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君と僕の物語
ランティス騎士団
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俺が一通りの話をすると、男達は腕を組んで考え込んでしまった。
「これは思ったより大変な事なんじゃないか?」
「あぁ、王子がどこに裏切り者がいるか分からないと言っているのも頷ける」
「ダグラス暗殺の手際の良さから、騎士団内もしくは王子の近衛兵の中にも裏切り者はまだ潜んでいる可能性が高い。下手に動けばこちらの行動は向こうに筒抜けです」
「全くもってその通りだな」
デルクマンの家を守っていた男、名をケインというのだそうだが、彼はやはり険しい顔で何やら考え込んでいた。
「それで結局そのメリア人は何者だったのですか? 何故ナダールは彼と共に姿を消したのですか?」
「メリア人、グノーの事ですか? 彼は本当にただの通りすがりのメリア人ですよ、私の父の友人でもあるようですが、彼は本当にただの旅人です。この事件にはたまたま偶然巻き込まれただけで、追いかけられたから逃げただけじゃないですかね? 城で暴れていったのはアジェを隠す為でしたしね。ナダールさんの事は私は分かりかねます、何せ面識はほぼ皆無です」
「そういえば、私もその時城の警護をしていたのですが、最初侵入者はαだと思ったのです、とても強いαの匂いがしましたからね。ですが、その匂いを辿っていったら変な小袋を見付けて……あれは何だったのでしょうか?」
「すみません、たぶんその小袋うちの親父のです。グノーはΩなので、α除けとして持ち歩いていると言ってました」
「男性Ω? それはとても珍しいですね」
「そうなんですか?」
幼い頃から傍にいるアジェが男性Ωで自分の番なのでその感覚がなかった俺は首を傾げる。
しかもその後にグノーに出会い、カイルも後天性とはいえ男性Ωだ、珍しいと言われるほどでもないと思うのだがケインはそうは思わなかったようだ。
「いるというのは聞いた事がありますが、私は会った事がありません。私が知っている唯一の男性Ωの存在はメリアのセカンドだけですね」
「メリアのセカンド?」
「メリア王国の王子の事ですよ、彼等は名前で呼ばれる事がない、長男はファースト、次男はセカンドそんな風に数字で呼ばれるのがメリアの習慣です。でもそう言われれば確かに彼は男性Ωだった気がしますね」
クロードの言葉に俺は首を傾げる。
「まるで会った事があるように言うんだな」
「幼い頃に会った事があるんですよ、あれは姉の結婚式でした……」
まさかマイラー家がメリア王家にまで繋がっているとは思わず、俺は険しい顔をしてしまう。
それはその場にいた男達も同じだったようで、一様にクロードに疑わしげな瞳を向ける。
そんな瞳に気付いているのかいないのか、彼は何かに気付いたように無表情に首を傾げた。
「そういえば、あの少年はメリアのセカンドですよ、あぁ、なんで忘れていたのでしょう」
「何をだ?」
「メリアのセカンドが男性Ωだというのは一部では有名な話なのですよ、特にこういった政治に精通している者なら誰でも知っている話です。実際そこの男性も知っていた、そのくらい知られている話だったのに、私は完全に忘れていた」
「だから何をだ?」
「ですからメリアのセカンドが男性Ωであるという事をですよ、彼は兄にグノーシスと呼ばれていた、それが彼の名前だったのでしょう」
「グノーシス?」
ただでさえ珍しい男性Ωという性、そして名前も「グノー」と「グノーシス」、国籍はどちらもメリアだ、それは偶然にしては出来すぎているのではなかろうか?
