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運命に花束を①
運命と春の嵐④
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グノーはどこを触っても小さく身体を震わせる。怖がっているわけではないことを、ひとつひとつ確認しながら、身体の隅々まで舌を這わせた。
「どこが気持ちいいですか? もっと声を聞かせてください」
「っつ、駄目。もう、はぁ……お前が触るとこ、全部気持ちいいから……」
シーツを掴んで噛み殺していた声も一度声を出してしまえば、とめどなく溢れ出してくる。
「っふ、あぁ」
「あなたは、どこもかしこも感じやすいですね」
「お前以外じゃ、気持ち悪いだけだ」
「嬉しい事、言ってくれる」
「本当のこと……あっ、あぁ、はぁ、そこ駄目」
笑って彼の腕を取る。手首、掌、指の一本一本まで丁寧に舐め上げると、か細い悲鳴が上がる。指の付け根が特に感じるようで涙を零して嫌がった。
もっともっと感じればいい、何もかもすべて忘れてしまうくらい。
「ねぇ、ナダール触って、もう……」
彼自身は触れてもいないのに既に勃ち上がり濡れている。何も触っていないので、いけそうでいけないのか、彼は焦れたように身悶えた。そんな姿が可愛らしくて、彼自身を軽く握りこめば、ようやくといった感じですぐに達ってしまった。
「駄目ですね、もう少し我慢してくれないと……」
言って彼の放った蜜を指で掬ってこれ見よがしに舐め上げる。
「お前、やらしい」
「褒め言葉だと思っておきます。でも私をここまでさせるのは、あなただからですよ」
「俺……だから?」
「そうですよ。他の相手ではこうはいかない、あなただから私はこうなっている。あなたに滅茶苦茶欲情しているって事ですよ」
彼は少し眉を寄せた。
「欲情……? 似合わないな、なんかお前らしくない」
「何故ですか? 私だって成人男性ですよ、欲情くらいします」
それにだったらコレどうしてくれるんですか? と彼の手を己自身に導いたら彼はびくっと手を引いた。
「怖いですか?」
「ううん、びっくりした。ヒートの最中でもないのに、俺でこんなに感じてくれるんだ」
また恐る恐る手を伸ばしてくる彼にされるがままに己を預ける。
「大きい……俺の中、入りたい?」
「当たり前じゃないですか、今更やめたと言われても困ります」
「んふ、じゃあ、きて、挿れて……お前が欲しい」
耳元で囁かれて頭に血が上る。これはわざとやっているのか、素でやっているのかどっちだろう? どっちにしても小悪魔には違いない。
彼の身体をひっくり返して腰を高く上げさせると、恥ずかしいと頬を染める姿は清純そのものなのに、彼の後穴は受け入れ万全とばかりに濡れていた。指を差し込めば吸い付くように纏わり付いてきて、柔らかく指を包みこむ。
「大丈夫そうですね」
「んっ、はぅ、や、掻き回すの……ダメっ」
そんな事を言っていても腰は艶っぽく揺れていて、二本三本と指を増やしても抵抗は見られない。
指の動きに合わせるよう腰を揺らす姿は扇情的だ、ぐちゃぐちゃと水音も耳を擽り、コレは堪らないなと指を引き抜き一気に彼の中に己を突き立てた。
「んあぅ! ちょ、あう、ンう……あぁ」
痙攣するように中がヒクつく。あぁ、本当に自分はなんでこの魅惑的な首に噛み付くことができないのだろう。腰を揺らして肩口に歯を立てる。痛みにビクリと震えた彼の身体はナダール自身を締め付けた。
「んぁ、スゴい、はぅ……なか、お前でいっぱいだ」
己を一度ギリギリまで抜いて、彼の身体を回して前から抱えるように抱きしめた。彼自身の体重で更に奥まで繋がって、彼は息ができないのかはくはくと息を零した。
「こ、え……」
「ん? なんですか?」
「呼んでっ、名前。グノーシスじゃなくて、グノーって……お前の声で、呼んで」
「グノー、グノー……愛してますよ」
あぁ……と声を零して彼は達った。その締め付けに自身も彼の中に精を放ってしまう。
何も準備などしていなかったからまた直接中に出してしまったが大丈夫だろうか? 彼の身体も本調子ではないし、ヒートの最中でもないから今度は妊娠なんて事にはならないとは思うが……そういえば前回も周期どおりのヒートではなかったか。
「すみません、また中に……」
「いい、大丈夫。もっとちょうだい」
蕩けたような声音で彼は誘う。もっと? え? いいの?
