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三人目の大賢者②
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『その昔この世界がまだ泡であった頃、この世界は私とヨセフ二人だけの楽園だったのです。この世界は原始の魔物に守られ、そこに私達は何匹かの動物を連れ込み、ヨセフはそれに人のような人格と人のような身体を与えていったのです』
「!?」
私は驚き、まじまじとカトリーヌを見やる。だが、そうか……ヨセフはこの世界の創造主、だとしたらそれその事自体は当たり前の事であるのだろう。だが何故だか私はその事実に驚きが隠せずにいる。
スバルは『動物』というのはこちらの世界の『魔物』のようなものだと言っていた、だからそれは意思の疎通のできない化け物のような生き物であると私は認識していたのに、私達獣人という生き物そのものがその動物を元とした創造の産物であると言われても、それが私には俄かに理解ができないのだ。
私達はここに生きて存在しているというのに、まるでその存在自体を否定されたかのように私という生き物の存在自体が足元から崩れていく。
『この世界は箱庭です、創造主の思うがままに世界は構築されていきます、けれど人格を持たされた獣人達はまだその頃は元の獣としての本能の方が勝り、こちらの意に反し弱肉強食の世界を作り出していきました。ヨセフは彼らを意のままに操る事も消す事も出来ましたが、数を増やした獣人達をすべて制御するのは難しく、ヨセフはそこに新たな敵を作り出したのです』
私はシルス遺跡にいた魔物使いシィバから聞いている。魔物には原始の魔物と私達を襲う天敵である魔物の二種類が存在しているらしいという事を。原始の魔物は穏やかで、むやみに私達を襲う事はない。それはシィバの相棒ピピが証明してくれていた。
『魔物という新たな敵を作り出す事で獣人達は結束し、ようやくそこに平和な世界が構築されるようになっていきました。けれど次に起こったのは数の問題です』
「数? それはどういう?」
『動物の生殖能力は種によって様々です、たくさんを産み数を減らしてもどうにか種を維持する者、数を絞って繁殖し、より強い個体を残そうとする者、けれど獣としての食物連鎖を止めてしまったこの世界では、増える者はどんどん増えていき、強い個体を脅かすようになっていったのです。無尽蔵に個体が増えればこの世界の食料も尽きてしまう、だからヨセフはこの世界の妊娠出産をも管理し始めたのです』
より強い個体を残すための免状制度、そして中央にしかいない『人』という存在。それはそういう理屈の上でできたシステムであったのか……
『ヨセフはこの世界を創りだした当初、まだ年端も行かぬ子供でした。彼はそんな子供の発想で次々と世界を変えていきました。そしてこの世界は構築されていったのです』
「なぁ、ひとつ疑問なんだがその間あんたは一体どこで何をしていたんだ? あんたの話をそのままに受け取れば、あんただってこの世界の創造主の一人なんだろう?」
『私は創造主ではありませんし、なれもしない存在です。ただ泰然とあり続け、見守るだけの存在です』
シリウスがカトリーヌのその言葉に怪訝そうな表情を見せた。
「意味が分からねぇな? この世界は二人の楽園だったとあんたは言っていただろう?」
『その通りです、私はヨセフが世界を創り出すのをただ見守っていたのです。時には知恵を出し合って話し合う事もしましたが、基本的に私は何もできないのです。私は彼にとって友であり、姉であり、家族であり、母でした』
「お前……もしかして人ではないのか?」
カトリーヌはシリウスの問いに静かに微笑み頷いた。
『私はこの世界で原始の魔物と呼ばれる存在です。私はこの世界を守る為、世界の理から外れないようにする為にヨセフにつけられた人ならざる者なのです』
獣人が支配するこの世界、そのすべては獣人達が決め、世界はそのように回っているのだと信じて疑ってもいなかった私にこの世界を統べていた大賢者の一人が衝撃的な言葉を放った。
「大賢者カトリーヌ様が原始の魔物……?」