「グノーがメリアのセカンド?」
「そこまで繋げてしまうのもどうかとは思いますが、メリアのセカンドはからくり人形がお好きなようでしたよ」
「いや、でもメリアのセカンドがメリア王の寵愛を受けて城に囲われているというのは有名な話だろう?」
ケインは戸惑ったようにそう言った。
「そう、そうなのです。だから私も彼とそのグノーという方が結びつかなかった。けれど、今思うと年恰好も近いです」
「どういう事だ? アジェは奴に利用されていたという事か?」
「いえ、そういう話ではないですよ。そもそも彼がメリアのセカンドだとしても、結局何もやっていない事に変わりはありません。そもそもメリアのセカンドが国を出たという話すら聞いていない。限りなく似ているけれど別人だと考えるのが妥当です。エリオット王子に双子の弟のアジェがいたように、メリアにも似たような事があるとしたら、それは私達のあずかり知らぬ事ですからね」
「……そもそも、そんな事を知っているあなたは一体何者なのですか?」
「私ですか?」とクロードが首を傾げる。
「ファルス王国第一騎士団長クロード・マイラーと申します」
「騎士団長? しかもマイラー家?」
「我が家の事をご存知ですか?」
「ファルス王国のマイラー一族と言ったらファルス一の大貴族ですよね? 知らない訳がない。なんでそんな人間が供も付けずにこんな所に? いや、そちらの彼が供なのか?」
その割には少年の方が態度も大きく、主従的には逆転しているようにも見える。
「友? はい、エディは私の友人です」
頷くクロードに更に困惑する男達。
まぁ、一国の騎士団長が単身でほいほい出歩いていたらそれは首も傾げたくなるというものだ。
でも仕方ないではないか、クロードが一緒に行くときかなかったのだから。俺のせいじゃない。
「ファルスのあなた方とそのアジェ王子は一体どういった関係なのですか?」
「先程も言ったように私はアジェの幼馴染です、そしてアジェは私の『運命の番』です。助けに来る事になにか疑問の余地がありますか?」
「王子の『運命の番』? あぁ、そういう……」
「だから私はアジェさえ無事ならそれでいいと言ったのですよ、ランティス王国のいざこざはアジェには一切関係ない。それは私が一番よく知っている」
「ですが、彼はメリアの人間と一緒にいた。メリア人の思想に染まっていたかもしれないと考えるのは考えすぎという事もないと思うのですが?」
「この国は本当にメリア人に厳しいのですね。私はメリア人は彼しか知りませんし、彼とはたいして交流もしていません。けれど、彼は一度として私達に嘘を付いた事はなかった。彼がここメルクードを訪れたのは恐らくアジェが来たがったからです、彼は進んでここに来た訳でも、こんな事件を起すつもりでもなかったと思います」
けれど、アジェは彼と別れた当初泣いて彼に会いたがった、すぐに落ち着きはしたし、あれはヒートの影響で情緒不安定だったせいもあると思うのだが、グノーの影響力がアジェに及んでいた可能性は否定できない。
そこまでの話を自分達はまだしていないので、その辺はもうアジェと会って話を聞くしかない。
「あなた達はアジェ王子を助けたいと言い、私達はギマール騎士団長を助けたい。やるべき事は同じだと思うのですが、あなた方に何か策はあるのですか? そしてこの件の一番の悪をあなた方は知っているのですか?」
「私達はそれを知りたくて伯父一家に会いに来たのですよ。伯父が捕まっていたとしても、誰か1人くらい話の分かる人間がいるかと思って来てみたら、デルクマン家は軒並み捕縛されていました。逃げている長男はともかく何故次男三男まで?」
「次男のリク・デルクマンは大臣に長男であるナダール・デルクマンを連れて来るようにと命じられ探索に出たのですが、その際見付けた長男を彼は取り逃がしたのです。それと時を同じくして三男のマルク・デルクマンはこそこそと城の内部や大臣の家の周りを嗅ぎ回っているのが分かり、合わせて捕縛されました」
「大臣の周りを? それは何故ですか?」
「騎士団長が捕縛されている今、我が国を纏め上げているのは大臣のウィリアム・メイス様だと言っても過言ではない、その彼を襲う算段を立てていた……というのが捕縛理由です」
「ウィリアム・メイスって、あの大臣?」
「間違いないですね、あの人です」
俺とクロードが訳知り顔で頷くのを男達は怪訝な表情で見てくる。
