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10話 ネルの異変1
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「ご、ごめんなさい。俺っ、こっ怖くてっ、」
アルファの男は、引き摺ってきたオメガの少年の後ろ首をグッと掴むと、冷たい石造りの床にに押さえ、自分も膝をつくと、王座を見上げた。
「αの王よ、この愚かな、オメガの処罰を私に任せて頂けませんか?」
αの王は、ギロリとオメガの少年を睨む。ビクリとオメガの少年が恐怖にガチガチと歯を鳴らし始める。
「お前は俺の命令に反いたのか?」
震える少年に追い討ちを掛けるかの様にローカスは低く威圧的な声を出す。
αの王の声色が変わり、側に控える者までが周囲の温度が一段と低くなったように感じ、αの王の怒りに青ざめる。
ネルの方を向いていたシャルルも長年の付き合いから何かを感じ取ったのか、名残惜しそうにしつつも、慌てる様子で、また後でね。とネルにウインクを残して足速に戻って行った。
「いいだろう、ソイツはお前がヤッてやれ。アルファの支配下にいる事を存分に教えてやれ。」
戻ってきたシャルルが何かを言ったのか、少し落ち着きを取り戻したローカスは命令に反いた愚かなオメガを罰するように言い放つ。そして、他の者達を見下ろし尊大に言い放った。
「もう、選び終わっただろう。選ばれなかったオメガ共はさっさと去れ、邪魔だ。」
残されたクリス達には、話しかけるのも煩わしいとでも言うような横暴な態度で、手でシッシと払い除けるような素振りを見せた。
その傍若無人な振る舞いと、自分たちに対する侮辱的な発言にクリスは憤りを感じたが、残されたオメガ達はαの王が話終わるや否や我先にと出口の方へ走る。
へ?
αの王への怒りで頭がカッとなっていたクリスは、オメガ達のその素早い動きに反応が遅れてしまう。
「わっ、、危なっ。」
「何してるのクリス!早く行くよっ、」
バランスを崩しかけたクリスの腕をさっと掴んだネルがグイッと自分の方へ引く。小さな身体からは想像できない強い力でそのままクリスを引っ張りながら他のオメガ達に続く。
「え・・でも」
残されたオメガ達が気になり、後ろを振り向こうとするネルが泣きそうな顔で叫んだ。
「お願いだからっ!足を動かしてよクリス!」
ネルの必死な叫びにハッとし、兎に角足を動かした。
その後、2人で手を繋いで森の出口まで来た時にはゼェゼェとお互い息も切れ切れだった。
「はぁ、、はぁ、、だ、大丈夫クリス?」
「はぁ、、はぁ、、何とか」
息が落ち着くのにしばらく時間がかかった。
「それにしても、あんなのって無いだろう、オメガがあんな扱いされてるなんて、、っ」
ふーっと、深く息をついたクリスがネルに話しかける。
「そ・・そうだよ・ね・・あっ・・ん」
僕の呼吸は落ち着いてきたのに、ネルの様子がどこかおかしい。熱が出たみたいに頬が紅くなり、さっきよりも息苦しそうだ。
「え、?ネル?」
え、ちょっと、待って。この症状って、、あれだよな?
でも、『隣室だから迷惑かけないように教えとくね』ってネルに事前に聞いていた予定日はまだ先のはず・・
とその時、ガサガサと誰かが近づいてくる足音が聞こえた。
アルファの男は、引き摺ってきたオメガの少年の後ろ首をグッと掴むと、冷たい石造りの床にに押さえ、自分も膝をつくと、王座を見上げた。
「αの王よ、この愚かな、オメガの処罰を私に任せて頂けませんか?」
αの王は、ギロリとオメガの少年を睨む。ビクリとオメガの少年が恐怖にガチガチと歯を鳴らし始める。
「お前は俺の命令に反いたのか?」
震える少年に追い討ちを掛けるかの様にローカスは低く威圧的な声を出す。
αの王の声色が変わり、側に控える者までが周囲の温度が一段と低くなったように感じ、αの王の怒りに青ざめる。
ネルの方を向いていたシャルルも長年の付き合いから何かを感じ取ったのか、名残惜しそうにしつつも、慌てる様子で、また後でね。とネルにウインクを残して足速に戻って行った。
「いいだろう、ソイツはお前がヤッてやれ。アルファの支配下にいる事を存分に教えてやれ。」
戻ってきたシャルルが何かを言ったのか、少し落ち着きを取り戻したローカスは命令に反いた愚かなオメガを罰するように言い放つ。そして、他の者達を見下ろし尊大に言い放った。
「もう、選び終わっただろう。選ばれなかったオメガ共はさっさと去れ、邪魔だ。」
残されたクリス達には、話しかけるのも煩わしいとでも言うような横暴な態度で、手でシッシと払い除けるような素振りを見せた。
その傍若無人な振る舞いと、自分たちに対する侮辱的な発言にクリスは憤りを感じたが、残されたオメガ達はαの王が話終わるや否や我先にと出口の方へ走る。
へ?
αの王への怒りで頭がカッとなっていたクリスは、オメガ達のその素早い動きに反応が遅れてしまう。
「わっ、、危なっ。」
「何してるのクリス!早く行くよっ、」
バランスを崩しかけたクリスの腕をさっと掴んだネルがグイッと自分の方へ引く。小さな身体からは想像できない強い力でそのままクリスを引っ張りながら他のオメガ達に続く。
「え・・でも」
残されたオメガ達が気になり、後ろを振り向こうとするネルが泣きそうな顔で叫んだ。
「お願いだからっ!足を動かしてよクリス!」
ネルの必死な叫びにハッとし、兎に角足を動かした。
その後、2人で手を繋いで森の出口まで来た時にはゼェゼェとお互い息も切れ切れだった。
「はぁ、、はぁ、、だ、大丈夫クリス?」
「はぁ、、はぁ、、何とか」
息が落ち着くのにしばらく時間がかかった。
「それにしても、あんなのって無いだろう、オメガがあんな扱いされてるなんて、、っ」
ふーっと、深く息をついたクリスがネルに話しかける。
「そ・・そうだよ・ね・・あっ・・ん」
僕の呼吸は落ち着いてきたのに、ネルの様子がどこかおかしい。熱が出たみたいに頬が紅くなり、さっきよりも息苦しそうだ。
「え、?ネル?」
え、ちょっと、待って。この症状って、、あれだよな?
でも、『隣室だから迷惑かけないように教えとくね』ってネルに事前に聞いていた予定日はまだ先のはず・・
とその時、ガサガサと誰かが近づいてくる足音が聞こえた。
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