『はい、その通りです。ヨセフは私に名を与え、位を与え、私をまるで一個人であるかのように扱いましたが、私は本来そんな場所に立つべき者ではないのです。私はただ泰然と世界を見守る者でいなければならなかった。私達は世界の理を遵守する事を役割としています、本来は世界に余計な関りを持つ事は許されない。けれど私はその禁を犯してしまったのです』
ミスズの身体を操るカトリーヌは悲し気に瞳を伏せた。
『私はヨセフを好いていました、長い年月を共に過ごし、私と彼とはまるで一対の番であるかのようにお互いがお互いを必要としていました。けれど自分の時間を止めてしまっているヨセフも時と共に精神は成熟し大人の男性へと変わっていったのです。時を止めたままのヨセフの身体は成長する事はありません、ヨセフは種の保存がどんなものかを理解していました、けれどヨセフのその幼い肉体では子を成す事はできなかった……』
「あんた達は人と魔物で子を作ろうとしてたってのか!?」
カトリーヌは静かに首を振る。
『私はそれは無理な事だと分かっていました、たとえ愛していたとしても私と彼とではそもそも存在している次元が違うのです。けれどヨセフはそれを容認しなかった、彼はこの世界の創造主です、何事もこの世界で彼の意のままにならぬものはなかった。だから彼はそんな事でもできると信じて疑いもしなかったのです』
「…………」
『ヨセフは考えたのです、自分の身体が幼い子供のままであるから子を成す事ができないのだと。だったら止まっている自身の時を動かせば身体は成長し子を成す事もできるだろうと彼はそう考えたのです。けれど、ヨセフがそんな想いに至ったのはこの世界が構築されて既に数千年が経った頃、ヨセフは自身の時を止められます、けれど過ぎてしまった時を取り戻す事はできません。止められた時は解除するとその時間の流れは一気に己に降りかかる……』
「そいつは、もしかして……」
『はい、数千年の時は一気にヨセフを老いに追いやりました。そしてその時にこの世界はヨセフと共に滅びるはずだったのです。けれど私は彼を失いたくはなった。この世界などどうでもいい、けれど彼がいなくなる事が私にはどうしても耐えられなかった』
「お前は一体奴に何をしたんだ!?」
カトリーヌは項垂れて『私は禁を犯しました……』と小さな声で呟くと、両手で顔を覆う。
『私は彼に私の肉体を与えたのです。私達の肉体は老いとは無縁の次元で存在しています、彼は死ぬ事はなかった、けれどヨセフはもはや人ですらなくなってしまったのです。一命を取り留めたヨセフ、私達は名実ともに一心同体となりました。私はそれに満足していたのですが、ヨセフはそれでは満足しなかった。彼は私達の間に子を成す事を諦めなかった、そして彼は自分が入り込める器を探し始めたのです』
「そんじゃあ何か? ヨセフが自分の器になれる奴を探しているのはこの世界の崩壊を防ぐとかそんな理由じゃなくて、あんたと子を成す為だとそういう事なのか? ふざけんなよ、世界は今や崩壊の危機だってのに呑気に子作りとか意味が分からん! しかもあんたの肉体を現在ヨセフが使ってんなら、あいつは死ぬ事もないんだろう? なのに何故世界の崩壊はこんなにも進んでやがるんだ!」
それは確かにシリウスの言う通りだ。ヨセフに寿命がきている、だから世界は崩壊を始めたのだと私達はそう聞いている。けれど話を聞いてみれば実際の所ヨセフは死ぬ事はない状況なのだ。
『それはこの世界自体が世界の理に触れてしまったからです、ヨセフはすでにこの世界の創造主としてすら存在を許されない者となってしまったのです。ヨセフはこの世界のみならず全ての世界を構築し直そうとしている、そんな事は許されません。この世界はヨセフの肉体が滅びた時に一緒に滅びるべきだったのです』
「加害者が被害者ぶってんじゃねぇぞ、カトリーヌ!!」
シリウスの怒声にカトリーヌの身体がびくりと震えた。
『私は被害者ぶってなど……』
「他人さまの身体に寄生して、めそめそと他人に頼るばかりで何もしていないお前がオレは心底腹立たしくて仕方がねぇんだよっ!」
『けれど私には何の力もないのです。私はただ見守る事しか……』
「だったら死ぬまで何もせずにガキのお守をしとけばよかったんだろうが! それを変にいじくりまわしたあんたが加害者じゃないだなんて言わせねぇからな! ガキがガキをこさえる事ほどたちの悪いもんはねぇ! どのみちあんた達の間に子供なんかできても碌な大人に育たねぇよ!」