「あなた方は大臣とも面識が?」
「前回訪問の際、こいつがその大臣に押し倒されて襲われかけている。正直あなた達が彼をそこまで信頼する意味が分からない。人の性癖は様々とは言え、他国の要人に手を出す神経はどうかと思う」
え……と男達は信じられない物でも見たような顔でこちらを見やった。
「何かの間違いでは?」
「私、嘘は申しません」
「そういえば聞いた事がある、大臣に妻子がないのは気に入った人間を見付けては周りに侍らせているせいで、特定の伴侶を持つ気がないとかなんとか」
「そうなのですか? ですが私、自分がこの国を統べる際にはあなたのような人間が傍らにいてくれたら、とかそんなような事を大臣に言われましたよ? 私はΩではないのでそんな事を言われても困ってしまうのですが……」
「この国を……統べる?」
俺も含めた男達が険しい表情を見せるのにクロードは戸惑った表情を見せる。
「私、何かおかしな事を言いましたか?」
「大臣はこの国を統べるとそう言ったのですか?」
「はい、確かに。大臣としてこの国を動かすという意味かと思ったのですが、よく考えたらそれはもう今現在適っていますね、あれはどういう意味だったのでしょう?」
「ウィリアム・メイス大臣にはこの国を統べる意思がある……とそういう事か。いや、でもまさか……」
「騎士団長を牢に入れたのは大臣、アジェを幽閉しているのも大臣、デルクマン家の次男を長男にけしかけたのも大臣ですし、三男はその大臣を探っていた……これは偶然と言うにはあまりにも出来すぎているのでは?」
騎士団員の男達は顔を見合わせる。
「正直私達騎士団員は大臣にはあまり快く思われていません。大臣は騎士団長と歳が近いこともあって昔から対立する事が多かった、なので騎士団長に目をかけられていた団員が大臣に当たられる事もよくありました。ですが、それはすべてが一辺倒になってしまうよりは多数の意見を取り入れより良くしていく上では大事な事だとギマール団長はおっしゃっていて、それもまた道理と納得していたのです……」
「簡単に言ってしまえば大臣は伯父が邪魔だった……?」
「それを否定する言葉を私は持ち合わせていません」
沈黙が落ちる。相手が国の重鎮では自分達にできる事などたかが知れている。
「もしその大臣がこの事件の黒幕だったとしたら、あなた方はどうしますか?」
「それは……」
「騎士団長が捕縛され、大臣がこの国の転覆を狙っている、よく考えれば現在のこの状況はこの国にとってあまりいい物ではないというのが分かりますね」
「まだ大臣が犯人と決まった訳では……」
「確かにその通りです、ですが一番最悪のシナリオがそこなのだったら、想定はそこに置くべきです、そして大臣が黒幕だとしたらここまで気付かれる事もなくこの国の国政に関わっている彼は相当狡猾な人間だと思った方がいい。恐らく打てる手はすべて打ってあるでしょうし、この騎士団内にもまだ内通者がいる可能性はある」
「ここにもか……それもそうかもしれないな、少なくともダグラス副団長は向こう側の人間だったのだからな」
「まずはこの騎士団内の裏切り者の洗い出しをする事をお勧めしますよ、私達がどう動くのか相手に筒抜けではお話にならない」
「でも、どうやって……?」
男達は戸惑い顔だ。
「それはあなた方で考えてください、私にはそんな事をしている暇はない。ただ、一応私はあなた方3人には信用してこの話をしています、この情報をあなた方がどう使うかはあなた方3人の自由です、この情報を元に裏切り者を引きずり出す事も出来なくはないと思いますが?」
「まったく難しい事を簡単に言ってくれる……」
ケインはやはり苦笑うようにして、そう言った。
「だがギマール騎士団長の腹心の部下を自負している身としては、やらぬ訳にもいかんだろうな」
「ケイン副団長……」
「え? あなた副団長なんですか?」
「まぁな、よくもギマール団長の気に入りばかりを3人選び出したものだと思ったが、さすがにそこまでは気付かなかったか」
「最初に言った通り、そんな事は私には分からない。伯父の事を本気で心配してそうな3人を私は選び出したに過ぎない」
「その言葉にも嘘はなさそうだ」
「私も疑われていたのですか?」
