて出来るのか?
首を捻っていると、水面に穴が空き、鎧のヴァルキリーが姿を現した。
「ラガナっ!?まさかセイラの魔法を発動させたのか!?」
「ノー、私には無理です」
ラガナはそれだけ答えると、水のなかに戻っていく。いったい何をしに来たんだ?
「お姉激おこぷんぷん丸みたいだし」
「人間は触れてはいけないところに触れてしまったわね」
聞きなれた声に振り向くと、カレンとアンナがいた。ノリはいつもと変わらないのに、二人は震えながら抱き合っている。
「こんなところで何をしているんだ?」
「ウチらが聞きたいし」
「そうよ、こんなところにいたら凍えてしまうじゃない」
不満げな2人からは何も聞き出せない。分かったことといえば、自らの意志で来たのではないことで、逃げるようにして水のなかに姿を消していった。
「相変わらず迷惑なことをしてくれるね、ブリュンヒルデは」
「メルロ!!」
やっとまともに話をできそうな相手がやってきた。彼女ならば何かを知っているはずだ。
「どうしてこんなことになっているんだ?」
「僕は契約のせいだと思っているよ。どうだろうか、セイラ」
メルロにも確証はないようで、最終ジャッジは魔法の持ち主に委ねられた。
「……そう。ヤマトを通して、私たちはつながっている」
「つながるとどうなるんだ?」
「そうだね。お互いの喜怒哀楽程度なら分かるかな……おっと、僕は時間切れだ。後のことは任せたよ、セイラ」
メルロは控えめに手を振ると、姿は水の中に消えていった。
残されたのは俺とセイラの二人だけだ。
「セイラ、喜怒哀楽以外に共有している情報はあるのか?俺がいつ会いに行ったとか」
「……ない」
よかった。二人きりの会話なんて聞かれようものなら、恥ずかしくて溶けてしまいそうだ。
「……だけどヤマトが誰のところにいるのかは分かる」
「それまたなんで」
セイラの口は開きかけて、すぐに閉じてしまった。それから俺をじっと見つめると、ふーっと息を吐きだした。
「……喜と楽が強くなるから」
喜と楽。どちらも嬉しい時の感情だ。
そんなものでどうしてわかるんだ?
「……ヴァルキリーにはプラスの感情は存在しない……本来は」
「そんなことはないだろ。いつもみんな笑っているじゃないか」
セイラがいつも笑っているかと言えばそうではないが、気持ちよさそうな寝顔からはプラスの感情しか感じない。
他のヴァルキリーだって、表現こそ違えど、普通の人間と変わらない。むしろ、喜怒哀楽がはっきりしすぎているぐらいだ。
「……ヤマトがいるから」
「俺は何もしてないだろ」
「……してる」
契約、加護。その力の恩恵を、この世界に来た時から受け続けてきた。クランの支社という、狭い場所に閉じ込めてしまった自覚もあった。
だから俺は、出来ることは何でもして、恩返しをしたいと思っていた。
「……ヴァルキリーに加護を受けた冒険者は二度と会いには来ない」
前にも聞いた気がする。だってそれはメリットがないからだ。思わぬことで怒りをかって、加護を消されてはたまらない。
「……ヤマトは違う」
「それは……」
「ほかのどんな人間よりも私たちと言葉を交わした。それが私たちの『喜』と『楽』」
俺が知る限り、セイラ一の長文だった。
「…私たち一人一人はヤマトと強く結びついた」
「なんか意味深に聞こえるな」
「んー」と、セイラは首を傾げた。ああ、うん。意味が分かってないならそれでいいや。
「レティには俺がセイラと二日連続で会ったことも、会いに行くのが最後になったことも分かっているんだな?」
「……多分」
「レティは俺に怒っているのか?」
「……ない。ヤマトは裏切らない。それは私たちもわかっている。当然ブリュンヒルデも」
セイラ一の長文が更新された。
「……分かっていても、モヤモヤすることはある。だけど私たちは抑えなくてはいけない」
「ヴァルキリーだからか?」
「……そう」
力の根源は感情だ。アンナが支社を火の海にしたのが分かりやすいが、怒りが強まれば悲惨な結果が呼び、時として天災にもなる。
俺比ではまだ実害は出ていないが、この氷漬けの城や人だって、長く続けば死人が出る。