「おい、シリウス、さすがにそれは言い過ぎだろう?」
私が慌ててシリウスの暴言を止めようとすると「お前もだ、シロウ!」と怒りの矛先がこちらへと向いた。
「勝手に人の身体好き勝手に使いやがって! こちとら他人様の身体だと思って極力傷もつけないようにって気ぃ遣ってこの身体使ってやってたってのに、妊娠出産とかマジでアホかっての! オレの身体傷物にしやがって! 昴、お前もだ! もうこっちの身体ぜってぇ返さねぇからなっっ!!」
『え? え? あ……ごめんなさい……?』
急にシリウスの怒りの矛先が向いたガラスの向こう側のスバルも驚いたのだろう、気圧されたようにシリウスに謝罪の言葉を口にする。
「シロウ!」
「なんだ!?」
シリウスが下からこちらを睨み付けてくる。今度は私か? と、私は一歩後ずさった。
「お前は父親になった!」
「お……おう」
「いつまでも、おどおどと他人に頼って生きてんじゃねぇ! ガキってのはな、親の背中を見て育つんだ! そんなんじゃそいつもオレみたいにお前を舐めた子供に育つぞ!」
びしっ! とシリウスがガラスの向こうの我が子を指さす。それはいかん、それは由々しき事態だ。父たるもの子には立派な姿を見せねばならん、いつまでも背中を丸めて縮こまっている場合ではない。
「おい、カトリーヌ! 子供ってのはな作って終いじゃねぇんだよ! そっから怒涛の子育てが待ってんだ、ヨセフにも言っとけ! 欲しいから作るってそんな甘い気持ちで子供なんか育てられると思うなよっっ!! 分かったか!」
スバル同様気圧された感のあるカトリーヌも目を白黒させてこくりと頷いた。それにしてもシリウスの子育てに対するこの熱い情熱はどこから来るのだろうか? 私もひとりの父親になったのだ、しっかりせねばと自身の頬を叩いた。
「よしっ! そんじゃ話を戻すぞ、この世界の崩壊を食い止める為にオレ達はここにいる訳だが、オレ達をここへと導いたカトリーヌはどうやら世界の崩壊を望んでいるらしい、でも何でだ? だったら何故オレ達をここへと導いた? このまま放っておけばこの世界はその世界の理の守り番とかいう原始の魔物たちによって無事に崩壊していったんだろう? なのに何故あんたはオレ達を導いた?」
『それは……』
「まぁ、ここまでの話でその理由は大体把握した。あんたはこの世界はどうでもいいが、ヨセフには執着があったんだろう? あわよくばヨセフを助けて欲しいと、そんな気持ちでオレ達をここへと導いたわけだ、だからあんたはヨセフを開放してくれとは言ってもこの世界を助けてくれとは言わないんだ、違うか?」
シリウスの言葉にカトリーヌは『その通りです』と頷いた。
「だが、しか~し! オレ達の方はそういう訳にはいかねぇんだよっ、オレ達は別にヨセフの事なんてどうでもいい、むしろこの世界が消えてなくなっちまう事の方が重大事だ、そこはあんたとはどうやっても相容れない、そこの所あんたはどう考えてるんだ?」
『これはクロームとも話し合ってきた事ですが、私とクロームとは利害が一致していました。クロームは自分の家族だけが大事で、すでに家族の避難場所は確保済みです。本来ならば彼があなたを手元に取り戻した時点で事は粛々と進んでいくはずでした』
「あん?」
『なんの誤算もなければあの日、あなたは向こうの世界に送られて、その後この世界は崩壊する予定だったのです。クロームは自身の身体にヨセフを封じ、その身体ごと私にくれると約束していました、けれどどういう手違いか、あなたの精神だけがあの日向こうに連れて行かれ、なじみのいい兄弟の身体の中に入り込んでしまったのです。そして逆にあなたの弟は弾きだされてこちらの世界へとやってきてしまった』
「なん……だと、アレは親父のせいだったんかい!?」
『誤算はさらに続きます、クロームはあなたを向こうに連れ戻す事で、また相当量の魔力を消費してしまいました。向こうの世界では魔力を補う事がとても難しいのだと聞いています、その為に私達は計画を変更せざるを得なかったのです』
なんという事だ、大賢者様たちの間ではこの世界の崩壊はすでに決定事項だったと言うのか? たまたまスバルがこちらへとやって来てシリウスの身体の中に入り込まなかったら、この世界はすでに今頃存在すらしていなかったとそういう事なのか?