「裏切り者はどこにいるか分からない……だろ? 人を疑ってかからなければこの仕事はできないからな。今となっては尚更だ。私も以前から大臣の動きには不信感を感じていたが、今日の話で確信が持てたよ、ありがとう」
食えない人間というのは何処にでもいる、このケイン副団長という人も相当頭のきれる男なのだろう。
「改めて私はケイン・クレイグ。ランティス王国騎士団の副団長だが、騎士団長が捕縛された今この騎士団を纏めているのは実質私だ。私にはこの騎士団を損なう事なく団長にお返しする義務がある」
「あなたは伯父を無実だと信じてくれているのですね」
「それは当然、騎士団長はそんな事をする人間ではない。彼の息子であるリク・デルクマンは私の直属の部下にあたり、彼の人となりもよく分かっている。もちろん長男のナダール、三男のマルクの事も知っている。あの一家を疑う事はこの国自体の根幹を揺るがす事ですよ」
「良かったです、あなたのような方がいるのならまだ伯父は救われる可能性が残っている」
「君は君の番のアジェ王子を助けに来ただけなのかもしれないが、私達は騎士団長を……いや、この国を守りたい。君はエリオット王子にも面識があるようだが、王子や陛下に直接お会いする事もあるのかい?」
「今は難しいですね、でも会えない事はないと思います」
「それならば伝えて欲しい、我々はあなた方を全力でお守りしますと。有事の際にはあなた方を守る盾となるべく私達は戦う覚悟があるとそのように伝えておいて貰えないか? 現在騎士団長があんな事になり、陛下は近衛に頼るばかりで私達を信じてはくださらない、それはとても悲しい事だ」
瞳を伏せてそう言うケインの言葉に嘘はないと俺はその言葉に頷いた。
一通り話しは済んだと俺達が立ち上がると彼等は丁寧に見送ってくれたが、まだ話を聞いていない者達は皆不審顔でこちらを見ていた。
「クロード行くぞ」
「え? 何処へですか?」
外に出て、冷えた空気の中、息を吸い込み周りを見回す。
「微かに親父の匂いがする」
「陛下の?」
「あの野郎、この街の何処かにいやがる。捕まえて今回の件なんで俺に黙ってたのか問い質さなけりゃ気がすまん。それに王子だ、迎えに来いだけで何も書いて寄越さないのはどういう了見だ、この国事件起こりすぎだろう!」
「それはどこからか情報が漏れる事を苦慮した結果なのでは?」
「だとしても、連絡寄越すならもっと早くに寄越せっての、聞けばアジェが捕まってから一ヶ月以上経ってるんじゃないか、確かにここからイリヤに手紙が届くのには時間がかかる、だけどなアジェが捕まった直後にあの手紙を寄越していれば俺はもっと早くにここに戻って来れた、もっと早くにアジェを助け出せた!」
「それはどうでしょう?」
「あぁ!?」
「あなたは簡単に助け出すといいますが、現在アジェが幽閉されているのは城の中、そう簡単に連れ出す事は不可能です」
「そんな事は分かっている」
「それにです、自分が逃げ出せば伯父であるギマール騎士団長の嫌疑が更に濃厚になる、アジェはきっとその事に気付いています。私はあなたが助けに行っても彼は一緒に逃げる事に同意しない気がします」
クロードの言葉に俺は言葉を詰まらせた。
それは確かにアジェの言いそうな事で、たぶん実際言うのだろう事は火を見るより明らかだったからだ。
「だったらどうしろって言うんだ……」
「もうこの際、この事件を解決させるしかないのではないでしょうか?」
「大臣を捕まえろって事か?」
「まぁ、言ってしまえば。ただまだ犯人が大臣だと断定できた訳ではありませんが」
俺はクロードを見やる。
「そういえばお前、大臣のお気に入りだったな」
「何ですかその顔は、なんだか嫌な予感しかしません」
「お前ちょっと大臣の家で働いて来い。大臣もそれを望んでたんだろう?」
「それは私に人身御供になれとそういう事ですか? 嫌ですよ、あの人は嫌いですアジェにも気を付けるように言われました」
「そのアジェを助ける為だぞ?」
「その為に身を売る覚悟はできません」
「は! やっぱりお前の友達ごっこなんてその程度の物だったか、友達が聞いて呆れる」
俺の言葉にクロードは突然慌てだす。
「なんでそんな試すような事言うのですか! 私はあなたの事もアジェの事も友人だと思っています、ですがそれとこれとは話が別です。アジェの為に身をとして戦えというのならこの身を投げ打ってでも戦う覚悟はありますが、その為にあの男に抱かれるなんて真っ平です! 私は私の好いた人間としか抱き合う気にはなれません」
「なんだ、そういう知識も一応持ってるんだな」
「失敬な、私はあなたよりもずいぶん年上なんですよ! そのくらいの知識持っていて当然でしょう!」
「世間知らずなくせに、最初に押し倒された時には気付いてなかったんだろ?」
「それは……ですが、気付いてしまった以上それだけは……」
「いざとなったら俺が守ってやるから、頼む。今大臣の懐に飛び込んでいけるのお前くらいしかいないんだ。大臣が黒か白か分かるまででいい、それでも駄目か?」
「本当に助けてくれますか?」
「そもそもお前強いんだから、大臣くらい叩きのめせるだろう?」
「重いんですよあの人! 圧し掛かられたら身動き取れないです!!」
「そうなる前に逃げろよ……」
なんだか少し呆れてしまう。
本当に身の危険に無頓着だったのがよく分かる。
しばらく考えさせてくれというクロードを宿に置いて、俺は城を目指す。
とりあえずまずはアジェの無事を確認したかった。
「これは思ったより大変な事なんじゃないか?」
「あぁ、王子がどこに裏切り者がいるか分からないと言っているのも頷ける」
「ダグラス暗殺の手際の良さから、騎士団内もしくは王子の近衛兵の中にも裏切り者はまだ潜んでいる可能性が高い。下手に動けばこちらの行動は向こうに筒抜けです」
「全くもってその通りだな」
デルクマンの家を守っていた男、名をケインというのだそうだが、彼はやはり険しい顔で何やら考え込んでいた。
「それで結局そのメリア人は何者だったのですか? 何故ナダールは彼と共に姿を消したのですか?」
「メリア人、グノーの事ですか? 彼は本当にただの通りすがりのメリア人ですよ、私の父の友人でもあるようですが、彼は本当にただの旅人です。この事件にはたまたま偶然巻き込まれただけで、追いかけられたから逃げただけじゃないですかね? 城で暴れていったのはアジェを隠す為でしたしね。ナダールさんの事は私は分かりかねます、何せ面識はほぼ皆無です」
「そういえば、私もその時城の警護をしていたのですが、最初侵入者はαだと思ったのです、とても強いαの匂いがしましたからね。ですが、その匂いを辿っていったら変な小袋を見付けて……あれは何だったのでしょうか?」
「すみません、たぶんその小袋うちの親父のです。グノーはΩなので、α除けとして持ち歩いていると言ってました」
「男性Ω? それはとても珍しいですね」
「そうなんですか?」
幼い頃から傍にいるアジェが男性Ωで自分の番なのでその感覚がなかった俺は首を傾げる。
しかもその後にグノーに出会い、カイルも後天性とはいえ男性Ωだ、珍しいと言われるほどでもないと思うのだがケインはそうは思わなかったようだ。
「いるというのは聞いた事がありますが、私は会った事がありません。私が知っている唯一の男性Ωの存在はメリアのセカンドだけですね」
「メリアのセカンド?」
「メリア王国の王子の事ですよ、彼等は名前で呼ばれる事がない、長男はファースト、次男はセカンドそんな風に数字で呼ばれるのがメリアの習慣です。でもそう言われれば確かに彼は男性Ωだった気がしますね」
クロードの言葉に俺は首を傾げる。
「まるで会った事があるように言うんだな」
「幼い頃に会った事があるんですよ、あれは姉の結婚式でした……」
まさかマイラー家がメリア王家にまで繋がっているとは思わず、俺は険しい顔をしてしまう。
それはその場にいた男達も同じだったようで、一様にクロードに疑わしげな瞳を向ける。
そんな瞳に気付いているのかいないのか、彼は何かに気付いたように無表情に首を傾げた。
「そういえば、あの少年はメリアのセカンドですよ、あぁ、なんで忘れていたのでしょう」
「何をだ?」
「メリアのセカンドが男性Ωだというのは一部では有名な話なのですよ、特にこういった政治に精通している者なら誰でも知っている話です。実際そこの男性も知っていた、そのくらい知られている話だったのに、私は完全に忘れていた」
「だから何をだ?」
「ですからメリアのセカンドが男性Ωであるという事をですよ、彼は兄にグノーシスと呼ばれていた、それが彼の名前だったのでしょう」
「グノーシス?」
ただでさえ珍しい男性Ωという性、そして名前も「グノー」と「グノーシス」、国籍はどちらもメリアだ、それは偶然にしては出来すぎているのではなかろうか?