「どうやったらレティを救い出せる?」
「……思っていることを伝えて」
「そんなことでいいのか?」
「……それがいい」
なんだかわからんが、会って話してくればいいらしい。簡単……ではないが、頑張ってみるか。
ポチャン。どこかで音がして、俺が作ったのとは違う水の紋様が広がった。その中心に向かうと、一人の少女がうつろな目で上を向いていた。さっき紋は彼女の目からこぼれたものなのだろう。その目は涙で光っていた。
近づくに連れて、彼女の回りで揺れる影があることに気がついた。人のようななそれには、ひとつひとつにはっきりと顔がある。ハヤテ、タケヤそれからマヤ。嫌というほど見てきて、嫌というほど見たくなくなっている顔だ。彼らはレティに囁きかける。必死に耳を塞いでいるのも無視して。
「あいつは来ない。逃げたんだ」
「そう、貴方は捨てられたのよ」
「俺の女になれ」
すっと耳に入ってきたのは、おぞましい言葉の数々だった。ふざけるな。俺はそんなことをしない。
影を掻き分けようと手をのばすと、別の影に阻まれる。見覚えのある小太りな顔はホリだ。
4人共凍っていたはずだ。なぜレティの心の奥底にいる。
こんなことが出来るのは闇魔法、それも、俺の知る限り一人しかいない。深い闇の眠りに紛れ込んだ彼女がいるはずだ。
「第2の契約者セイラ…あーもうめんどくせえ、出てこいセイラ!」
「……おはよう」
「うおっ!?」
真後ろに突然現れたセイラに、思わず飛び退いた。いつものように眠そうで、いつもの何倍も疲れている様だ。
「……失礼な反応」
「悪い悪い。まさかこんなにちかくにいると思わなくて。それでこの事態を引き起こしたのはお前だな」
「……そうだけどそうじゃない」
何とも歯切れが悪い。早く会話を終わらせて寝ようとするセイラには珍しいことだ。
「どういうことだ?」
「……魔法は私の。発動させたのはブリュンヒルデの意志」
イマイチ要領を得ない。
他人の魔法を発動させることなんて出来るのか?
首を捻っていると、水面に穴が空き、鎧のヴァルキリーが姿を現した。
「ラガナっ!?まさかセイラの魔法を発動させたのか!?」
「ノー、私には無理です」
ラガナはそれだけ答えると、水のなかに戻っていく。いったい何をしに来たんだ?
「お姉激おこぷんぷん丸みたいだし」
「人間は触れてはいけないところに触れてしまったわね」
聞きなれた声に振り向くと、カレンとアンナがいた。ノリはいつもと変わらないのに、二人は震えながら抱き合っている。
「こんなところで何をしているんだ?」
「ウチらが聞きたいし」
「そうよ、こんなところにいたら凍えてしまうじゃない」
不満げな2人からは何も聞き出せない。分かったことといえば、自らの意志で来たのではないことで、逃げるようにして水のなかに姿を消していった。
「相変わらず迷惑なことをしてくれるね、ブリュンヒルデは」
「メルロ!!」
やっとまともに話をできそうな相手がやってきた。彼女ならば何かを知っているはずだ。
「どうしてこんなことになっているんだ?」
「僕は契約のせいだと思っているよ。どうだろうか、セイラ」
メルロにも確証はないようで、最終ジャッジは魔法の持ち主に委ねられた。
「……そう。ヤマトを通して、私たちはつながっている」
「つながるとどうなるんだ?」
「そうだね。お互いの喜怒哀楽程度なら分かるかな……おっと、僕は時間切れだ。後のことは任せたよ、セイラ」
メルロは控えめに手を振ると、姿は水の中に消えていった。
残されたのは俺とセイラの二人だけだ。
「セイラ、喜怒哀楽以外に共有している情報はあるのか?俺がいつ会いに行ったとか」
「……ない」
よかった。二人きりの会話なんて聞かれようものなら、恥ずかしくて溶けてしまいそうだ。
「……だけどヤマトが誰のところにいるのかは分かる」
「それまたなんで」
セイラの口は開きかけて、すぐに閉じてしまった。それから俺をじっと見つめると、ふーっと息を吐きだした。
「……喜と楽が強くなるから」
喜と楽。どちらも嬉しい時の感情だ。
そんなものでどうしてわかるんだ?