『計画を遂行しようとクロームは再び扉を開きます。けれど立て続けに起こる世界の干渉に私達守り番の仲間も黙ってはいませんでした。クロームは彼等とやりあい、どうにか息子を取り戻したのはいいのですが、今度はあなたがクロームの作り出した扉に飛び込み、こちらへと戻って来てしまった……』
「ぅんなの、知ったこっちゃねぇ! オレはこっちで育ったんだ、こっちで生きていく方を選んで一体何が悪い!」
『そうですね、それはあなたの生き方です、私達がどうこう干渉する事ではありません、けれどクロームにとってはあなたも可愛い我が子です。またしても計画は失敗に終わりました』
シリウスがちっと舌打ちを打つ。だが、そこでシリウスがこちらへと戻って来なければ、この世界はもうなくなっていたのかと思うとぞっとする。そういえば、あの時だ、世界の果てから魔物が大量に湧いて出て私達の集落を襲ったのだ。あれは、そう言う事だったのか……
「だとしたら、今親父の考えている事は大体分かった。俺と美鈴を向こうに連れ戻して、この世界はこのまま滅びるに任せるって事か」
カトリーヌは『はい』と頷き『けれど……』と続ける。
『ここに来て更なる誤算が重なりました。クロームのご子息が身籠っていたというその事実です。向こうの世界で獣人の子供を産むには多量の魔力が必要で、クロームは現在その魔力のほとんどを子供の為に費やしています。クロームにはもうあなたや、このミスズという娘をあちらへと引き戻せるほどの魔力が残っていないのです』
「へっ、そういう事か。そりゃ結構な事だ、そのお陰で世界の崩壊が先延ばしになってるんだってんなら、シロウ、お前のした事も多少は許す気にもなれるってもんだ」
『そうとばかりも言っていられません、今ヨセフはこの世界の外側で私達守り番を次々に喰らい魔力を増大させています、ヨセフは全ての世界を飲み込み、向こうの世界をも崩壊に導こうとしているのです』
「それは、向こうの世界も今となっては安全ではない、とそういう事なのか?」
私の問いかけにカトリーヌはこくりと頷いた。
『私に頼れる者はもうあなたしか残されていないのです。最初に中央へとあなたを導いたのはクロームの子であるあなたを死なせない為でした。けれど誤算が重なり今となってはもうどうする事もできません。この世界を救えるのはシリウス、今はもうあなたしかいないのです。お願いです、シリウス。どうかヨセフを止めてください! そしてこの世界からヨセフを解放し、あなたがこの世界を受け継ぐのです!』
「………………はぁ!?」
シリウスが素っ頓狂な声を上げた。私もカトリーヌが何を言っているのか俄かには理解が出来ない。
『私はもうヨセフを助けてくれとは言いません、そしてあなた方の望み通りこの世界を救って欲しいのです。この世界全てからヨセフを開放し、そして無に帰すのです。あなたになら出来ると、あのクロームの子息であるあなたになら、この世界を統べる事も出来るはずです』
「いやいやいや、ちょっと待てよ! なんで突然そんな話になるんだよ!? ふざけんなっ! オレは嫌だぞ、なんでそんな面倒くさい役割をオレが引き受けなきゃなんねぇんだよっっ!!」
『でしたら、あなたはこのままこの世界が崩壊していくのを指を咥えて見ているのですか! ヨセフがこの世界を全て破壊し世界を再構築するのが先か、私の仲間がヨセフに対抗しこの世界を破壊し尽くすのが先か、どちににしてもこの世界の未来は無です。あなたはそれでいいのですか?』
「それは……それにしたって、他にもやりようはあんだろう!? なんでよりによってオレなんだっ!! 他にも適任者はいくらもいんだろうがよっ!?」
『この世界で生まれた者では駄目なのです、創造主は元となる向こうの世界に属した者にしか務まりません、つまりクロームにもその資格はないのです』
「な……」
『だからこそクロームはこちらの世界を見捨て向こう側へと逃げたのです、彼はとても優秀な魔術師ですが、しょせんはヨセフに創られた創造物のひとつに過ぎません。クロームはヨセフの器になる為だけに生まれてきた者、けれどクロームはそれを拒み逃げ出したのです』
何というか理解の範疇を超えてきた、というか、シリウスが大変な事になってきているのは分かるのだが、私にはシリウスをフォローしてやれる術もない。
「!?」
私は驚き、まじまじとカトリーヌを見やる。だが、そうか……ヨセフはこの世界の創造主、だとしたらそれその事自体は当たり前の事であるのだろう。だが何故だか私はその事実に驚きが隠せずにいる。
スバルは『動物』というのはこちらの世界の『魔物』のようなものだと言っていた、だからそれは意思の疎通のできない化け物のような生き物であると私は認識していたのに、私達獣人という生き物そのものがその動物を元とした創造の産物であると言われても、それが私には俄かに理解ができないのだ。
私達はここに生きて存在しているというのに、まるでその存在自体を否定されたかのように私という生き物の存在自体が足元から崩れていく。
『この世界は箱庭です、創造主の思うがままに世界は構築されていきます、けれど人格を持たされた獣人達はまだその頃は元の獣としての本能の方が勝り、こちらの意に反し弱肉強食の世界を作り出していきました。ヨセフは彼らを意のままに操る事も消す事も出来ましたが、数を増やした獣人達をすべて制御するのは難しく、ヨセフはそこに新たな敵を作り出したのです』
私はシルス遺跡にいた魔物使いシィバから聞いている。魔物には原始の魔物と私達を襲う天敵である魔物の二種類が存在しているらしいという事を。原始の魔物は穏やかで、むやみに私達を襲う事はない。それはシィバの相棒ピピが証明してくれていた。
『魔物という新たな敵を作り出す事で獣人達は結束し、ようやくそこに平和な世界が構築されるようになっていきました。けれど次に起こったのは数の問題です』
「数? それはどういう?」
『動物の生殖能力は種によって様々です、たくさんを産み数を減らしてもどうにか種を維持する者、数を絞って繁殖し、より強い個体を残そうとする者、けれど獣としての食物連鎖を止めてしまったこの世界では、増える者はどんどん増えていき、強い個体を脅かすようになっていったのです。無尽蔵に個体が増えればこの世界の食料も尽きてしまう、だからヨセフはこの世界の妊娠出産をも管理し始めたのです』
より強い個体を残すための免状制度、そして中央にしかいない『人』という存在。それはそういう理屈の上でできたシステムであったのか……
『ヨセフはこの世界を創りだした当初、まだ年端も行かぬ子供でした。彼はそんな子供の発想で次々と世界を変えていきました。そしてこの世界は構築されていったのです』
「なぁ、ひとつ疑問なんだがその間あんたは一体どこで何をしていたんだ? あんたの話をそのままに受け取れば、あんただってこの世界の創造主の一人なんだろう?」
『私は創造主ではありませんし、なれもしない存在です。ただ泰然とあり続け、見守るだけの存在です』
シリウスがカトリーヌのその言葉に怪訝そうな表情を見せた。
「意味が分からねぇな? この世界は二人の楽園だったとあんたは言っていただろう?」
『その通りです、私はヨセフが世界を創り出すのをただ見守っていたのです。時には知恵を出し合って話し合う事もしましたが、基本的に私は何もできないのです。私は彼にとって友であり、姉であり、家族であり、母でした』
「お前……もしかして人ではないのか?」
カトリーヌはシリウスの問いに静かに微笑み頷いた。
『私はこの世界で原始の魔物と呼ばれる存在です。私はこの世界を守る為、世界の理から外れないようにする為にヨセフにつけられた人ならざる者なのです』
獣人が支配するこの世界、そのすべては獣人達が決め、世界はそのように回っているのだと信じて疑ってもいなかった私にこの世界を統べていた大賢者の一人が衝撃的な言葉を放った。
「大賢者カトリーヌ様が原始の魔物……?」
『はい、その通りです。ヨセフは私に名を与え、位を与え、私をまるで一個人であるかのように扱いましたが、私は本来そんな場所に立つべき者ではないのです。私はただ泰然と世界を見守る者でいなければならなかった。私達は世界の理を遵守する事を役割としています、本来は世界に余計な関りを持つ事は許されない。けれど私はその禁を犯してしまったのです』