「グノーがメリアのセカンド?」
「そこまで繋げてしまうのもどうかとは思いますが、メリアのセカンドはからくり人形がお好きなようでしたよ」
「いや、でもメリアのセカンドがメリア王の寵愛を受けて城に囲われているというのは有名な話だろう?」
ケインは戸惑ったようにそう言った。
「そう、そうなのです。だから私も彼とそのグノーという方が結びつかなかった。けれど、今思うと年恰好も近いです」
「どういう事だ? アジェは奴に利用されていたという事か?」
「いえ、そういう話ではないですよ。そもそも彼がメリアのセカンドだとしても、結局何もやっていない事に変わりはありません。そもそもメリアのセカンドが国を出たという話すら聞いていない。限りなく似ているけれど別人だと考えるのが妥当です。エリオット王子に双子の弟のアジェがいたように、メリアにも似たような事があるとしたら、それは私達のあずかり知らぬ事ですからね」
「……そもそも、そんな事を知っているあなたは一体何者なのですか?」
「私ですか?」とクロードが首を傾げる。
「ファルス王国第一騎士団長クロード・マイラーと申します」
「騎士団長? しかもマイラー家?」
「我が家の事をご存知ですか?」
「ファルス王国のマイラー一族と言ったらファルス一の大貴族ですよね? 知らない訳がない。なんでそんな人間が供も付けずにこんな所に? いや、そちらの彼が供なのか?」
その割には少年の方が態度も大きく、主従的には逆転しているようにも見える。
「友? はい、エディは私の友人です」
頷くクロードに更に困惑する男達。
まぁ、一国の騎士団長が単身でほいほい出歩いていたらそれは首も傾げたくなるというものだ。
でも仕方ないではないか、クロードが一緒に行くときかなかったのだから。俺のせいじゃない。
「ファルスのあなた方とそのアジェ王子は一体どういった関係なのですか?」
「先程も言ったように私はアジェの幼馴染です、そしてアジェは私の『運命の番』です。助けに来る事になにか疑問の余地がありますか?」
「王子の『運命の番』? あぁ、そういう……」
「だから私はアジェさえ無事ならそれでいいと言ったのですよ、ランティス王国のいざこざはアジェには一切関係ない。それは私が一番よく知っている」
「ですが、彼はメリアの人間と一緒にいた。メリア人の思想に染まっていたかもしれないと考えるのは考えすぎという事もないと思うのですが?」
「この国は本当にメリア人に厳しいのですね。私はメリア人は彼しか知りませんし、彼とはたいして交流もしていません。けれど、彼は一度として私達に嘘を付いた事はなかった。彼がここメルクードを訪れたのは恐らくアジェが来たがったからです、彼は進んでここに来た訳でも、こんな事件を起すつもりでもなかったと思います」
けれど、アジェは彼と別れた当初泣いて彼に会いたがった、すぐに落ち着きはしたし、あれはヒートの影響で情緒不安定だったせいもあると思うのだが、グノーの影響力がアジェに及んでいた可能性は否定できない。
そこまでの話を自分達はまだしていないので、その辺はもうアジェと会って話を聞くしかない。
「あなた達はアジェ王子を助けたいと言い、私達はギマール騎士団長を助けたい。やるべき事は同じだと思うのですが、あなた方に何か策はあるのですか? そしてこの件の一番の悪をあなた方は知っているのですか?」
「私達はそれを知りたくて伯父一家に会いに来たのですよ。伯父が捕まっていたとしても、誰か1人くらい話の分かる人間がいるかと思って来てみたら、デルクマン家は軒並み捕縛されていました。逃げている長男はともかく何故次男三男まで?」
「次男のリク・デルクマンは大臣に長男であるナダール・デルクマンを連れて来るようにと命じられ探索に出たのですが、その際見付けた長男を彼は取り逃がしたのです。それと時を同じくして三男のマルク・デルクマンはこそこそと城の内部や大臣の家の周りを嗅ぎ回っているのが分かり、合わせて捕縛されました」
「大臣の周りを? それは何故ですか?」
「騎士団長が捕縛されている今、我が国を纏め上げているのは大臣のウィリアム・メイス様だと言っても過言ではない、その彼を襲う算段を立てていた……というのが捕縛理由です」
「ウィリアム・メイスって、あの大臣?」
「間違いないですね、あの人です」
俺とクロードが訳知り顔で頷くのを男達は怪訝な表情で見てくる。
「あなた方は大臣とも面識が?」
「前回訪問の際、こいつがその大臣に押し倒されて襲われかけている。正直あなた達が彼をそこまで信頼する意味が分からない。人の性癖は様々とは言え、他国の要人に手を出す神経はどうかと思う」
え……と男達は信じられない物でも見たような顔でこちらを見やった。