「……ヴァルキリーにはプラスの感情は存在しない……本来は」
「そんなことはないだろ。いつもみんな笑っているじゃないか」
セイラがいつも笑っているかと言えばそうではないが、気持ちよさそうな寝顔からはプラスの感情しか感じない。
他のヴァルキリーだって、表現こそ違えど、普通の人間と変わらない。むしろ、喜怒哀楽がはっきりしすぎているぐらいだ。
「……ヤマトがいるから」
「俺は何もしてないだろ」
「……してる」
契約、加護。その力の恩恵を、この世界に来た時から受け続けてきた。クランの支社という、狭い場所に閉じ込めてしまった自覚もあった。
だから俺は、出来ることは何でもして、恩返しをしたいと思っていた。
「……ヴァルキリーに加護を受けた冒険者は二度と会いには来ない」
前にも聞いた気がする。だってそれはメリットがないからだ。思わぬことで怒りをかって、加護を消されてはたまらない。
「……ヤマトは違う」
「それは……」
「ほかのどんな人間よりも私たちと言葉を交わした。それが私たちの『喜』と『楽』」
俺が知る限り、セイラ一の長文だった。
「…私たち一人一人はヤマトと強く結びついた」
「なんか意味深に聞こえるな」
「んー」と、セイラは首を傾げた。ああ、うん。意味が分かってないならそれでいいや。
「レティには俺がセイラと二日連続で会ったことも、会いに行くのが最後になったことも分かっているんだな?」
「……多分」
「レティは俺に怒っているのか?」
「……ない。ヤマトは裏切らない。それは私たちもわかっている。当然ブリュンヒルデも」
セイラ一の長文が更新された。
「……分かっていても、モヤモヤすることはある。だけど私たちは抑えなくてはいけない」
「ヴァルキリーだからか?」
「……そう」
力の根源は感情だ。アンナが支社を火の海にしたのが分かりやすいが、怒りが強まれば悲惨な結果が呼び、時として天災にもなる。
俺比ではまだ実害は出ていないが、この氷漬けの城や人だって、長く続けば死人が出る。
「どうやったらレティを救い出せる?」
「……思っていることを伝えて」
「そんなことでいいのか?」
「……それがいい」
なんだかわからんが、会って話してくればいいらしい。簡単……ではないが、頑張ってみるか。
1
お気に入りに追加
148
あなたにおすすめの小説
突然現れた自称聖女によって、私の人生が狂わされ、婚約破棄され、追放処分されたと思っていましたが、今世だけではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
デュドネという国に生まれたフェリシア・アルマニャックは、公爵家の長女であり、かつて世界を救ったとされる異世界から召喚された聖女の直系の子孫だが、彼女の生まれ育った国では、聖女のことをよく思っていない人たちばかりとなっていて、フェリシア自身も誰にそう教わったわけでもないのに聖女を毛嫌いしていた。
だが、彼女の幼なじみは頑なに聖女を信じていて悪く思うことすら、自分の側にいる時はしないでくれと言う子息で、病弱な彼の側にいる時だけは、その約束をフェリシアは守り続けた。
そんな彼が、隣国に行ってしまうことになり、フェリシアの心の拠り所は、婚約者だけとなったのだが、そこに自称聖女が現れたことでおかしなことになっていくとは思いもしなかった。
今世ではあなたと結婚なんてお断りです!