「まだ足りない、もっと、もっとお前をちょうだい」
押し倒されるようにして彼が上に跨った。あ、なんか前回もこんな感じだった気がする……
自分もそうだが彼の箍も外れてしまったようで、彼はぐいっと前髪を掻き上げた。前回は思い切り睨まれて上に乗られてしまった記憶があるが、今回の彼の表情はとても甘い。
誘うように指が顔を撫で唇を辿り、首筋へと伸びていく。
「お前の匂い、すごく好き」
肩口に顔を埋めるようにして彼は息を吸い込んだ。胸焼けすると悪態を吐かれていた頃がまるで嘘のようだ。
「匂いだけですか?」
「言わせたいの?」
「そういえばまだ一度も聞いていないので」
彼は自分の上でクスクスと笑う。
「知ってるくせに……」
好きだよ、耳元で囁かれた。ホントこの耳元で囁かれるの腰にくる。
「ぜひ今度、何でもない時にも言ってくださいね。ただの睦言にされるのは嫌ですよ」
「そんな機会があったらな……」
この小悪魔め。
煽られた自身は彼の中でまた大きくなっている。そのままの勢いで腰を突き上げれば彼の口から嬌声が零れた。
今の彼は本当にちゃんと正気なのだろうか? このひと月、先程ルイに会うまで彼の言動は明らかにおかしかったし、常軌を逸していた。それが、子供がいなくなったというショックからだったのなら、もっと早く会わせるべきだった。
そんな事は分からなかったので彼にはつらい想いをさせてしまった。
だがそれにしても、今の彼はやけに積極的過ぎる。
夜が明けたら全部忘れた、などと言われたらどうしよう……と一抹の不安が頭をよぎった。
それでも積極的な彼はずいぶんと蟲惑的でエロい。これはますます気を付けないと、何処の抜け目のないトンビが狙ってくるか……と少し不安を覚えた。
「どこが気持ちいいですか? もっと声を聞かせてください」
「っつ、駄目。もう、はぁ……お前が触るとこ、全部気持ちいいから……」
シーツを掴んで噛み殺していた声も一度声を出してしまえば、とめどなく溢れ出してくる。
「っふ、あぁ」
「あなたは、どこもかしこも感じやすいですね」
「お前以外じゃ、気持ち悪いだけだ」
「嬉しい事、言ってくれる」
「本当のこと……あっ、あぁ、はぁ、そこ駄目」
笑って彼の腕を取る。手首、掌、指の一本一本まで丁寧に舐め上げると、か細い悲鳴が上がる。指の付け根が特に感じるようで涙を零して嫌がった。
もっともっと感じればいい、何もかもすべて忘れてしまうくらい。
「ねぇ、ナダール触って、もう……」
彼自身は触れてもいないのに既に勃ち上がり濡れている。何も触っていないので、いけそうでいけないのか、彼は焦れたように身悶えた。そんな姿が可愛らしくて、彼自身を軽く握りこめば、ようやくといった感じですぐに達ってしまった。
「駄目ですね、もう少し我慢してくれないと……」
言って彼の放った蜜を指で掬ってこれ見よがしに舐め上げる。
「お前、やらしい」
「褒め言葉だと思っておきます。でも私をここまでさせるのは、あなただからですよ」
「俺……だから?」
「そうですよ。他の相手ではこうはいかない、あなただから私はこうなっている。あなたに滅茶苦茶欲情しているって事ですよ」
彼は少し眉を寄せた。
「欲情……? 似合わないな、なんかお前らしくない」
「何故ですか? 私だって成人男性ですよ、欲情くらいします」
それにだったらコレどうしてくれるんですか? と彼の手を己自身に導いたら彼はびくっと手を引いた。
「怖いですか?」
「ううん、びっくりした。ヒートの最中でもないのに、俺でこんなに感じてくれるんだ」
また恐る恐る手を伸ばしてくる彼にされるがままに己を預ける。
「大きい……俺の中、入りたい?」
「当たり前じゃないですか、今更やめたと言われても困ります」
「んふ、じゃあ、きて、挿れて……お前が欲しい」
