オメガの王 

むつみ

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17話 αの王4

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渾身の力を振り絞り、αの王の腕を外し、彼の射程圏内から逃れる。

 そして、指輪に唇を寄せると目を閉じて指先に意識を集中させる。

 クリスの指輪が光り、その光が2人のΩの王や先程首を噛まれていたオメガを包み込んだ。

 なんだ?何が起こっているんだ?と周囲がザワめく。

 すると、みるみる内に頸にあった噛み跡が消えていく。

 「な、ばかなっ、、!?」

 「ほう、これは珍しい力だな。」

 アルファ達が驚き騒ぐ中、αの王だけは悠然とした態度を崩さず、感心した様子で目を細める。

 「僕は、Ωの王だ。この学園の長である東條院様からも直々に頼まれている。これ以上、オメガへの理不尽な扱いは許さない!合意のない番関係は、僕が断ち切ってやる!それが、Ωの王としての僕の力だからね。」

 クリスは、皆が固まり騒然とする中、アルファ達を睨め付けながら言いきった。

 東條院さんから頼まれたって言うのは割と嘘でもないから、まあ、良いだろう。利用したようで悪い気もするけど。

 
 誰も何も言わない

 沈黙の時間が続いた。

 すると突然、

 クックッ
 
 クハハハ!!

 静観していたαの王が豪快に笑い出した。

 「そうかそうか!お前の能力は素晴らしいなぁ!それに、東條院のお墨付きだと聞く。気に入ったぞ!」

 ーーだがなぁーー

 と機嫌よく笑っていたαの王は言葉を止めるとニヤリと口元を歪める。その間からは鋭い犬歯が覗き見え、クリスをヒヤッとさせた。
 
 そのまま、捕食者の様な獰猛な眼を向け、ゆったりとクリスに近づく。その足取りは獲物をゆっくりと追い詰める狩の様にどこか楽しげだ。

 「お前が何度頸を綺麗に戻そうと、俺達は何度も噛めるんだぞ?それに、お前1人で守り切れるのか?首を噛まなくても襲う事は簡単に出来るからなぁ。」

 「俺に良い案がある。オメガ共を助けたいだろう?俺と取引しようぜぇ?」

 クリスの前まで来たαの王は、クリスの頬に顔を寄せると耳元で低く囁いた。

 ーー今からヤらせろーー

 その囁きは、低く威圧感があるのに色っぽく、甘い密の様にクリスの脳をユラユラと狂い酔わせる。

 なんだろ、、

 身体が熱いっ

 とくに・・下半身が疼く
 
 
 
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