水川サキ
恋愛
私は夫に殺された。
正確には、夫とその愛人である私の親友に。
夫である王太子殿下に剣で身体を貫かれ、死んだと思ったら1年前に戻っていた。
もう二度とあんな目に遭いたくない。
今度はあなたと結婚なんて、絶対にしませんから。
あなたの人生なんて知ったことではないけれど、
破滅するまで見守ってさしあげますわ!
どうせ結末は変わらないのだと開き直ってみましたら
風見ゆうみ
恋愛
「もう、無理です!」
伯爵令嬢である私、アンナ・ディストリーは屋根裏部屋で叫びました。
男の子がほしかったのに生まれたのが私だったという理由で家族から嫌われていた私は、密かに好きな人だった伯爵令息であるエイン様の元に嫁いだその日に、エイン様と実の姉のミルーナに殺されてしまいます。
それからはなぜか、殺されては子どもの頃に巻き戻るを繰り返し、今回で11回目の人生です。
何をやっても同じ結末なら抗うことはやめて、開き直って生きていきましょう。
そう考えた私は、姉の機嫌を損ねないように目立たずに生きていくことをやめ、学園生活を楽しむことに。
学期末のテストで1位になったことで、姉の怒りを買ってしまい、なんと婚約を解消させられることに!
これで死なずにすむのでは!?
ウキウキしていた私の前に元婚約者のエイン様が現れ――
あなたへの愛情なんてとっくに消え去っているんですが?
私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。
彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。
それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。
そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。
公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。
そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。
「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」
こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。
彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。
同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
王宮勤めにも色々ありまして
あとさん♪
恋愛
スカーレット・フォン・ファルケは王太子の婚約者の専属護衛の近衛騎士だ。
そんな彼女の元婚約者が、園遊会で見知らぬ女性に絡んでる·····?
おいおい、と思っていたら彼女の護衛対象である公爵令嬢が自らあの馬鹿野郎に近づいて·····
危険です!私の後ろに!
·····あ、あれぇ?
※シャティエル王国シリーズ2作目!
※拙作『相互理解は難しい(略)』の2人が出ます。
※小説家になろうにも投稿しております。
寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!
ユウ
恋愛
エリーゼは、王妃になる予定だった。
故郷を失い後ろ盾を失くし代わりに王妃として選ばれたのは後から妃候補となった侯爵令嬢だった。
聖女の資格を持ち国に貢献した暁に正妃となりエリーゼは側妃となったが夜の渡りもなく周りから冷遇される日々を送っていた。
日陰の日々を送る中、婚約者であり唯一の理解者にも忘れされる中。
長らく魔物の侵略を受けていた東の大陸を取り戻したことでとある騎士に妃を下賜することとなったのだが、選ばれたのはエリーゼだった。
下賜される相手は冷たく人をよせつけず、猛毒を持つ薔薇の貴公子と呼ばれる男だった。
用済みになったエリーゼは殺されるのかと思ったが…
「私は貴女以外に妻を持つ気はない」
愛されることはないと思っていたのに何故か甘い言葉に甘い笑顔を向けられてしまう。
その頃、すべてを手に入れた側妃から正妃となった聖女に不幸が訪れるのだった。
銀河皇帝のいない八月
沙月Q
SF
女子高生が銀河皇帝に?
一夏の宇宙冒険を描く青春スペースオペラ。
宇宙を支配する銀河帝国が地球に襲来。
軍団を率いる銀河皇帝は堅固なシールドに守られていたが、何故か弓道部員の女子高生、遠藤アサトが放った一本の矢により射殺いころされてしまう。
しかも〈法典〉の定めによってアサトが皇位継承者たる権利を得たことで帝国は騒然となる。
皇帝を守る〈メタトルーパー〉の少年ネープと共に、即位のため銀河帝国へ向かったアサトは、皇帝一族の本拠地である惑星〈鏡夢カガム〉に辿り着く。
そこにはアサトの即位を阻まんとする皇帝の姉、レディ・ユリイラが待ち受けていた。
果たしてアサトは銀河皇帝の座に着くことが出来るのか?
そして、全ての鍵を握る謎の鉱物生命体〈星百合スター・リリィ〉とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる