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☆☆を込めて

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お嬢様。

貴女様の僕
リドランス・ガーランダーは
お嬢様専属執事になるべく
ジェントルガーデンである
クーロイ魔法バトラーアカデミーにて
日々学ばせて頂いております。

お嬢様は今も麗しく
わたくしめの
書き綴りますアカデミー生活を
ティータイムにて
ご覧にございましょう。

いつか
お嬢様と
長女リリジャンヌ様が
隠し絵探しをティータイムの余興に
されておりましたのを思い出します。


『おっはよ、ラドランス!あれ?
   どっした?えらく眠そうだな』

『お、は、よ、ウジュルマ、
  うん。ちょっと眠れなくてね』

『すげぇクマになってるぞ。
   執事の身だしなみは、健康管理
   からってプロフェッサーに小言
   云われる前に隠しておけよ!』

『管理、、そうだね、、気を付け
   るよ。どうやら、たいへんな事
   、見ちゃたみたいだし、、』

『なんだ?へんな夢みたのか?
   シャルマリア様になぐさめて
   もらえよ。手紙にしてさ、』

『ウジュルマ、、なんでもかんで   
   も手紙には出来ないことも、
   世の中にはあるんだよ、、』

お嬢様?

主の元を離れ
宿舎に捕らわれます
わたくしども。

喩え
焦がれる主様の為とはいえ
お側に参じ
仰せ使えないことは、
皆心苦しく思うのでございます。

ですから
わたくしリドランスは、
戯れなる世迷い事であっても
お手紙にと
試みるました次第。

エリザアンナ様ともに
ひと時、夢の園の顛末を
其処こに
思い計ってございましたらと
思うのでございます。


『あ、リドランス、今日授業が
  変更になったよな?なんだっけ』

『茶葉研究が、シガー作法に。
   キャンドル管理が、ダイニング
   トレーニング。そして、たしか
   フラワーアレンジが、、
   仕掛け部屋訓練、、、だよ。』

『げ!そんなにか?テキスト入れ
   替えじゃん!!めんどうー!』

『本当、仕掛け部屋は、もう
  ごめんだよ。わあ、僕のクマ
  かくせるかな。はあーーー。』

ああお嬢様、
わたくしめの手紙をいつか
お嬢様が思い出され、
アカデミーを、訪れたいと
鑑みる事があるのでしょうか。

その時には
出来るならば
仕掛け部屋に近寄りませぬよう、
リドランスは思います。

本日早くも訓練がございましたが
本当に厄介な空間なので
ございます。


『よ!リドランス。昨日?今日  
   か?お疲れっ。あ、ウジュルマ   
   おはよー。今日もデカイなあ』

『うるさい!マキャルナがチビ
   なだけだろ?朝っぱらから何
   ドアん前つったってんだよ。
   リドランス!先にモーニング
   しに行っとくぜ!じゃな。』

『うん、後から僕も行くよ。
   マキャルナ、どうしたの?
   君のお陰で、寝不足だよ僕。』
   
『そーゆーなって!
   モーリス様から伝言。王宮から
   褒章があるのを領主様経由で、  
   招待状を送るってさ。やった
   な!オレたち!大活躍だ!』

『モーリス様とマキャルナの
   働きだよ。次元侵食魔法なんて
   僕には出来ないもん。それこそ
   マキャルナは王宮魔導師に
   なれるんじゃないの?なぜ
   執事候補なのかわからないよ』

『そんなこと言ったら、モーリス
   先輩も凄かったよな!お、あっ
  と、しまった。主への愛だな!
   そうだ!リドランスも爵位上げ  
   てもらえよ!シャルマリア様   
  とずっと、一緒にいられるぞ!』

『な、何いってるんだよ!
   マキャルナは!僕はずっと
   シャルマリア様にお仕えする
   為にアカデミーに来たんだよ』
   
   
もちろん!お嬢様が
あの部屋に捕らわれたとしても、
わたくし
リドランス・ガーランダー、
いかに時が経ち
国中を旅したとしても
お嬢様が
助けを求めますサインを
見つけまして、お助けします!

とはいえ、聡明にて教養高き
お嬢様の事でございます。
『安楽椅子5姉妹の
    リトルレディ』たる
2つ名を持たれる
お嬢様が捕らわれる事など
ございませんでしたね。

わたくしなどの
浅知恵は、お嬢様の傍らで
控えさせていただき
身に付いたモノだと、
心得ております。

ですから、
お優しき旦那様の援助により
王族にもその名を知り、
代々筆頭執事を排出する
バトラー校に
入れて頂き、
有り難うございます。


『そうだ、リドランス。あの肖像
   画の先生達、モーリス様が、
   王宮に戻すってよ。もともと
   王宮にあった物なんだとさ。』

『そっか。もっと色々教えて
   もらいたかったな。厳しいけど
   やっぱり博識ある人たちだよ』

『げ?!オレはもう十分昨日、
   やられたのでコリゴリだ!』

『そうかな?さすが
   キングバトラーと云われる
    方々だと僕は思うんだけど。』

今日も
クーロイ魔法バトラーアカデミー
の森には
『想い人の霧』が立ち込め
眠りの森の王子に
出てくる様な幻想的な
風景を見せてくれております。

どうか、お嬢様が
常しえに健やかで
あられますこと
リドランスは心よりお祈りして
御座います。

追伸。
エリザアンナ様専属執事の
マリオット先輩より
先ほどスカイメールにて

エリザアンナ様の趣味を
さらに触発する様な 
話を綴らない事を
お叱り受けましたが、
わたくしリドランスには
さっぱり分かりません。

まだまだ精進しなくては
なりません未熟な
執事候補を
お許し下さいませ。

また、お手紙いたします。

貴女様の僕より
☆☆を込めまして。

終わり。
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