ミスズの身体を操るカトリーヌは悲し気に瞳を伏せた。
『私はヨセフを好いていました、長い年月を共に過ごし、私と彼とはまるで一対の番であるかのようにお互いがお互いを必要としていました。けれど自分の時間を止めてしまっているヨセフも時と共に精神は成熟し大人の男性へと変わっていったのです。時を止めたままのヨセフの身体は成長する事はありません、ヨセフは種の保存がどんなものかを理解していました、けれどヨセフのその幼い肉体では子を成す事はできなかった……』
「あんた達は人と魔物で子を作ろうとしてたってのか!?」
カトリーヌは静かに首を振る。
『私はそれは無理な事だと分かっていました、たとえ愛していたとしても私と彼とではそもそも存在している次元が違うのです。けれどヨセフはそれを容認しなかった、彼はこの世界の創造主です、何事もこの世界で彼の意のままにならぬものはなかった。だから彼はそんな事でもできると信じて疑いもしなかったのです』
「…………」
『ヨセフは考えたのです、自分の身体が幼い子供のままであるから子を成す事ができないのだと。だったら止まっている自身の時を動かせば身体は成長し子を成す事もできるだろうと彼はそう考えたのです。けれど、ヨセフがそんな想いに至ったのはこの世界が構築されて既に数千年が経った頃、ヨセフは自身の時を止められます、けれど過ぎてしまった時を取り戻す事はできません。止められた時は解除するとその時間の流れは一気に己に降りかかる……』
「そいつは、もしかして……」
『はい、数千年の時は一気にヨセフを老いに追いやりました。そしてその時にこの世界はヨセフと共に滅びるはずだったのです。けれど私は彼を失いたくはなった。この世界などどうでもいい、けれど彼がいなくなる事が私にはどうしても耐えられなかった』
「お前は一体奴に何をしたんだ!?」
カトリーヌは項垂れて『私は禁を犯しました……』と小さな声で呟くと、両手で顔を覆う。
『私は彼に私の肉体を与えたのです。私達の肉体は老いとは無縁の次元で存在しています、彼は死ぬ事はなかった、けれどヨセフはもはや人ですらなくなってしまったのです。一命を取り留めたヨセフ、私達は名実ともに一心同体となりました。私はそれに満足していたのですが、ヨセフはそれでは満足しなかった。彼は私達の間に子を成す事を諦めなかった、そして彼は自分が入り込める器を探し始めたのです』
「そんじゃあ何か? ヨセフが自分の器になれる奴を探しているのはこの世界の崩壊を防ぐとかそんな理由じゃなくて、あんたと子を成す為だとそういう事なのか? ふざけんなよ、世界は今や崩壊の危機だってのに呑気に子作りとか意味が分からん! しかもあんたの肉体を現在ヨセフが使ってんなら、あいつは死ぬ事もないんだろう? なのに何故世界の崩壊はこんなにも進んでやがるんだ!」
それは確かにシリウスの言う通りだ。ヨセフに寿命がきている、だから世界は崩壊を始めたのだと私達はそう聞いている。けれど話を聞いてみれば実際の所ヨセフは死ぬ事はない状況なのだ。
『それはこの世界自体が世界の理に触れてしまったからです、ヨセフはすでにこの世界の創造主としてすら存在を許されない者となってしまったのです。ヨセフはこの世界のみならず全ての世界を構築し直そうとしている、そんな事は許されません。この世界はヨセフの肉体が滅びた時に一緒に滅びるべきだったのです』
「加害者が被害者ぶってんじゃねぇぞ、カトリーヌ!!」
シリウスの怒声にカトリーヌの身体がびくりと震えた。
『私は被害者ぶってなど……』
「他人さまの身体に寄生して、めそめそと他人に頼るばかりで何もしていないお前がオレは心底腹立たしくて仕方がねぇんだよっ!」
『けれど私には何の力もないのです。私はただ見守る事しか……』
「だったら死ぬまで何もせずにガキのお守をしとけばよかったんだろうが! それを変にいじくりまわしたあんたが加害者じゃないだなんて言わせねぇからな! ガキがガキをこさえる事ほどたちの悪いもんはねぇ! どのみちあんた達の間に子供なんかできても碌な大人に育たねぇよ!」
「おい、シリウス、さすがにそれは言い過ぎだろう?」
