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第2章~ヴァルキリーを連れ出せ~
いよいよ因縁の相手との直接対決です
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「この火災の原因はアンタね。許さないわ!」
どの口が言うんだよ…。どう考えても部屋に勝手に押しかけてアンナを怒らせたのが原因じゃねえか。
「さすがマヤ様。犯人は現場に戻るとはお見事です!」
取り巻きまでアホだったー!?それもそうか、まともな奴がいたら俺は追放なんてされてないか。
「何か言い残すことはあるかしら?一応聞いておいてあげるわ。右から左にね」
「聞くつもりねえじゃないか…そもそもなんもないけど」
「そう、じゃあ死になさい!」
殺人予告を合図に、魔術師一行は呪文を唱え始める。
「炎よ、巨大な紅蓮の業火となりて、焼き払え」
連携魔法だ。全員の魔力を一つにして、大きな炎を作り出している。
そういえば俺たちはまだクランの魔法陣の上にいたな。
「アンナ、その魔法陣に力を供給しなくていいぞ」
「あ、そうなんだ」
あっさりと答えると、地面の魔法陣から光が失わていく。それに呼応するように、大きな炎もしぼんでいく。
「なにをしているの!?」
マヤはただただ叫ぶ。火魔法の加護が失われたことにも気が付かず。
その間にも炎は小さくなっていき、空気中ではじけて消えていき、おとりまき様達は肩で息をしながら膝をついた。
「帰っていいか?」
「まだよ!まだ私たちは負けてはいない…闇よ、帳を下ろし、かの者の命を食らえ!」
闇魔法、シャドウイート。対象の魔力を奪い、時には命の危機にさえ陥らせる精神魔法だ。
だが残念。俺にはラガナから与えられた鈍感、精神魔法への耐性がある。
「さあ、苦しみなさい!」
「うわー、やられたー」
可愛そうなので、両手をあげて前に倒れてみた。大根役者なんてレベルじゃない。小学生でももっとましな演技をしそうだ。
「さすがですマヤ様!」
「素晴らしいですマヤ様!」
嘘だろ!?とりまきは歓声を上げると、元気を取り戻し、立ち上がった。
これにはアンナも呆れている。
「ふっふふ、私は最強なのよ!さあ、ひれ伏せ!泣いて罪を償いなさい!」
腰に手を当てると、高笑いを始める。うーん……小者臭が半端ないな。
一応これでも巨大クランレッドラグーンで二番目に偉いんだけどな。
「飽きたんだけど」
アンナに言われて俺も立ち上がる。うん、飽きたな。
「帰るか……」
「そうね」
立ち去ろうとすると、叫び声がした。
「ちょっと、何勝手に立ち上がってんのよ!土下座なさい!」
「断る」
俺は野球盤ゲームで負けたわけ覚えはない。再戦を申し込んでくるのならばアンナの方からだ。
「ちょっと君たち、遅くないかい?」
瓦礫の上を歩いてきたのは、外で待機していたはずのユミネだった。それもあろうことか、マヤ達側からやってきて、あ、囲まれた。
「彼女はご友人かしら?じゃあこうなったらどうする?」
マヤはナイフを取り出すと、あろうことかユミネの首元に突き付けた。
「最悪だな」
「そうでしょ、そうでしょ、さあ、土下座なさい!」
なぜそこまで土下座に拘るのだろうか。相変わらず高笑いを続けているが、自分の身の心配をした方がいいのではないだろうか?
「君、誰に向かってそのような態度をとっているんだい?」
ユミネはご立腹だ。あまり不機嫌になることはないんだけど、庭園の時から怒ってばかりだ。今日一日で、過去に見た怒りの総量をすでに越えているんじゃなかろうか。
「あら、ご自分の立場が分かっていないようで?」
「ヤマト、バーニングでいいよ」
あ、うん。死んだわ、マヤが。
「ねえ、私の部屋に入ってきたのはアンタの仲間よね?」
「そうね。だったら何かしら?」
「バーニング!!」
マヤが燃えた。一瞬で全身が炎に包まれ、装備が服が燃えていく。
「うがああああああああああああああああああああああああああああああ」
執念からか、燃えながらもユミネを解放する様子はない。必死にナイフで首を切ろうと手を動かすが、頼みの刃物は灰になっている。
「まったく、グリムゲルデに頼んだ覚えはないんだがな。さすがに少し熱いよ」
「これでも手加減してあげてるんだから」
全身から発火するマヤを前にして、ユミネは平然としてる。髪の先が少し焦げはしたが、見たところ無傷だ。
「あまり暴力は好きじゃないんだが、さすがにムカついたよね」
ユミネは頭一個分ぐらいある瓦礫を拾うと、マヤの頭に打ちつけた。
うわぁ…考えるだけでいたいぞそりゃ。
当然マヤが耐えられるはずもなく、気絶した。体中から焦げた臭いと煙を出している。
素っ裸ではあるが、色気もなんもない。とりまきも終始見ていたが、恐怖のあまり声をだすことも出来ずにいる。
