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白の勇者のパーティ

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「それでリリアのところに泊まるのはなしとして、俺はどこに泊まったらいいんだ?」

 俺としては野宿でもいいのだが、リリアが許してくれるとは思えない。
 寝ているところを無理やり部屋に連れ込まれても不思議じゃない。

「悲しいことに俺は一文無しでな」
「嘘だろっ」

 おどけてみせると、リリアの前の壁ボーラが振り返った。。

「本当だ。金の管理は全部任せていたから、手持ちはない。なんなら追い出された時にアイテムすら持たせてもらえなかったよ」
「嘘…だろ…」

 ボーラは両手を広げたままで固まった。
 リリアはその横をすり抜けると、俺の腕にくっついてくる。

「リリア、彼の話は本当かい?」
「ええ、ここまでの旅費はすべて私持ちよ」
 
 改めて言われると申し訳なくなってくる。
 村で戦った時も、報酬はゼロだったし、何かお礼をしたほうがいいんじゃないだろうか。

「君は赤のパーティでどんな扱いを受けていたんだよ…」

 赤のパーティ。これは赤の勇者のパーティの略称であると同時に、蔑んだ意味もあった。
 本来は略すことは許されず、当人たちが聞いたらブチギレものだ。

「他のメンバーが一人一部屋でVIPルームに泊まったなら、俺は雑魚寝部屋に泊まった。他のメンバーが高級ステーキを食べたなら、俺は豆腐のハンバーグを食べていたな。あれ?俺の扱いひどくね?」
「気づいていなかったのかい…それにその装備。赤の三人は真っ赤な鎧と武器だったと記憶しているが」
「そうだな。俺だけが一般兵装だ。あ、もしかしてそれでパーティの四人目として認知されていないのか?」
「否定は出来ないな」

 今更ながら、とんでもないことに気がついてしまった。
 別に目立ちたかったわけではないが、それにしても仲間はずれが酷すぎる。

「ひとまず、宿はこちらで手配しよう」
「私の部屋でいいわよ?」
「却下だ。あとあと面倒なことになっても困る」
「仕方ないわね。一緒にクエストに行けるならそれでいいわ」

 思ったよりもあっさりと引き下がったリリアは、上機嫌に俺を見つめている。

「それじゃあひとまず、よろしく」

 セシルに手を差し出すと、手だけでなく、全身をじっと見つめられた。やたら舐め回すようで、軽く寒気を感じた。

「握手はやめておこう。いい手だ、我慢できなくなるかもしれない」
「そ、そうか?」

 意味がよく分からないが、拒否されているわけではなさそうなので頷いておく。
 もしや、噂は本当なのだろうか?

 リリアというアイドル的な存在がいながら、女1人に対して、男3人でパーティが崩壊しない理由。
 それは、白の勇者は男でありながら、男が好きだということだ。

「さて、どうだろうね」

 意味深に笑うと、舌なめずりをした。
 いやいや、わざとだよな?

 ボーラは固まったままだったので、サクマに目で助けを求める。

 だめだ、こいつはこいつで体をよじらせて、気持ち悪い動きをしている。
 もしかしてこの二人、出来ているのか?

「俺は無事でいられるのだろうか…」

 違う意味で身の危険を感じながらも、危ないかもしれない相手に身を委ねるしかなかった。
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