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2話 Ωの王
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「今日から君が新たなオメガの王です。前オメガの王とは親族だったと聞いています。彼の事は本当に残念でした。ですが、いつまでも王座を空けておくわけにもいかないので、貴方の御父上から話を頂き嬉しく思いますよ。」
そこまで言い終えると、目の前にいるこの学園の長は、僕の右中指に挟まった指輪を見た。
「この学園では、それは支配階級の上者、即ち王のみ許された指輪です。」
同じように自身の指輪に目を向ける。
まだこれをつけて1週間しか経っていないから違和感が消えない。
銀色の指輪で中央には卵を翼で囲んだようなモチーフが装飾されている。
宝石みたいに光輝いてる訳では無いが存在感のある指輪だ。
「現在、オメガの王は貴方を含め3人、アルファの王は2人います。皆さん同じような指輪をされていますのですぐわかると思います。そして、未だに長く空いているのが真王の座です。争い勝ち得た者には真王として最上級の権力と秘薬が与えられる事になっています。」
叶えたい願いがあるのなら頑張ってみて下さい、とニコリと微笑まれた。
少し胡散臭い笑みだと思う。
秘薬って何だろう、
・・けど、叶えたい願いか
(願いなんてたった一つだけだ)
その日、少年は深く心に誓う。
王にならなければ、
ーー真王にーー
何よりも大切なあの人を追い詰めた奴を俺は許さない。
あんな目に合わせた奴を必ず捕まえ、粛清してやる。
生きぬき、出し抜き、勝ち抜き、どんな手を使っても必ず真王になる。
真王にさえなれば権力が手に入る。その力を使えば、犯人はきっと判明するはずだ。
急に黙った僕に小首を傾けるも学園の長(=東條院)は話を続ける。
「まあ何であれ、君が来てくれた事は有り難く思うよ。オメガの王が1人減ったからどうしてもアルファの権力が強くなってしまってね。3人でも足らないくらいなのに。君が本当にオメガの王ならば学園の問題もなんとかしてくれると信じているよ。」
正直、僕が望んでいる事はあの人の復讐だけだから、学園のオメガとアルファの問題ごとなんて関係ないんだけど、、
まあ、オメガの王として最低限度の働きくらいはしてあげてもいいかもだけど。
「私が言うのも何だけど、オメガの王として、これからの君の生活には危険が伴うかもしれない。くれぐれも気をつけてね。」
フン、そんなのはわかっているさ。
ただ真王になって復讐を遂行するにはオメガの王としての立場の方が都合が良いと思っただけ。
真王になれるのは、アルファの王とオメガの王のうち誰かひとりだけ。
その中で他の者を追い落とした強者だけがなれるとされている。
こうして、16歳の若きオメガの王が誕生した。そして彼は、自分の意思とは関係なく学園の未来に大きく関わる事になるだろう。
そこまで言い終えると、目の前にいるこの学園の長は、僕の右中指に挟まった指輪を見た。
「この学園では、それは支配階級の上者、即ち王のみ許された指輪です。」
同じように自身の指輪に目を向ける。
まだこれをつけて1週間しか経っていないから違和感が消えない。
銀色の指輪で中央には卵を翼で囲んだようなモチーフが装飾されている。
宝石みたいに光輝いてる訳では無いが存在感のある指輪だ。
「現在、オメガの王は貴方を含め3人、アルファの王は2人います。皆さん同じような指輪をされていますのですぐわかると思います。そして、未だに長く空いているのが真王の座です。争い勝ち得た者には真王として最上級の権力と秘薬が与えられる事になっています。」
叶えたい願いがあるのなら頑張ってみて下さい、とニコリと微笑まれた。
少し胡散臭い笑みだと思う。
秘薬って何だろう、
・・けど、叶えたい願いか
(願いなんてたった一つだけだ)
その日、少年は深く心に誓う。
王にならなければ、
ーー真王にーー
何よりも大切なあの人を追い詰めた奴を俺は許さない。
あんな目に合わせた奴を必ず捕まえ、粛清してやる。
生きぬき、出し抜き、勝ち抜き、どんな手を使っても必ず真王になる。
真王にさえなれば権力が手に入る。その力を使えば、犯人はきっと判明するはずだ。
急に黙った僕に小首を傾けるも学園の長(=東條院)は話を続ける。
「まあ何であれ、君が来てくれた事は有り難く思うよ。オメガの王が1人減ったからどうしてもアルファの権力が強くなってしまってね。3人でも足らないくらいなのに。君が本当にオメガの王ならば学園の問題もなんとかしてくれると信じているよ。」
正直、僕が望んでいる事はあの人の復讐だけだから、学園のオメガとアルファの問題ごとなんて関係ないんだけど、、
まあ、オメガの王として最低限度の働きくらいはしてあげてもいいかもだけど。
「私が言うのも何だけど、オメガの王として、これからの君の生活には危険が伴うかもしれない。くれぐれも気をつけてね。」
フン、そんなのはわかっているさ。
ただ真王になって復讐を遂行するにはオメガの王としての立場の方が都合が良いと思っただけ。
真王になれるのは、アルファの王とオメガの王のうち誰かひとりだけ。
その中で他の者を追い落とした強者だけがなれるとされている。
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