「何かの間違いでは?」
「私、嘘は申しません」
「そういえば聞いた事がある、大臣に妻子がないのは気に入った人間を見付けては周りに侍らせているせいで、特定の伴侶を持つ気がないとかなんとか」
「そうなのですか? ですが私、自分がこの国を統べる際にはあなたのような人間が傍らにいてくれたら、とかそんなような事を大臣に言われましたよ? 私はΩではないのでそんな事を言われても困ってしまうのですが……」
「この国を……統べる?」
俺も含めた男達が険しい表情を見せるのにクロードは戸惑った表情を見せる。
「私、何かおかしな事を言いましたか?」
「大臣はこの国を統べるとそう言ったのですか?」
「はい、確かに。大臣としてこの国を動かすという意味かと思ったのですが、よく考えたらそれはもう今現在適っていますね、あれはどういう意味だったのでしょう?」
「ウィリアム・メイス大臣にはこの国を統べる意思がある……とそういう事か。いや、でもまさか……」
「騎士団長を牢に入れたのは大臣、アジェを幽閉しているのも大臣、デルクマン家の次男を長男にけしかけたのも大臣ですし、三男はその大臣を探っていた……これは偶然と言うにはあまりにも出来すぎているのでは?」
騎士団員の男達は顔を見合わせる。
「正直私達騎士団員は大臣にはあまり快く思われていません。大臣は騎士団長と歳が近いこともあって昔から対立する事が多かった、なので騎士団長に目をかけられていた団員が大臣に当たられる事もよくありました。ですが、それはすべてが一辺倒になってしまうよりは多数の意見を取り入れより良くしていく上では大事な事だとギマール団長はおっしゃっていて、それもまた道理と納得していたのです……」
「簡単に言ってしまえば大臣は伯父が邪魔だった……?」
「それを否定する言葉を私は持ち合わせていません」
沈黙が落ちる。相手が国の重鎮では自分達にできる事などたかが知れている。
「もしその大臣がこの事件の黒幕だったとしたら、あなた方はどうしますか?」
「それは……」
「騎士団長が捕縛され、大臣がこの国の転覆を狙っている、よく考えれば現在のこの状況はこの国にとってあまりいい物ではないというのが分かりますね」
「まだ大臣が犯人と決まった訳では……」
「確かにその通りです、ですが一番最悪のシナリオがそこなのだったら、想定はそこに置くべきです、そして大臣が黒幕だとしたらここまで気付かれる事もなくこの国の国政に関わっている彼は相当狡猾な人間だと思った方がいい。恐らく打てる手はすべて打ってあるでしょうし、この騎士団内にもまだ内通者がいる可能性はある」
「ここにもか……それもそうかもしれないな、少なくともダグラス副団長は向こう側の人間だったのだからな」
「まずはこの騎士団内の裏切り者の洗い出しをする事をお勧めしますよ、私達がどう動くのか相手に筒抜けではお話にならない」
「でも、どうやって……?」
男達は戸惑い顔だ。
「それはあなた方で考えてください、私にはそんな事をしている暇はない。ただ、一応私はあなた方3人には信用してこの話をしています、この情報をあなた方がどう使うかはあなた方3人の自由です、この情報を元に裏切り者を引きずり出す事も出来なくはないと思いますが?」
「まったく難しい事を簡単に言ってくれる……」
ケインはやはり苦笑うようにして、そう言った。
「だがギマール騎士団長の腹心の部下を自負している身としては、やらぬ訳にもいかんだろうな」
「ケイン副団長……」
「え? あなた副団長なんですか?」
「まぁな、よくもギマール団長の気に入りばかりを3人選び出したものだと思ったが、さすがにそこまでは気付かなかったか」
「最初に言った通り、そんな事は私には分からない。伯父の事を本気で心配してそうな3人を私は選び出したに過ぎない」
「その言葉にも嘘はなさそうだ」
「私も疑われていたのですか?」
「裏切り者はどこにいるか分からない……だろ? 人を疑ってかからなければこの仕事はできないからな。今となっては尚更だ。私も以前から大臣の動きには不信感を感じていたが、今日の話で確信が持てたよ、ありがとう」
食えない人間というのは何処にでもいる、このケイン副団長という人も相当頭のきれる男なのだろう。
「改めて私はケイン・クレイグ。ランティス王国騎士団の副団長だが、騎士団長が捕縛された今この騎士団を纏めているのは実質私だ。私にはこの騎士団を損なう事なく団長にお返しする義務がある」
「あなたは伯父を無実だと信じてくれているのですね」
「それは当然、騎士団長はそんな事をする人間ではない。彼の息子であるリク・デルクマンは私の直属の部下にあたり、彼の人となりもよく分かっている。もちろん長男のナダール、三男のマルクの事も知っている。あの一家を疑う事はこの国自体の根幹を揺るがす事ですよ」