耳元で囁かれて頭に血が上る。これはわざとやっているのか、素でやっているのかどっちだろう? どっちにしても小悪魔には違いない。
彼の身体をひっくり返して腰を高く上げさせると、恥ずかしいと頬を染める姿は清純そのものなのに、彼の後穴は受け入れ万全とばかりに濡れていた。指を差し込めば吸い付くように纏わり付いてきて、柔らかく指を包みこむ。
「大丈夫そうですね」
「んっ、はぅ、や、掻き回すの……ダメっ」
そんな事を言っていても腰は艶っぽく揺れていて、二本三本と指を増やしても抵抗は見られない。
指の動きに合わせるよう腰を揺らす姿は扇情的だ、ぐちゃぐちゃと水音も耳を擽り、コレは堪らないなと指を引き抜き一気に彼の中に己を突き立てた。
「んあぅ! ちょ、あう、ンう……あぁ」
痙攣するように中がヒクつく。あぁ、本当に自分はなんでこの魅惑的な首に噛み付くことができないのだろう。腰を揺らして肩口に歯を立てる。痛みにビクリと震えた彼の身体はナダール自身を締め付けた。
「んぁ、スゴい、はぅ……なか、お前でいっぱいだ」
己を一度ギリギリまで抜いて、彼の身体を回して前から抱えるように抱きしめた。彼自身の体重で更に奥まで繋がって、彼は息ができないのかはくはくと息を零した。
「こ、え……」
「ん? なんですか?」
「呼んでっ、名前。グノーシスじゃなくて、グノーって……お前の声で、呼んで」
「グノー、グノー……愛してますよ」
あぁ……と声を零して彼は達った。その締め付けに自身も彼の中に精を放ってしまう。
何も準備などしていなかったからまた直接中に出してしまったが大丈夫だろうか? 彼の身体も本調子ではないし、ヒートの最中でもないから今度は妊娠なんて事にはならないとは思うが……そういえば前回も周期どおりのヒートではなかったか。
「すみません、また中に……」
「いい、大丈夫。もっとちょうだい」
蕩けたような声音で彼は誘う。もっと? え? いいの?
「まだ足りない、もっと、もっとお前をちょうだい」
押し倒されるようにして彼が上に跨った。あ、なんか前回もこんな感じだった気がする……
自分もそうだが彼の箍も外れてしまったようで、彼はぐいっと前髪を掻き上げた。前回は思い切り睨まれて上に乗られてしまった記憶があるが、今回の彼の表情はとても甘い。
誘うように指が顔を撫で唇を辿り、首筋へと伸びていく。
「お前の匂い、すごく好き」
肩口に顔を埋めるようにして彼は息を吸い込んだ。胸焼けすると悪態を吐かれていた頃がまるで嘘のようだ。
「匂いだけですか?」
「言わせたいの?」
「そういえばまだ一度も聞いていないので」
彼は自分の上でクスクスと笑う。
「知ってるくせに……」
好きだよ、耳元で囁かれた。ホントこの耳元で囁かれるの腰にくる。
「ぜひ今度、何でもない時にも言ってくださいね。ただの睦言にされるのは嫌ですよ」
「そんな機会があったらな……」
この小悪魔め。
煽られた自身は彼の中でまた大きくなっている。そのままの勢いで腰を突き上げれば彼の口から嬌声が零れた。
今の彼は本当にちゃんと正気なのだろうか? このひと月、先程ルイに会うまで彼の言動は明らかにおかしかったし、常軌を逸していた。それが、子供がいなくなったというショックからだったのなら、もっと早く会わせるべきだった。
そんな事は分からなかったので彼にはつらい想いをさせてしまった。
だがそれにしても、今の彼はやけに積極的過ぎる。
夜が明けたら全部忘れた、などと言われたらどうしよう……と一抹の不安が頭をよぎった。
それでも積極的な彼はずいぶんと蟲惑的でエロい。これはますます気を付けないと、何処の抜け目のないトンビが狙ってくるか……と少し不安を覚えた。
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