私が慌ててシリウスの暴言を止めようとすると「お前もだ、シロウ!」と怒りの矛先がこちらへと向いた。
「勝手に人の身体好き勝手に使いやがって! こちとら他人様の身体だと思って極力傷もつけないようにって気ぃ遣ってこの身体使ってやってたってのに、妊娠出産とかマジでアホかっての! オレの身体傷物にしやがって! 昴、お前もだ! もうこっちの身体ぜってぇ返さねぇからなっっ!!」
『え? え? あ……ごめんなさい……?』
急にシリウスの怒りの矛先が向いたガラスの向こう側のスバルも驚いたのだろう、気圧されたようにシリウスに謝罪の言葉を口にする。
「シロウ!」
「なんだ!?」
シリウスが下からこちらを睨み付けてくる。今度は私か? と、私は一歩後ずさった。
「お前は父親になった!」
「お……おう」
「いつまでも、おどおどと他人に頼って生きてんじゃねぇ! ガキってのはな、親の背中を見て育つんだ! そんなんじゃそいつもオレみたいにお前を舐めた子供に育つぞ!」
びしっ! とシリウスがガラスの向こうの我が子を指さす。それはいかん、それは由々しき事態だ。父たるもの子には立派な姿を見せねばならん、いつまでも背中を丸めて縮こまっている場合ではない。
「おい、カトリーヌ! 子供ってのはな作って終いじゃねぇんだよ! そっから怒涛の子育てが待ってんだ、ヨセフにも言っとけ! 欲しいから作るってそんな甘い気持ちで子供なんか育てられると思うなよっっ!! 分かったか!」
スバル同様気圧された感のあるカトリーヌも目を白黒させてこくりと頷いた。それにしてもシリウスの子育てに対するこの熱い情熱はどこから来るのだろうか? 私もひとりの父親になったのだ、しっかりせねばと自身の頬を叩いた。
「よしっ! そんじゃ話を戻すぞ、この世界の崩壊を食い止める為にオレ達はここにいる訳だが、オレ達をここへと導いたカトリーヌはどうやら世界の崩壊を望んでいるらしい、でも何でだ? だったら何故オレ達をここへと導いた? このまま放っておけばこの世界はその世界の理の守り番とかいう原始の魔物たちによって無事に崩壊していったんだろう? なのに何故あんたはオレ達を導いた?」
『それは……』
「まぁ、ここまでの話でその理由は大体把握した。あんたはこの世界はどうでもいいが、ヨセフには執着があったんだろう? あわよくばヨセフを助けて欲しいと、そんな気持ちでオレ達をここへと導いたわけだ、だからあんたはヨセフを開放してくれとは言ってもこの世界を助けてくれとは言わないんだ、違うか?」
シリウスの言葉にカトリーヌは『その通りです』と頷いた。
「だが、しか~し! オレ達の方はそういう訳にはいかねぇんだよっ、オレ達は別にヨセフの事なんてどうでもいい、むしろこの世界が消えてなくなっちまう事の方が重大事だ、そこはあんたとはどうやっても相容れない、そこの所あんたはどう考えてるんだ?」
『これはクロームとも話し合ってきた事ですが、私とクロームとは利害が一致していました。クロームは自分の家族だけが大事で、すでに家族の避難場所は確保済みです。本来ならば彼があなたを手元に取り戻した時点で事は粛々と進んでいくはずでした』
「あん?」
『なんの誤算もなければあの日、あなたは向こうの世界に送られて、その後この世界は崩壊する予定だったのです。クロームは自身の身体にヨセフを封じ、その身体ごと私にくれると約束していました、けれどどういう手違いか、あなたの精神だけがあの日向こうに連れて行かれ、なじみのいい兄弟の身体の中に入り込んでしまったのです。そして逆にあなたの弟は弾きだされてこちらの世界へとやってきてしまった』
「なん……だと、アレは親父のせいだったんかい!?」
『誤算はさらに続きます、クロームはあなたを向こうに連れ戻す事で、また相当量の魔力を消費してしまいました。向こうの世界では魔力を補う事がとても難しいのだと聞いています、その為に私達は計画を変更せざるを得なかったのです』
なんという事だ、大賢者様たちの間ではこの世界の崩壊はすでに決定事項だったと言うのか? たまたまスバルがこちらへとやって来てシリウスの身体の中に入り込まなかったら、この世界はすでに今頃存在すらしていなかったとそういう事なのか?