「良かったです、あなたのような方がいるのならまだ伯父は救われる可能性が残っている」
「君は君の番のアジェ王子を助けに来ただけなのかもしれないが、私達は騎士団長を……いや、この国を守りたい。君はエリオット王子にも面識があるようだが、王子や陛下に直接お会いする事もあるのかい?」
「今は難しいですね、でも会えない事はないと思います」
「それならば伝えて欲しい、我々はあなた方を全力でお守りしますと。有事の際にはあなた方を守る盾となるべく私達は戦う覚悟があるとそのように伝えておいて貰えないか? 現在騎士団長があんな事になり、陛下は近衛に頼るばかりで私達を信じてはくださらない、それはとても悲しい事だ」
瞳を伏せてそう言うケインの言葉に嘘はないと俺はその言葉に頷いた。
一通り話しは済んだと俺達が立ち上がると彼等は丁寧に見送ってくれたが、まだ話を聞いていない者達は皆不審顔でこちらを見ていた。
「クロード行くぞ」
「え? 何処へですか?」
外に出て、冷えた空気の中、息を吸い込み周りを見回す。
「微かに親父の匂いがする」
「陛下の?」
「あの野郎、この街の何処かにいやがる。捕まえて今回の件なんで俺に黙ってたのか問い質さなけりゃ気がすまん。それに王子だ、迎えに来いだけで何も書いて寄越さないのはどういう了見だ、この国事件起こりすぎだろう!」
「それはどこからか情報が漏れる事を苦慮した結果なのでは?」
「だとしても、連絡寄越すならもっと早くに寄越せっての、聞けばアジェが捕まってから一ヶ月以上経ってるんじゃないか、確かにここからイリヤに手紙が届くのには時間がかかる、だけどなアジェが捕まった直後にあの手紙を寄越していれば俺はもっと早くにここに戻って来れた、もっと早くにアジェを助け出せた!」
「それはどうでしょう?」
「あぁ!?」
「あなたは簡単に助け出すといいますが、現在アジェが幽閉されているのは城の中、そう簡単に連れ出す事は不可能です」
「そんな事は分かっている」
「それにです、自分が逃げ出せば伯父であるギマール騎士団長の嫌疑が更に濃厚になる、アジェはきっとその事に気付いています。私はあなたが助けに行っても彼は一緒に逃げる事に同意しない気がします」
クロードの言葉に俺は言葉を詰まらせた。
それは確かにアジェの言いそうな事で、たぶん実際言うのだろう事は火を見るより明らかだったからだ。
「だったらどうしろって言うんだ……」
「もうこの際、この事件を解決させるしかないのではないでしょうか?」
「大臣を捕まえろって事か?」
「まぁ、言ってしまえば。ただまだ犯人が大臣だと断定できた訳ではありませんが」
俺はクロードを見やる。
「そういえばお前、大臣のお気に入りだったな」
「何ですかその顔は、なんだか嫌な予感しかしません」
「お前ちょっと大臣の家で働いて来い。大臣もそれを望んでたんだろう?」
「それは私に人身御供になれとそういう事ですか? 嫌ですよ、あの人は嫌いですアジェにも気を付けるように言われました」
「そのアジェを助ける為だぞ?」
「その為に身を売る覚悟はできません」
「は! やっぱりお前の友達ごっこなんてその程度の物だったか、友達が聞いて呆れる」
俺の言葉にクロードは突然慌てだす。
「なんでそんな試すような事言うのですか! 私はあなたの事もアジェの事も友人だと思っています、ですがそれとこれとは話が別です。アジェの為に身をとして戦えというのならこの身を投げ打ってでも戦う覚悟はありますが、その為にあの男に抱かれるなんて真っ平です! 私は私の好いた人間としか抱き合う気にはなれません」
「なんだ、そういう知識も一応持ってるんだな」
「失敬な、私はあなたよりもずいぶん年上なんですよ! そのくらいの知識持っていて当然でしょう!」
「世間知らずなくせに、最初に押し倒された時には気付いてなかったんだろ?」
「それは……ですが、気付いてしまった以上それだけは……」
「いざとなったら俺が守ってやるから、頼む。今大臣の懐に飛び込んでいけるのお前くらいしかいないんだ。大臣が黒か白か分かるまででいい、それでも駄目か?」
「本当に助けてくれますか?」
「そもそもお前強いんだから、大臣くらい叩きのめせるだろう?」
「重いんですよあの人! 圧し掛かられたら身動き取れないです!!」
「そうなる前に逃げろよ……」
なんだか少し呆れてしまう。
本当に身の危険に無頓着だったのがよく分かる。
しばらく考えさせてくれというクロードを宿に置いて、俺は城を目指す。
とりあえずまずはアジェの無事を確認したかった。
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