「帰るか……」
意図せずとして第2支社を制圧した俺の名は、一瞬でギルドに広まることになった。反逆者として。
どの口が言うんだよ…。どう考えても部屋に勝手に押しかけてアンナを怒らせたのが原因じゃねえか。
「さすがマヤ様。犯人は現場に戻るとはお見事です!」
取り巻きまでアホだったー!?それもそうか、まともな奴がいたら俺は追放なんてされてないか。
「何か言い残すことはあるかしら?一応聞いておいてあげるわ。右から左にね」
「聞くつもりねえじゃないか…そもそもなんもないけど」
「そう、じゃあ死になさい!」
殺人予告を合図に、魔術師一行は呪文を唱え始める。
「炎よ、巨大な紅蓮の業火となりて、焼き払え」
連携魔法だ。全員の魔力を一つにして、大きな炎を作り出している。
そういえば俺たちはまだクランの魔法陣の上にいたな。
「アンナ、その魔法陣に力を供給しなくていいぞ」
「あ、そうなんだ」
あっさりと答えると、地面の魔法陣から光が失わていく。それに呼応するように、大きな炎もしぼんでいく。
「なにをしているの!?」
マヤはただただ叫ぶ。火魔法の加護が失われたことにも気が付かず。
その間にも炎は小さくなっていき、空気中ではじけて消えていき、おとりまき様達は肩で息をしながら膝をついた。
「帰っていいか?」
「まだよ!まだ私たちは負けてはいない…闇よ、帳を下ろし、かの者の命を食らえ!」
闇魔法、シャドウイート。対象の魔力を奪い、時には命の危機にさえ陥らせる精神魔法だ。
だが残念。俺にはラガナから与えられた鈍感、精神魔法への耐性がある。
「さあ、苦しみなさい!」
「うわー、やられたー」
可愛そうなので、両手をあげて前に倒れてみた。大根役者なんてレベルじゃない。小学生でももっとましな演技をしそうだ。
「さすがですマヤ様!」
「素晴らしいですマヤ様!」
嘘だろ!?とりまきは歓声を上げると、元気を取り戻し、立ち上がった。
これにはアンナも呆れている。
「ふっふふ、私は最強なのよ!さあ、ひれ伏せ!泣いて罪を償いなさい!」
腰に手を当てると、高笑いを始める。うーん……小者臭が半端ないな。
一応これでも巨大クランレッドラグーンで二番目に偉いんだけどな。
「飽きたんだけど」
アンナに言われて俺も立ち上がる。うん、飽きたな。
「帰るか……」
「そうね」
立ち去ろうとすると、叫び声がした。
「ちょっと、何勝手に立ち上がってんのよ!土下座なさい!」
「断る」
俺は野球盤ゲームで負けたわけ覚えはない。再戦を申し込んでくるのならばアンナの方からだ。
「ちょっと君たち、遅くないかい?」
瓦礫の上を歩いてきたのは、外で待機していたはずのユミネだった。それもあろうことか、マヤ達側からやってきて、あ、囲まれた。
「彼女はご友人かしら?じゃあこうなったらどうする?」
マヤはナイフを取り出すと、あろうことかユミネの首元に突き付けた。
「最悪だな」
「そうでしょ、そうでしょ、さあ、土下座なさい!」
なぜそこまで土下座に拘るのだろうか。相変わらず高笑いを続けているが、自分の身の心配をした方がいいのではないだろうか?
「君、誰に向かってそのような態度をとっているんだい?」
ユミネはご立腹だ。あまり不機嫌になることはないんだけど、庭園の時から怒ってばかりだ。今日一日で、過去に見た怒りの総量をすでに越えているんじゃなかろうか。
「あら、ご自分の立場が分かっていないようで?」
「ヤマト、バーニングでいいよ」
あ、うん。死んだわ、マヤが。
「ねえ、私の部屋に入ってきたのはアンタの仲間よね?」
「そうね。だったら何かしら?」
「バーニング!!」
マヤが燃えた。一瞬で全身が炎に包まれ、装備が服が燃えていく。
「うがああああああああああああああああああああああああああああああ」
執念からか、燃えながらもユミネを解放する様子はない。必死にナイフで首を切ろうと手を動かすが、頼みの刃物は灰になっている。
「まったく、グリムゲルデに頼んだ覚えはないんだがな。さすがに少し熱いよ」
「これでも手加減してあげてるんだから」
全身から発火するマヤを前にして、ユミネは平然としてる。髪の先が少し焦げはしたが、見たところ無傷だ。
「あまり暴力は好きじゃないんだが、さすがにムカついたよね」
ユミネは頭一個分ぐらいある瓦礫を拾うと、マヤの頭に打ちつけた。
うわぁ…考えるだけでいたいぞそりゃ。
当然マヤが耐えられるはずもなく、気絶した。体中から焦げた臭いと煙を出している。
素っ裸ではあるが、色気もなんもない。とりまきも終始見ていたが、恐怖のあまり声をだすことも出来ずにいる。
「帰るか……」
意図せずとして第2支社を制圧した俺の名は、一瞬でギルドに広まることになった。反逆者として。
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