『計画を遂行しようとクロームは再び扉を開きます。けれど立て続けに起こる世界の干渉に私達守り番の仲間も黙ってはいませんでした。クロームは彼等とやりあい、どうにか息子を取り戻したのはいいのですが、今度はあなたがクロームの作り出した扉に飛び込み、こちらへと戻って来てしまった……』
「ぅんなの、知ったこっちゃねぇ! オレはこっちで育ったんだ、こっちで生きていく方を選んで一体何が悪い!」
『そうですね、それはあなたの生き方です、私達がどうこう干渉する事ではありません、けれどクロームにとってはあなたも可愛い我が子です。またしても計画は失敗に終わりました』
シリウスがちっと舌打ちを打つ。だが、そこでシリウスがこちらへと戻って来なければ、この世界はもうなくなっていたのかと思うとぞっとする。そういえば、あの時だ、世界の果てから魔物が大量に湧いて出て私達の集落を襲ったのだ。あれは、そう言う事だったのか……
「だとしたら、今親父の考えている事は大体分かった。俺と美鈴を向こうに連れ戻して、この世界はこのまま滅びるに任せるって事か」
カトリーヌは『はい』と頷き『けれど……』と続ける。
『ここに来て更なる誤算が重なりました。クロームのご子息が身籠っていたというその事実です。向こうの世界で獣人の子供を産むには多量の魔力が必要で、クロームは現在その魔力のほとんどを子供の為に費やしています。クロームにはもうあなたや、このミスズという娘をあちらへと引き戻せるほどの魔力が残っていないのです』
「へっ、そういう事か。そりゃ結構な事だ、そのお陰で世界の崩壊が先延ばしになってるんだってんなら、シロウ、お前のした事も多少は許す気にもなれるってもんだ」
『そうとばかりも言っていられません、今ヨセフはこの世界の外側で私達守り番を次々に喰らい魔力を増大させています、ヨセフは全ての世界を飲み込み、向こうの世界をも崩壊に導こうとしているのです』
「それは、向こうの世界も今となっては安全ではない、とそういう事なのか?」
私の問いかけにカトリーヌはこくりと頷いた。
『私に頼れる者はもうあなたしか残されていないのです。最初に中央へとあなたを導いたのはクロームの子であるあなたを死なせない為でした。けれど誤算が重なり今となってはもうどうする事もできません。この世界を救えるのはシリウス、今はもうあなたしかいないのです。お願いです、シリウス。どうかヨセフを止めてください! そしてこの世界からヨセフを解放し、あなたがこの世界を受け継ぐのです!』
「………………はぁ!?」
シリウスが素っ頓狂な声を上げた。私もカトリーヌが何を言っているのか俄かには理解が出来ない。
『私はもうヨセフを助けてくれとは言いません、そしてあなた方の望み通りこの世界を救って欲しいのです。この世界全てからヨセフを開放し、そして無に帰すのです。あなたになら出来ると、あのクロームの子息であるあなたになら、この世界を統べる事も出来るはずです』
「いやいやいや、ちょっと待てよ! なんで突然そんな話になるんだよ!? ふざけんなっ! オレは嫌だぞ、なんでそんな面倒くさい役割をオレが引き受けなきゃなんねぇんだよっっ!!」
『でしたら、あなたはこのままこの世界が崩壊していくのを指を咥えて見ているのですか! ヨセフがこの世界を全て破壊し世界を再構築するのが先か、私の仲間がヨセフに対抗しこの世界を破壊し尽くすのが先か、どちににしてもこの世界の未来は無です。あなたはそれでいいのですか?』
「それは……それにしたって、他にもやりようはあんだろう!? なんでよりによってオレなんだっ!! 他にも適任者はいくらもいんだろうがよっ!?」
『この世界で生まれた者では駄目なのです、創造主は元となる向こうの世界に属した者にしか務まりません、つまりクロームにもその資格はないのです』
「な……」
『だからこそクロームはこちらの世界を見捨て向こう側へと逃げたのです、彼はとても優秀な魔術師ですが、しょせんはヨセフに創られた創造物のひとつに過ぎません。クロームはヨセフの器になる為だけに生まれてきた者、けれどクロームはそれを拒み逃げ出したのです』
何というか理解の範疇を超えてきた、というか、シリウスが大変な事になってきているのは分かるのだが、私にはシリウスをフォローしてやれる術もない。
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